設楽のり子の生保営業暴露日記

第21話 職選

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第21話 職選

──1月。

 今月は私の職選だ。2月に入社して現在に至るまで2度職選を通過している。どちらとも2つの選択の中から上の階級を進んでいる私にはかなりのプレッシャーになった。

 固定給も半年までは15万、半年以降は8万という規定になっているので是非とも無理をしておかなければいけない月なのである。

 今回も現状維持か1ランク上の2つの選択になっている。あぁ、11月の0件が今となっては実に痛い……

(誰か保険やってくれる人、いないかなぁ……)

顧客台帳とにらめっこしながら考える。みんな断られてしまった人ばかりなので設計書の枚数は一向に増えない。

(あっ、そうだ……!)

……弟に1件、知人に1件契約をもらった。まだこれでも件数が全然足りない。職選クリアまで、まだ4件も残っている……

──あ~、とれない、とれない……!

 職選の月ばかりは小橋リーダーも気になるらしく、

「のり子、今月の調子どう? 件数埋まりそう?」

と声をかけてくれた。

「ダメです。見込みが中々ありません」

「そうか、とりあえず締め切りまで頑張って動こ! 私もいろいろ援助するから」

彼女のトレーナーらしい言葉に感激した。

 営業の仕事は1度足を止めてしまったら最後。諦めてしまってはその月は終わってしまう。頑張らなければ……

 

 締め切り前日。どうしても成果があがらなかった私に小橋リーダーは声をかけてきた。

「のり子、ちょっとお茶でもしようか」

そして、一緒に喫茶店に入った。

「のり子、今月はよく頑張ったね。成果は上がらなかったけど私が一番あなたの事分かってるから」

……小橋リーダーのその言葉だけで充分だなと思った。

(私なりに精一杯動いたもん、それを分かってくれれば……!)

試合に負けたけど清々しい、そんな気分でした。

「あとの件数私が準備したから、安心しなさい」

「──え??」

小橋リーダーは始めから私が取れないとでも思っていたのか、足りない件数ぴったしにつける為の契約を用意していた。

(私の苦労はなんだったの……?)

面白くなかったものの、やはり給料の事に目がいってしまい結局つけてもらった。なんともいえない罪悪感に苛まれて……楽な道を選んでしまった私。

──後々、これが自分の首をしめる事になるなんて……

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