#9 真実の詩
理由
「さて、取りあえず組む事になった以上、色々お互い知っておこうか」
「はい♪」
「まず、俺から。……ぶっちゃけ、よく俺のお金を狙わなかったね。どうして?」
「──え?」
「いや、これは推測だけど、ユキさん、恐らく俺が思う以上に色々してそうじゃん。言い方悪いけど、男を手玉に取るの異様に上手そうというか何というか」
「いや~、そんな事ないですよ~」
「……ま、続けるけど、ぶっちゃけ俺以上にお金の匂いする人ってそうそういないんじゃないかな~、って自分でも思うんだけど、よく手を出さなかったな~って思ってね。ま、仮にそうだったら、速攻切ってたけど」
「……たくみさん相手の場合は素直に言った方がいいですね、どうせバレそうですし。正直、たくみさんの頭のキレは凄い価値があると判断したんです。はしたお金を得るより、絶対メリット大きいって」
「おぉ……そこまでストレートだとかえって気持ち良いくらいだよ」
「要するに利用価値が大きいって判断したんです。光栄に思って下さい、私が男の人をお金で見ない事なんてまずないんですから」
「……これは喜んでいいところ……なのかな?」
「えぇ、末代まで自慢できるくらいです」
「……ありがと」
「後、私の裏の顔で早計にレッテルを貼らず普通に接し、私の頭のキレに目を付け、外見を武器と言い切るセンスは見どころあります」
「ありがとうございます……って、異様に高飛車だね……」
「それだけ私は自分に自信を持っているという事です。こんなプライドの高い私が、私から声をかけたという意味──分かりますよね?」
「ま、まぁ……ね」
「彼氏は過去にたくさんいましたし、現在も3人程いますが、組むのはたくみさんが初めてですし、恐らくこれが最後でしょうから──ホント誇っていい事なんですよ!」
「あ、ありがと……」
「だから、私は今後、一切包み隠さず本当の私を見せていきます。しっかり受け止めて下さいね♡」
「あ、あぁ……」
※これは19歳(ユキ)と39歳(たくみ)のやり取りです。
裏の顔
「さて、私の裏の顔ですが……既にご存知の通り、援交しています」
「ま、これは知ってるよ。ネカフェ内でソフト援でしょ?」
「はい、正解です。では、どれくらいの額を私が稼ぐか──分かりますか?」
「ん~……1日3万くらい?」
「フッフッフ♪ 流石のたくみさんでもこれは読めなかったみたいですね。大不正解です」
「──え?」
「正解を言いますと、1日6-8時間で10万から15万がターゲットです」
「──は? そんなに稼ぐの? 身体売ってないのに?」
「身体を売るなんて非効率的です。ソフト、手だけですからこれだけ稼げるんです!」
「──?!」
「例えば……19歳か20歳の子の相場、ご存知ですか?」
「えっと……大体ホテル代別で1.5万から2万くらい……だったかな?」
「流石! こういう知識もやはりお持ちでしたね、正解です」
「……」
「では、実際に買った場合の滞在時間ってどれくらいになるでしょう?」
「え……そ、それは……3-4時間くらい?」
「あ、実際にはお買いになった事ないんですね^^ 不正解です。援デリ等の場合はせいぜい1時間、長くても1.5時間でしょうね」
「へ、へぇ……」
「仮に2万だとして、待機時間が平均30分、2時間サイクルだとしましょうか。フルに入れても1日8万にしかならない、というのは分かりますね?」
「ま、まぁ……計算上は。かつ、終わってから募集かけてとかしてたら、実際はもっと少なくなるかな? 移動時間だってあるだろうし」
「そう! 移動時間のロスも相まってせいぜい1日3人相手が限度でしょう、身体売る場合。それだと、最高6万にしかなりませんよね。更に援デリの場合、1/3は上に取られますので、実質手取りは最高4万程度です」
「な、なるほど……」
「では、実際に男の人が逝くのにかかる時間ってどれくらいでしょう?」
「……挿入してから? 15分くらい?」
「ま、正解でいいでしょう。基本、刺激してから15分くらいが平均的でしょうかね。これ、手でも口でも変わらないですよね」
「ま、確かに……普通に風俗で20分コースとかあるくらいだからね」
「そう! そういう所ですと、最初からオテテかお口で刺激していきますよね? えぇ、本番と違ってソフトのメリットは、前戯という行為が不要というところなんです」
「……おぉ!」
「かつ、お口の場合は相手によっては洗っていないケースだってある訳で、その時は洗う必要ありますよね? 手ならその作業は基本不要で効率的なんです」
「……おぉ!!」
「だから、手が一番効率良いと断言できます」
「……おぉ、なるほど」
「次、場所の話をします。移動の時間が勿体ないという話は分かりますね? では、どこが一番効率的でしょう?」
「……それがネカフェ?」
「はい、その通りです。実際にネットカフェに誘導して個室に入って貰ってそこに行く様にする、一番効率良いです。ネカフェ内の移動が一番ロスタイムが少ない訳ですから」
「な、なるほど……」
「私は1人につき1万でやっていますので、目標10-15人という感じですね。上手くやれば5時間で10万いきますからね」
「ちょっと質問なんだけど、予定はきっかり入れてるの? 前日とかにアポ取ってとか」
「いえ、大まかな予定で十分です。最悪同じ時間に来てしまっても、ネカフェ内なら漫画等で時間潰して貰う事は容易ですし。これが外での待ち合わせなら20分遅れたらアウトでしょうけどね」
「ほぉ~~、上手いね」
「私自身も時間潰しやすいですし、危ない目にあいそうになったら大声出せばいいですし、ちょっと薄暗いので顔を覚えられにくいですし、色々メリット高いんです」
「こ、これは……メチャクチャ上手いね。誰かの入れ知恵?」
「いえ、私のオリジナルです。試行錯誤していって、この形になりました」
「なるほど……自信過剰になる意味も分かったよ。並の頭じゃこの手法、思いつかないだろうからね」
「でしょ♪」
「いつからやってるの? 少なくとも高3の時からってのは知ってるけど」
「もうちょっと若い頃から、ですね♪」
「ま、あえて何歳からかは聞かないけど……きっかけは……実験かゲームか、人間観察か……そんなところかな? うちが貧乏──なんて事はなく、そこそこ裕福な家というのは聞いてるし」
「ま、そんなところですね。ご存知の通り、私は優等生で家でも学校でもいい子ちゃんですが、こういう裏の顔もあるってヤツですね」
「こ、これは……想像の斜め上いってたよ……」
「……引きました?」
「いや、逆。──ますます惚れたよ」
「!!! ちょ/// な、何、いきなり言うんですか///」
「あ、違う違う、その才能に惚れたっていう意味ね」
「!!! ちょっとはお世辞でも甘い言葉いいましょうよ……」
「どうせ最後はからかうの分かってるし……」
「そんな事ないですって~、か弱い乙女ですよ、私^^」
「……今の話聞いた後でそう思う人、誰もいないって……これ、知ってる人、他に誰かいるの?」
「いる筈ないじゃないですか~。みーんな私の表の顔以外知らないですよ~。誰にも裏の顔は見せた事ないですし~」
「今までの彼氏には──聞くまでもないね……」
「あったり前じゃないですか~。誰の前でもお嬢様で優等生のいい子ちゃんしてますよ♪ そうしてるとみーんないい子いい子してくれますし~♪」
「うぅ……仮に彼氏がユキさんのドス黒い裏の顔知ったらさぞかしショック受けるだろうな……」
「バレなきゃいいんですって~。絶対バレない自信ありますし~」
「ま……そんな誰にも見せた事のない素顔を見せてくれた、というのは確かに光栄な事──なのかな?」
「そうですよ♡ 先ほども言いましたが、私が素顔を見せる人はたくみさんが最初で最後でしょうから、しっかり責任取って下さいね。私も絶対損させませんから♪」
「わ、分かった……責任持つよ。これからよろしく」
「はい♡」
補足?
正直ここから掲載するかどうか迷いましたが、どうしてもここらの話は避けて通れないので気合で掲載していきます。……引かないで下さいませ。。
人には誰にも秘密な事が1つや2つくらいある、これに関しては誰もが「そうだよね」と同意を得られるでしょう。自分は何人もの「裏の顔」を見てきて、並大抵の事では驚く事はないのですが、このユキの裏の顔には流石に衝撃を受けました。
ま、内容はとても人様に褒められる事ではないですが、この時に自分が感じた事を素直に書くと「コイツ、凄え~な……よくここまで考えたな……」という尊敬の念でした。で、誰にも見せた事のないドス黒い裏の顔を見せてくれて「嬉しい」とすら……
不思議と「引く」感覚は一切ありませんでしたね。
次回以後、冗談抜きに「フィクション」ものとしてお読みくださいませ。(フィクションでもモロ非難される気しますが……)
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