#3 仕返し♪
■9月下旬某日
──カランコロン♪
「いらっしゃいませー。今日は現場の仕事じゃないんですね」
「あ、また会ったね。──あれ? 今日学校は?」
「今日は体育祭だったので、体調不良という事にして休んじゃいました♪ そろそろ上杉さん、来られるかな~って昨晩ふと思ったら、ズバリでした♬」
「まーた嬉しい事、言ってくれちゃって~。俺をおだてても何も出ないよ。ほら、俺貧乏だし」
「そんなんじゃないですってば~。あ、今日は占いの仕事ですか?」
「あ、今日は勉強しようかな~って思ってね。──ほら」
「──?! 微分・積分のチャート式? えっと……何で?」
「ちょっと大学受験しようかな~って思って──というのは嘘で、家庭教師の仕事が入ったから、ちょっと、ね」
「え? 家庭教師までやってるんですか?」
「たま~に、ね。週1で2時間5000円。時給自体は悪くないけど、事前の予習とかしなくちゃいけないから、実質的にかなり大変だよ」
「……ホント、何でもやるんですね。ただ……本当の目的って違いますよね?」
「──え?」
「上杉さんの言ってたプロファイリングってヤツから推測すると、占い師や現場仕事がリテールの観察だったから、家庭教師は……若い子の生態観察、いや、それだけじゃないな……数学のブラッシュアップの為かな? では上杉さんの本当の仕事は、というと──色々な人をターゲットにして数字を用いる仕事、FPってところでしょうか」
「──な、なんで……」
「あ、その反応はズバリ──でしたね♪」
「ま、まさか俺が同じ事をやられるとは……」
「♪♬♪ こないだの仕返しですよ~」
「す、凄いね……君、何者?」
「私は単なるバイトしてるいち高校生に過ぎませんよ♪ あ、私の事はこれからユキって呼んで下さい」
「あ、あぁ……ユキさんだったね、今後そう呼ぶ様にするよ」
「それで、本業の方はどうなんですか?」
「それなり──って言いたいところだけど、それで食べていけるなら他事やってないよ。色々カッコいい事言ってるけど、色々やらないと食べていけないから、というのが真実だよ、情けない事に……ね」
「そうですか……上杉さんセンスありそうだから、いい線いってると思ったのですが……」
「ま、現実は厳しいって事だよ。ココだってホントは毎日でも来たいくらいだけど、今の収入じゃ1ヶ月1回くらいが限度で、ね……」
「た、大変なんですね。あ、今日はコーヒーサービスしますので、どうかゆっくりしていって下さい」
「お、ありがとう! じゃ、ちょっと勉強するね」
「頑張って下さいね♪」
補足?
プロファイリング……というより仮説思考のが近いかもしれません。いわゆる限られた情報より最も可能性の高い結論を仮説する~というヤツですね。この正答率を高める為には保有する知識を増やす事と想像力を働かせる事。日々、この思考を心掛けてする様にしていけば、何かと実生活にも仕事にも役に立つよ~、と。
このプロファイリング……というか仮説思考に関して、今まで3桁以上の人に教えたのですが、自分の教え方が悪いのかどうか不明ですが、誰1人として実践できる人いませんでした。(多分、最初からできないと決めつけてやらなかったと思われ)
……それを、高3の子に模倣されてやられた時の驚きといったらもう……
カエルの子はやっぱりカエルだな、と妙に心躍ったものです。
あ、こんな事書いていますが、あくまでもこの話はフィクションでっせ~。
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