第2話 初出社
──営業日初日。
コンパの時ぐらいしかスーツを着ない私は落ち着いたグレーのダブルスーツを新調し、慣れないスーツを着て出社した。矢吹拠点長(仮)の「今日入社した新人さんのあいさつです」という号令にあわせて4人は前にでて一人ずつ自己紹介をした。
私達の営業所は大きな営業所の一つであり、50人ぐらいの人がいた。ベテラン生保レディの宝塚ばりの異様なムードに圧倒されながら、
「設楽です。よろしくお願いします」
とボソッといった。そのとたんバチバチバチッと一斉に大きな拍手が鳴り響いた。
※生保レディ達は全員大会とかいっていろんなホテル等に集合し意味もない拍手を強制的にやらされる。まぁ拍手のプロフェッショナルですね(笑)
こんな大勢の人達の前で自己紹介をして大きな拍手を頂くのは初めてだったのでちょっとしたスター気分になってしまった。
私達新人達はこれからしばらくの間、育成期間として各リーダーの組織に振り分けられ仕事をしていく事となる。
(あれ? なんか小橋さんの話と違う……)
私は初めて会うリーダーの組織に配置されていた。
『あなたがこの仕事に入ったら私があなたの面倒をみてあげる。トップセールスレディにしてあげるわ』
と小橋さんは確かに言っていたのに……
他のみんなも紹介者と同じ組織に配置されてなかったのでみんなで金縛り状態になっていた。
紹介者が育成期間中の職員であれば同じ班に入ることも出来ますが、ベテランチームの職員が紹介者の場合は育成チームに新人さんを預ける形になるんですよ。
──この事を知ったのはもちろん暫くたってから……
『まっいっかー』
と流して初日は終わりました。
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