第4話 同期の退社~その2~
入社して2週間、今度は同期のB子ちゃんが辞めてしまった。彼女は研修中かなりやる気の子だったのでビックリした。B子ちゃん、鍋田リーダーの班で頑張っていたけど、リーダーとトラブったみたい。鍋田リーダーは40半ばのベテラン生保レディでとても個性的なリーダーと噂には聞いていた。
「設楽さん、私もう会社辞めようかなって思うの・・・」
(あの入社当時の明るさはどこへ? 目の下にくまを作っていささか疲れ気味の様である)
「えっ、一体どうしたの? あんなにやる気だったのに?」
「ちょっとリーダーに不信感というか……めちゃめちゃいびられてるって感じ」
「まさか! 鍋田リーダーに限ってそんなことないしょ?」
「いや、なんかわけわかんない事言ってくるの。化粧が濃いだのスカートが短いだの……あんた水商売の方があってるんじゃないって……酷いよね、なんで仕事以外の事とやかく言われなくちゃいけないの」
(実際彼女は確かに化粧は濃い方だった)
設楽「う~ん……」
「あと車一緒に乗って営業先の会社にいくでしょ。行きも帰りもいびられっぱなし。なのに営業先につくなりコロっっと態度変わるの。何であんなに人間変わる事できるのかしら?」
とりあえず鍋田リーダーは彼女の事が余程気に触ったみたい。けどリーダーの仕事って私達新人を育てる事だと思う。確かに全てが悪いわけじゃないと思うけど、新人さんがこれだけ嫌がる事してはリーダー失格だと思った。
(後から知った事だが鍋田リーダーはこの頃家庭の問題があって情緒不安定だったらしい。B子ちゃんにあたってたのかな?)
こうしてB子ちゃんは来なくなった。ちなみに暫くしたら鍋田リーダーも色々あったみたいで会社を辞めていった。
──1ヶ月後、同期の子は私を残して誰もいなくなってしまった。
コメント
[…] 前の話 目次 […]