#2 家族ゲーム
──翌早朝
「(ガバッ)あすか! あ、あれ……?」
「ん~、お兄ちゃん、寒い~。布団元に戻してよ~」
「あ……あぁ……」
「まだ6時前じゃん……もうちょっと寝ようよ~」
「そ、そうだね……って、何で俺、ここで寝てるの? しかも美子ちゃんと」
「ん~、起きてから話すから~。おやすみ~……zzz」
「ちょ、ちょっと? ……まさかホントに寝ちゃった?」
「……zzz」
「……どうしよう……このまま俺が布団から出て美子ちゃん起こすの悪いし……取りあえず……寝るか。……息遣い合わせて、体温感じて、一体化する感覚……で……zzz」
「……♡」
──昼過ぎ
「──ちゃん、お兄ちゃん、そろそろ起きよ?」
「……え?」
「おはよ、お兄ちゃん♡(チュッ)」
「──?! 美子……ちゃん? な、何で……」
「も~、まだ寝ぼけてるの? 昨日酔いつぶれて寝落ちして、そのまま布団かけてあげたら私を抱きしめてきて、そのまま一緒に寝たんじゃない」
「……マ、マジで? ご、ごめん! 俺、何て事を──」
「ぐっすり寝られた?」
「そりゃ、びっくりするくらい熟睡できたけど──」
「良かった♡ お兄ちゃん、最近ぐっすり寝てなかったでしょ」
「確かにロクに睡眠取ってなかったけど──」
「あ、お風呂沸いてるから、入っておいでよ。その間に朝ごはん用意するから。って、朝昼兼用になっちゃうか、この時間だと」
「で、でも──」
「早・く・し・て! 布団干すから!」
「は、はい!」
──昼ご飯中
「どう、おいしい?」
「あ……うん。おいしいよ……けど……ご飯食べたらそろそろ帰らないと……」
「ん? 昨日言ってたじゃん。あすかさん、今実家帰っていないって。幸子が帰ってくるまで家にいてくれるって」
「──?! 俺、そ、そんな事、言ってた?」
「そうだよ~、まさか、覚えてないの?」
「あ、い、いや……」
「という事だから、暫くよろしくね、お兄ちゃん」
「あ、あぁ……」
──夜
「あ~あ~、お兄ちゃん、ま~た酔いつぶれちゃって……そんなにお酒、弱かったっけ?」
「……zzz」
「もうちょっと私に付き合ってくれればいいのに……けど、それだけ私に気を許してくれてるって事だよね」
「……zzz」
「今日も私が話してばっかりだったね。私のくだらない話、一杯聞いてくれてありがとね」
「……zzz」
「それにしてもお兄ちゃん、あんな嘘にコロっと騙されて……どれだけ単純なのよ。お姉ちゃんや伊織さんが言ってた通りだよ、ホント」
「……zzz」
「寝てるお兄ちゃんに話かけて、私、バカみたい。……お兄ちゃん、こんな生活、毎日してたんだね……5ヶ月も……」
「……zzz」
「公園のベンチで……いつも一人で話しまくってたもんね……知ってるよ? 私、見てたから……」
「……zzz」
「虚しくなかった? 無駄だと思わなかった? ……信じてたんだよね、絶対良くなるって。……伝わるって」
「……zzz」
「報われなかったんだね……何一つ……あんなに身を粉にして頑張ったのに……」
「……zzz」
「お疲れ様、お兄ちゃん。……今日も一緒に寝よっか。また抱きしめてあげる。……吐き出させてあげる。……全て受け止めてあげる」
「……────ッ」
「暖かい? お兄ちゃん……心臓の音、聞こえるでしょ?」
「────ッ」
「お兄ちゃんは……1人じゃないからね。私達……私の……大事な……大切な……大好きな家族だからね。これからもずっと……一生……一緒に……ね」
「────ッ」
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