設楽のり子の生保営業暴露日記

第19話 ツ・ケ・ル

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第19話 ツ・ケ・ル

「みんな、元気にしてたぁ?」

 12月中旬に小橋リーダーは帰ってきた。

 やる気をなくした私達は当然(?)0件のままだった。1件とるのも苦しい状況だった。このままいけば給料がどんどん下がっていって会社にすらいられなくなる……

 そう、私達はノルマというのがあってこれを達成できないと給料規定が悪くなったり会社にいられなくなるのである。

(まぁ、このままクビになってもいいかな?)

 そう思っていたある時、小橋チームのある一人から意外な話を聞いた。

「○○ちゃんこの頃調子悪いじゃない。職選危ないっていってたけど、こないだ小橋リーダーから契約もらったらしいよ~」

 喫茶店に一人ずつしか呼ばないから薄々は勘づいてたけど。新人職員が契約をとれなかった時はリーダーが契約をつけてくれるという話は聞いたことあったし。

(リーダーにとってもメリットがあるらしいから、一石二鳥?)

 しかし小橋チームは支部の中で一番のBIGチームであった。人数が多いということはノルマをとれない人も自然と多くなっていく。ツケの契約は麻薬と同じ。これを知った人は中々止められない。

──あの子につけてなんで私にはつけてくれないの?

 しまいにはこんな低レベルな小言をいう子も出てきた。……ただお金が関係してくる事だから当たり前といえばそうだが。

 誰がどんな形で契約をとったのか気にはするものの、はっきりと口に出せずにいるうちに。だんだんと私達はバラバラになっていった。

 ちなみに小橋リーダーは12月、8件もの契約をみんなにツケた。

……私もその一人だった……

 この出来事が、今後私を退社せざるをえなくなる理由の一つになるとは、この時は全く想像すらできなかった。

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