たくみの営業暴露日記 Epilogue Asuka #8 空も飛べるはず
※以下の「美子ちゃんの結婚式」の続きみたいなものです。
■美子ちゃんの結婚式後、旧美幸の家にて
「お兄ちゃん、今日はありがとね」
「いや、俺も呼んでくれてありがとね。正直場違い感半端なかったけど」
「そんな事ないから! お兄ちゃんは私達の家族なんだから!」
「ありがとね、未だにそんな事言ってくれて。ただ……もう俺はここに来る事はないよ」
「え? どういう……事?」
「改めて……結婚おめでとう、美子ちゃん。……旦那さん、いい人そうじゃん。妊娠して責任取る! なんていう男なんて中々いないし、全てを知ってて結婚してくれるんでしょ?」
「う、うん……」
「だったら……旦那さんだけ見てなくちゃ。俺なんかがいたら……旦那さんもきっと面白くないと思うし」
「…………」
「幸子ちゃんは……もうちょっと先かな? けど、いずれいい出会いに恵まれる筈だから。俺なんかがいたら……ね」
「で、でも!」
「これから大変だよ? 赤ちゃん産まれて家族増えて……きっと自分達の事で精一杯になっちゃうって」
「…………」
「今まで……こんな俺を家族の一員にしてくれて……ありがとうございました!」
「お兄ちゃん……これからどうするの?」
「ま……暫くはあすかと旅行しながら生きていくよ。アイツ、1人で寂しがってると思うから」
「……その後は?」
「……ま、いいじゃん」
「ダメだからね、死んじゃ。辛くてどうしようもなくなったら……帰ってきていいから。その時は……また一緒に住もうよ。私は……離婚しても構わないから……約束ね?」
「……ありがとね。俺は……大丈夫だから」
「ホントにダメだからね!」
「…………」
時間旅行
──某高級クラブ店
「最初にあすかと会ったの、ここだったよね。……斎藤さん、驚いてたぜ? あの紗理奈が普通に喋って接客するなんてって……お前、どういうキャラだったんだよ……よくそれでやっていけてたよな……しかも何故か人気あったみたいだし……」
──某喫茶店
「次の日、あすかが会社で声かけてきてくれて……あれは驚いたな~……何で昨日の店の子が会社にいるんだって……そういえばここ、しょっちゅう来てたけど、ランチを食べた事、一度もなかったな~……いっつも何故か真昼間から飲んでたし……」
──某遊園地
「結局この遊園地、何回来たっけ。子供っぽいとかいいながら、滅茶苦茶好きだったよね。そういえばあすか、伊織さんともここに来たんだよね。伊織さん、次の日全身筋肉痛でうなされてたんだから……」
──某夜景の見える公園
「……一体ここで何回お前に妨害されたっけ……これくらいで去っていく様じゃどのみち長続きしないからって……誰でも去ってくっちゅ~ねん。……ま、何とか言いながら、いつしかそれが楽しみになってたけどね……」
──某山道
「何故かこの山道、好きだったよね。何かの漫画の影響か知らんけど、何故かストップウォッチでタイム計ってたっけ。一度、溝落としにチャレンジして失敗して、通りかかった車の人達に手伝って貰って溝から脱出してたっけ……」
──某サーキット場
「ここ、狂ったように来てたよね。私は風になる、とか訳分からん事言って……結局コースレコード寸前までいったんだっけ……」
──某海岸・川沿いの堤防
「いっつも台風になると台風見に行こう! って……海や川沿いの堤防に行ったよね。何度死ぬ思いした事か……」
──廃墟の数々
「何故か心霊スポットも大好きだったよね。この辺の心霊スポット、結局全部網羅したっけ。あ……あの時の落書き、まだ残ってるや。瞳&アキラ参上って……ホントバカやってたなぁ……」
──某遊園地
「ここも何度連れられて来た事か。特にこのジェットコースター、狂ったように何度も乗りまくってたよね。いっつも帰る時はクタクタになって助手席で寝てたよね……」
──某ホテル
「ここ、どれくらい来たっけ。ポイントカード溜まりまくって、バッグ貰ってたっけ。そういえばここの飯、意外に旨かったよね……」
──某ショットバー
「あ……ここ、経営者変わったんだ。内装もガラリと変わっちゃって……いっつもこのカウンターの席に座って飯食ったり酒飲んでたっけ……」
──某ビルの屋上
「よくこのビルの屋上来てたよね。下界を見下ろしながらよくお酒飲んだりイチャイチャしてたっけ。そういえば一度だけ他のカップルとバッティングしたっけ。あれは気まずかったなぁ……」
──某神社
「ここも良く来たよね、何故か年に何回も。その度におみくじ引いてたっけ。大吉出るまで引き続けて最高12回引き続けたっけ……」
──某山奥のミカン畑
「そういえばここも来たなぁ。人の家のミカン勝手に取ってたら見つかって、何故かミカン狩らせて貰ったっけ……」
──某病院
「……ここにあすか、入院してたり通院してたりしてたんだ……ホント、知らなかった……」
──某ビル屋上
「ここが……あすかが最期にみた風景? で、ここに立ってた訳? うぅぅ……怖え~、思わず股間がヒュンとするじゃん。で、ここに立ってたら思わずバランス崩して下に落ちちゃったんだ……ドジだなぁ、あすか……」
──某ビル下の路上
「で……ここに落ちたんだ。痛かったでしょ。……ちゃんと天国行けた? あ、自殺だとちゃんと成仏出来ずに地縛霊になっちゃうとか聞いた事あるけど、もしかしてまだここにいる? だったら、1人で寂しいだろ。……毎晩俺が付き合ってやるよ。うぅぅ、31歳にもなって路上生活する事になるとは流石に予想出来なかったよ。……ま、いいけどね」
──某ビル下の路上(1週間後)
「……あすか、中々出てこないね。丑三つ時に欠かさずいたけど、全然幽霊で出てこないじゃん。写メ撮っても映らないし。……やっぱ、俺も同じ事しないとダメか~……ラクしようとしちゃダメか~。ただ、ごめん……もう少し心の準備させて? あそこから飛び降りるの、かなり勇気いるからさ。……チキンでごめん、もうちょっと待ってて。何? いつするって? そうだな~……手持ちのお金がなくなってからにしよっかな……え? それじゃ遅い? わ、分かったよ……3日後! 酒飲んで酔っぱらってその足でいくから! ま……一緒に地縛霊にでもなって……ここを有名な心霊スポットにしようや……!」
(…to be continue to the last epilogue)
補足?
はい、我ながらかな~りヤバイ内容ですね。何というか・・・自殺に至るまでの心理推移とでも言えばいいのでしょうか・・・
自分は人生で3度程、自殺について考えた事ありますが(うち、1回はIT病の時。畑口の事には触れていませんが、HPに既に書いていた内容ですね)、この時が一番ヤバかったですね。
「やっぱあの時、死んでればよかったじゃん・・・何が使命だよ、やる事があるだよ、単なる逃げの言い訳に過ぎないじゃん。俺がグズグズしてたから、臆病だから・・・あすかまで・・・このままじゃ、更に俺の為に犠牲が・・・」
冷静に今見れば「なんだ、この狂った考えは・・・」という思考回路ですが、当時は本気で自身が死神なんだ、と。生きていたら、また犠牲が生まれるな、と。勇気出して気合で逝かないとな、と。
・・・ま、そんな事ばかり考えていました。
冷静に分析すると、フラフラ~っと衝動的にドン!という感じは一切なかったので、うつではなかったのでしょう。ただ・・・まともな精神で、計画的に予定をたてて自殺を、という時点で何かしら狂っていた気もしますがね。。
さて、九重のエピローグはこれで終了ですが、次のエピローグとセットみたいなものです。
恐らく今までで一番「嘘だろ、それ」という内容になります。
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