第二部 第4話 ツケテモラッタ契約は・・・
営業部長による毎日毎日の不備確認に皆うんざりしていた。当たり前の事をしているのだが、今までが今までというか、ここの支部の特徴というべきか。やはり、25日の締切り日になると皆、無理をせざるを得ない状況になるのである。
部長「設楽さん、あの契約の件だけどどうなった?」
設楽「まだ……確認がとれていません。小橋リーダーに聞いてみたんですけど、大丈夫としか……」
部長「お前、先月契約件数が多かったけど、あれもつけか? 優秀で真面目にやってる子だと思ってたのにな……」
設楽「あれは自分であげたものです! 職選があったので。とにかくもう一度確認をとってみます!」
まぁ言われても当然といえば当然だが、やはりこういう言われ方をすると腹が立つ。ツケてもらった契約の事を聞きたいが、小橋リーダーの忙しそうな姿を見ると細かく追求することが出来なくなってしまう。ただでさえ班員が多いので……
──次の日の朝礼。
「えー。先月の契約の事だが、2件落ちた。いずれも小橋チームのものだ。成約率がまた下がり非常に迷惑なことになりますので、くれぐれも今月はこのようなことがないように!!」
(私&神田、下を見てがっかりする)
「小橋リーダー、朝礼後、私のところまで来るように!」
……案の定、私と神田さんも呼ばれてしまった。
朝礼後、営業部長のところへいくと、
「小橋リーダーの件だが、彼女はいろいろな意味で有名だから、今月からはくれぐれも頼むぞ。自分の契約でも他人につけた契約でも、責任を持つように!」
な~んて言われた。そして、それから小橋リーダーにも呼ばれた。
「あの契約の事だけど、ごめんな。お客さんから急に断わりの電話があって。まぁ過ぎたことはしかたない。今月は頑張ろ! 今回の営業部長は、厳しいお方だから……」
……小橋リーダーも絞られているようだ。
──今までの営業部長と、なんか感じが違うよね……
専門部の先輩方が、口々に囁いていた。どうやら、あの小橋リーダーに面と向かって注意したのは、彼が初めてらしい。みんな営業部長に期待をかけ過ぎたらしく、とうとう事件は勃発した。
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