#4 もう1人の私~ペルソナ~
「私、みのりちゃんが好きです」
「……っと、唐突に何言ってるの?」
「正確には、みのりちゃんでいる私が好きです」
「どういう事?」
「みのりちゃんでいるうちは、全く別人になれますよね? 可愛くてちょっと生意気で怖いもの知らずで……元気で……」
「………」
「ずーーーーっとみのりちゃんでいる事が出来たら、どんなに幸せかなーって^^」
「………」
「いつか……じゃないか、数年後に学校卒業して、就職してちょっとOLさんやって、大好きな彼氏と結婚して、子供産んで……そんな普通の小さな事、案外私の本当の夢だったりします」
「そういえば前にそんな事言ってたね、陽の当たる場所で静かに暮らしたいって。ただ、みのりちゃん、まるっきり真逆の波乱万丈そのものの人生じゃん」
「みのりちゃんという人格創れば、色々冒険出来るかなーって。 ほら、若い時の苦労はお金払ってでもしろって言うじゃないですか。あれ? ちょっと違うか……私も若い時は悪い事色々したんだよーってヤツですね」
「……みのりちゃんになるかなり前からやってたじゃん」
「昔はオテテの仕事含めて、名前は仮名でただの記号に過ぎませんでした。……みのりちゃんで初めて、こうであったらいいなーっていう理想の子になれた気がするんです。きっとみのりちゃんなら、思い描いた幸せな未来予想図を次々と叶えていくんだろうな~って思いません? ただ、それは本当の私ではなくて──現実は……」
「……みのりちゃんはユキそのものだよ。みのりちゃんになる前から変わってないよ、多分。そしてこれからもずっと──天真爛漫で明るくて元気で……魅力的で……きっと誰もが羨む幸せな未来がユキを待ってるよ。 ま、近い将来、後悔してるかもしれないけどね。なーんで私は有意義な学生時代にオテテやパンツなんて売っていたんだ、人生の汚点だ──って……」
「……ありがとうございます。ただ、どんな未来が訪れたとしても、今している事を人生の汚点だなんて思う事は絶対にないです。 流石に堂々と胸を張っては言えませんが、みのりちゃんが私の青春──そのものですから^^」
「おしっこにうんこ、咀嚼に嘔吐……さぞかし汚れた青春な事で……」
「ちょっ!! せっかくいい流れでセンチメンタルに話してるんですから、もっと胸にキューンって響く事、言って下さいよ~。ま、確かに汚物塗れの青春ですけどねー」
「wwwwww」
「wwwwww」
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