Forbidden Game~3倍速Girl~

Forbidden Game ~3x Speed Girl~ Last Capter:人の3倍の速度で時間が進んでしまう少女

#1 薄幸の美少女Forbidden Game~3倍速Girl~
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#1 薄幸の美少女

「……ハァァァァ~~」

「どうしたんですか? 珍しく落ち込んでるみたいですけど」

「あ──いや、ね。2週間後にカテーテル検査で数日入院しなくちゃいけないのさ。心電図とレントゲンで異常が出て、ね。最悪、入院になると思ったら憂欝でね」

「あ、いいじゃないですか~。私、入院好きですよ?」

「──は?」

「みーんな優しくしてくれますし、ね♪」

「えっと……みのりちゃん、入院した事あるの?」

「はい、高校2年の時にちょっと……」

「ほぉ、どれくらい?」

「ん~、4-5ヶ月?」

「──?! 滅茶苦茶長いね。性病? それか精神系?」

「ブーッ、どちらも違いますー。 筋ジストロフィーとかいう病気で──」

「ん?……それ、難病じゃない?」

「はい、そうみたいですね。 今はもう大丈夫ですけどね♪」

「あれ? それって治る病気だったっけ?」

「まー、いいじゃないですか♬  で、そこで彼氏もできたんです♪」

「……薄幸の美少女じゃん!」

「え? はっこう? どういう意味です?」

「んーと、こんな意味」(検索して意味を見せる図)

「えーっと、幸せに恵まれない事?  ん~、一リットルの涙の沢尻エリカちゃん?」

「そう! 病弱で薄幸そうな子、美人限定だけど、メチャクチャモテるよ!」

「えぇ、実際モテましたよ。入院してる時、気付きました」

「あれ? そういえば最近、オテテはあまりしなくないって言ってたよね。もしかして──」

「イヤだなぁ、考え過ぎですって~」

「オテテのお店、行かなくなったのも、もしかして──」

「効率の問題ですって~」

「以前やってた暇トーク、やらなくなったのも、もしかして──」

「ジュンさんのアポのがラクで稼げるからですって~」

「結婚はしたくない、してもすぐ離婚して独り身でいたいって言ってたのも──」

「私、結婚して家庭の事出来るタイプだと思います?」

「といいつつ、赤ちゃん欲しいとか結婚したいとか静かに暮らしたいとか言ってたのも──」

「若い子の考えはコロコロ変わりますし~」

「異様な男性関係、重たい付き合いより軽い付き合い好むのは、もしかして──」

「まだまだ自由を謳歌おうかしたいですし~」

「同世代の友達いないって言ってたけど、それは将来自分がいな──」

「単に話が子供っぽ過ぎて合わなくてつまんないからです~」

「入ったお金を即スッカラカンになるまでつかうのも、後に残せな──」

「単にお金遣い荒いだけです~」

「ほぼ毎日、ベロンベロンに酔っ払うまで飲んでたのも、シラフじゃ──」

「飲むのが好きなのとストレス解消です~」

「そのお金遣い、ブランド品とかばっかりなのは生きた証として残しておきた──」

「換金率高いから、いざとなったらオークションでお金に出来るからです~」

「色々含めて、何か異様に生き急いでいると感じるけど、それは──」

「今という時間を精一杯生きたいからです~」

「じゃ、この記録を書いてネットや本に掲載してOKした意味は? 自分が生きたあかしをどんな形でもこの世に残したかったから……じゃない?」

「……そ、それは──お金になる、かな~って……」

「さらに深読みすると、俺だったら書籍やネットで綺麗な形で記録に残せると思ったから──組んだんじゃない? 聡明なみのりちゃんの事だから、この人ならきっと私の事を記録に残したくなる、と予想して」

「……バカ……どーーしても私を薄幸の美少女にしたいんですね。 まぁ、全部ではないですが、当たっている部分がある……とだけ言っておきます」

「……怖くない?」

「怖くない、って言ったら嘘になりますが、私は十分人より濃い人生送って来ましたから♪ 人の10年分くらい、1年で経験している気がしますし。 ただ──いつ動けなくなっても後悔ないよう、精一杯日々を、時間を過ごしています」

「……強いね」

「……強がってるだけかも、ですけどね」

「どこまで関われるか分からないけど、後世に残るように、みのりちゃんの同級生より長生きする記録を残すよう力を尽くすよ」

「……一リットルの涙より名作にして下さいね」

「……ドラマ化や映画化目指すよ。そしたら、さ……印税、山分けね」

「……それ、いつくらいにそうなります?」

「みのりちゃんが死んでからか──」

「生きていてなうちに何とかして下さい! 若くてなうちに使い切りたいですから!!」

「えっと……車椅子になった描写かいてみたいんだけど──」

「私、いつまでオテテの仕事してなきゃいけないんですか!」

「あれ? 上手くしゃべれなくなるとかは? 最後寝たきりになったみのりちゃんと指さし手帳とかで会話してみたい──」

「ドラマの観過ぎです! 症状は個人差ありますから!」

「けど、カルボナーラやからあげクン以外食べてないけど……箸持てる?」

「まぁ、いいじゃないですか~、箸くらい上手く持てなくても──って、普通に持てます!」

「んーー、ちょっとフィクションいれていい?」

「えぇ、どーぞ。私のキャラ崩壊させなければいくらでも」

「ん、何とか名作にしてみるよ」

「ただ、題名がパンツ売りの少女とかじゃ……感動作になります?」

「おしっこ大好きパンツ売りの薄幸の美少女か……新しいジャンルだね」

「wwwwww」

「wwwwww」

 

■筋ジストロフィー:

 遺伝子の異常で筋肉が衰えていく病気。最も多いデュシェンヌ型は男児で約3500人に1人が発病する。症状が軽いタイプもあるが、デュシェンヌ型は乳児期から歩き方などに症状が出始め、成人期に歩行や呼吸が難しくなり、死に至ることもある難病。現在のところ、。機能訓練や関節拘縮予防のためのストレッチのほか、心不全・呼吸障害に対する対症療法が行われる。平均寿命は個人差はあるものの30と言われている。

 

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