第4話:裏の顔
暇トーク、援デリ
「そういえば、1人でやってる時は暇トークっていうアプリ使ってるんだよね。ちょっと探りいれてみたけど、サイト誘導ばっかじゃん。これ、ホントオイシイの?」
「当然、そういうのも多いですが、だからこそオイシイんです。たくさんアプローチした中でまともなレスあったらどう思います?」
「……確かに嬉しくて舞い上がるかも」
「そういう心理、利用してます。ただ、冷やかしも多いですけどね」
「……上手いね。でも、サイト斡旋みたいなのばっかりだと、見つける前に投げ出しちゃいそうだけど──」
「大丈夫、皆さん暇だから暇トークしてますから♪」
「そういうものかねぇ……」
「そういえば援デリって知ってます?」
「んー、言葉は聞いたことあるけど、よく分からないなぁ」
「こういうアプリなど使って援助交際する子を個人でやってると見せかけて斡旋する業者です。中高生を主に使ってやってますので、知っている人は業者と知りながら会ってますね。大体2万で、女の子の取り分は1.2万ですね」
「……モロヤバイ匂いがプンプンするけど、ヤクザさん絡んでそうだね」
「あ、ヤクザさんもやってますし、ヤンキーさんもやってます。 力の強いバックに吸収されるのがオチなので、素人が手出さない方がいいですね」
「……どういう事?」
「お客のフリして入って、脅して傘下に入れるんです。個人でやってる子、殆ど傘下に入れられますね。そうやって売り子増やしていくんです。ヤンキーさんバックだったらヤクザさんに取られますし」
「……今までよくヤクザさん逃れて1人でやってこれたね」
「私の場合、ぷちオンリーだからバッティングしないんです。それでも、入墨入った人とか何人か相手してますけどね」
「……異様に修羅場くぐってるね。そもそも、どこでそういう情報仕入れるの?」
「あ、オテテの仕事で仲良くなったお客さんの知り合いがヤクザさんみたいでして、その人に色々教えて貰いました♪」
「要するにヤクザさんが商売ネタで使っているアプリだからオイシイよ、と」
「はい♪ こういう方達はお金に敏感ですから♬」
──人づてとはいえ、ヤクザさんの情報を駆使して最先端の売りの形を確保しているユキさんでした。
衝撃の事実判明
「そういえば、さぁ。ふたばちゃん、男飼ってるじゃん? 下着売りって彼氏公認なのかなぁ?」
「そりゃ公認に決まってますよ。むしろ彼氏が率先して下着売りに行かせてる筈ですよ」
「──?! 彼氏、嫌じゃないの……かな?」
「ヒモ男なんて逆に大歓迎に決まってますよ。私が行ってる風俗の子達、毎日のように出てる子いるんですけど、彼氏に勧められて働いて、毎日仕事行かされるって。みんな似たり寄ったりだと思いますよ」
「──! そ、そういうものなんだ。毎日よく稼ぐね〜」
「いや、毎日だとかえって効率悪いですよ。平日だったらせいぜい2ー3万がいいくらいですよ、朝から晩までいて」
「……それでも十分な気がするけど」
「8時間拘束されてそれじゃ、割に合わないですよー。だから私は月に2日くらいしかいかないんです」
「──って、サラッと言うから思わず聞き流しちゃったけど……君、風俗嬢もやってるの?」
「あれ? 言ってませんでした?」
「接客業やってるとは聞いたけどそれが風俗とは、ね……ま、今更何聞いても驚かないけどね。それで君は1日いくら位くらいになるの?」
「少ないですよー、8時間いて私に入るのは8万くらいですから」
「──!? 1時間2万でお店と折半だとして、16万……8人? 休みない……というか大人気じゃん」
「そりゃ、長年やってますし〜、常連客いますし〜、私、カワイイですし〜♪」
「……今年20歳だったよね?」
「?? そうですよ、学生証見せましょうか?」
「……な、長年って……な、何歳からやってたの?」
「……エヘ♪ ノーコメントで♫」
(思いっきりヤバイ違法店のような……)
「いいお店ですよ~♪ プライバシー完全に守ってくれますしー」
「……こんな高学歴な子が、可愛い子が、清純そうな子が、何故──」
「だ・か・ら♥ 若い子の物欲は底なし沼なんですって♪」
(ホント、末恐ろしい子……)
アリバイ工作の為に普通のアルバイト?
「ちょっと変な事聞くけどさぁ、今まで普通のバイトした事ある……筈ないか。援交ビジネスに風俗嬢やってるくらいだし」
「ちょっ、失礼な、ありますよー! 飲食店で。そもそも最初にジュンさんと会ったのは喫茶店で、私、ウエイトレスやってたじゃないですかー」
「そういえば……そんな事もあったっけ。 素朴になんで喫茶店でバイトしてたの? いつから?」
「……高校からお金を遣う口実で」
「──え?」
「私、かなり昔から色々お金稼いでたんですけど、お金あっても遣えなかったんです。親にバレちゃうから。気が狂いそうでしたよ、お金あっても遣えないのは」
「だから、稼いだお金遣う為にわざわざ喫茶店でバイトしてたんだ」
「えぇ、親には時給2,000円って嘘ついて♪」
「で……いくら稼いでる事になってたの?」
「1カ月20万くらい♪ 少ないですけど、これでお金遣えるようになったんです♫」
「……高校生のバイトにそんな払う飲食店なんて日本にはないって──」
「いーや、きっと探せばありますって。メイドカフェだってそれなり、ですよね?」
「……高校生雇わないって、確か」
「スナックとかお水関係あるじゃないですかー」
「……同じく高校生雇わないって」
「え? 私、オテテの風俗で雇って貰ってましたよ?」
「……思いっきり違法店だし……」
「ま、探せばいくらでも見つかるものですよー」
「ま、まぁそう……かもね」
「ただ、私は時給1万円以上ないとイヤだなー。1日で1~2万じゃ、私飢え死んじゃう♪」
「時給1万なんて風俗でも難しいわ、恐らく」
「えぇ、だからペアでやってるんじゃないですかー♪ 期待してますよ、これから♫」
──色々感覚が狂ってるユキさんでした。
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