たくみの営業暴露日記

たくみの営業暴露日記 第三部 第27話:意志を引き継いで・・・

意志を引き継いで・・・たくみの営業暴露日記
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第27話:意志を引き継いで・・・(外伝最終話)

──フフッ……これで何日目?……何も食べずに飲まずに眠らずに……意外に身体って壊れないんだ……けど、そろそろかな? 手足の感覚もなくなってきてるし……視界も霞んでるし……音も殆ど聞こえないし……

あ、今なら寝れるかも。……あ~、頭がジーンとするな~……何か気持ちいいな~……美幸と一緒に寝てるみたいだ。

……目が覚めたら……あの世かな? どんな所だろう? 美幸に会えるかな……あ、俺は地獄にいくだろうから、会えないか……ま、しょうがないか。

美子ちゃん達、大丈夫かな? きっと凄い辛いだろうな……悲しいだろうな……俺のせいでホントごめん。けど、美幸のお姉さんがしっかり面倒みてくれる筈だから、どうにか立ち直って元気になるか。

喫茶店のママさん、大丈夫かな? 美幸いなくなって売上がた落ちだろうな。ただ、半分道楽でやってるっていってたし……どうにかなるか。

あ……会社に連絡入れるの忘れて……別にどうでもいいか。……どうせ誰も心配してないだろうし……俺がいない方がせいせいする筈だし……

お客さんに挨拶……いらないか。今後二度と会う事ないし……数カ月もしないうちに俺の事なんかすっかり忘れる筈だし……

俺は……もういいや……いない方がきっといい筈だし……生きてる資格もないし……生きてる意味も分からないし……誰もいなくなっちゃったし……ちょっと疲れたし……

過去の出来事が走馬灯のように……なんて、実際は……ない……ん……だな。幻覚も……幻聴も……ないし……最後に……見た……か……っ……た…………

春の息吹が感じられる3月下旬、加藤は県外れの橋の下で命の灯を消そうとしていた。どうして首吊りや飛び降り等の手段を取らなかったのか……覚えていない。ただ、生への執着は限りなくなかった……死んでしまいたかった。これだけは覚えている。

……これで加藤は物語を終えたかった。が……運命はそれを許してくれなかった。

生と死の狭間で……

まどろみの意識の中で、過去の出来事がやけにリアルに再生された。

……────

『ごめん、美幸がせっかく紹介してくれたのにまた契約に結びつかなくて。……俺、この仕事に向いてないのかな……』

『www 別にいいよ~。そういうつもりで紹介してる訳じゃないし。契約に中々結びつかないたくみ君だから、安心して紹介してるんだから』

『い、意味分かんないんだけど……どういう事?』

『だって、その人の為だけを考えて提案してるじゃない。全然無理強いもしてないし』

『い、いや……単にトーク力なくて押しが弱いだけ──』

『私は……たくみ君の仕事の仕方、好きだな。営業マンや商売人としては失格かもしれないけど、FPとしては理想的だよ』

『……何か喜んでいいのか悲しんでいいのか分かんないんだけど……』

『少なくとも、私はたくみ君みたいなFPの仕事をしたいと目標にしてるんだから。誇りに思ってよ』

……──

『お兄ちゃん、良かったね♪』

『え、えっと……何が?』

『プロポーズ上手くいって』

『あ、ありがと。……って、何で知ってるの? もう美幸から聞いたの?』

『聞いてるこっちまでドキドキしちゃった♡』

『──?! き、聞こえてたの? ま、まさかその後……まで?』

『あ……い、いや……その後は寝ちゃったから……あ、安心してね』

『……ま、いいや。今後……気を付けよ……』

『……邪魔じゃない?』

『ん? 何が?』

『……私達。ホントに私達も一緒で……いいの? 迷惑……じゃない?』

『何言ってるの? 邪魔な訳、ある筈ないじゃん。美子ちゃんや幸子ちゃん、豪君もとっくの昔に俺の大好きな家族になってるから』

『……///』

『これから、もっと我儘言ってよ。我慢も遠慮もしないでいいから。……本当の家族になるんだからさ』

『う、うん……わ、私……じ、実はだ、大学……い、いや、何でもない』

『www 美子ちゃんも幸子ちゃんも……美幸も、責任持って大学まで面倒見るから安心して。元々そのつもりだって』

『ホ、ホントに? いいの? 大学行って』

『いいに決まってるじゃん。あ、できたら日本の地元の大学にしてね。流石に海外の大学や下宿だとキツい──』

『キャー、ありがとー♡』(思いっきり抱きつきの図)

『ちょ!/// そんなに抱きつかないで……ちょっと反応しちゃうから///』

『絶~対、約束だよ? 私も幸子も大学行かせてね』

『男に二言はないから……だから、そろそろ抱きつくのやめよ? ね?』

『あ……もしかして興奮した? する? いいよ、お兄ちゃんなら。けど私、お姉ちゃん裏切れないからセフレにしかなれないけど、いい?』

『……バカ!』

『wwwwww』

……──

『お兄さん、おめでとうございます! 良かったですね』

『ま、まさか幸子ちゃんまで……?』

『あ、い、いや……全部は聞いてないですから。好きで好きでしょうがないっていう所くらいまでで後は寝ちゃいましたから』

『ほぼ全部じゃん……ま、いいけど。……ホント、今後気を付けよ』

『あ、あの……ホントに私も大学行ってもいい……んですか?』

『ん? いいに決まってるじゃん。……その前に幸子ちゃんは高校受験だけどね』

『────』(無言で強く抱きしめの図)

『ちょ、ちょっと強く抱きつくのやめて貰っていいかな? な、なんか変な気分になっちゃうから』

『わ、わ、私……お兄さん相手だったらセ、セフレになってもいいですよ』

『……バカ。美子ちゃんの真似しなくていいから』

『wwwwww』

……──

『美子ちゃん? 何見てるの? こんな所で』

『──?! お、お兄ちゃん? ど、どうしてこんな所に?』

『いや、たまたま仕事で用事あってね。そしたら美子ちゃん見つけたから。……へぇ、美子ちゃん、テニスやりたいの?』

『……学校の友達に部活誘われて……あ、い、いや……何でもない。やっぱり興味ないや! 私、運動音痴だし、家でゲームやってた方が楽しいし!』

『www 多分見てたのこれだよね? 後、シューズだったよね。確か美子ちゃんの足のサイズは24cmだったよね。……じゃ、これかな? じゃ、会計いこっか』

『──?! ちょ、お兄ちゃん……い、いいよ、こんな高価なもの……』

『www いいよ、これくらい。ま、ちょっと早いクリスマスプレゼントという事で』

『で、でも……』

『テニス、やりなよ。ホントは部活やりたいんでしょ? けど、美子ちゃんの事だから、お金かかるからとか、家事できなくなるからとか、そんな事考えて今まで遠慮してたんでしょ?』

『…………』

『大丈夫だから。俺も家事なるべく手伝うし、お金も……もう俺がいるから、さ。普通に高校生活楽しんでよ。……友達もたくさん作って、さ』

『い、いいの……かな?』

『いいに決まってるじゃん。あ、言いにくかったら俺からお姉ちゃんに言ってあげるから。……楽しそうにテニスしてる美子ちゃん、俺も見てみたいし』

『……ヘンタイ』

『──?! な、何をいきなり……』

『テニスの短いスカートからはみ出る太ももやパンチラ見たいんでしょ? お兄ちゃんのドスケベ!』

『そ、そんなんじゃないから!』

『www 冗~談。……ありがとね♡ 毎日、お兄ちゃんになら見せてあげるから。……毎日、夜のおかずにしていいからね』

『……バカ!』

『wwwwww』

……──

『お? 幸子ちゃん。こんな所で勉強?』

『──?! お、お兄さん……どうして……?』

『たまたま外から幸子ちゃん見えたから。……そっか、毎日帰りが遅いと思ってたら、こんなコンビニのフードコートで勉強してたんだ……けど、ここだとちょっとまわりの目とか気にならない?』

『け、けど……他にいい場所知らないし……』

『……じゃ、俺の事務所おいで。そこで勉強していいから。ここよりは絶対環境いいし、何より安心だからね』

『え? いいんですか? あ……で、でも……そこまでいくお金が……』

『www それくらい俺が出すよ。あ、定期買った方が効率的かな?』

『で、でも……迷惑じゃ──』

『幸子ちゃんなら大歓迎だよ。幸子ちゃんが勉強してる姿みてたら俺も頑張らなきゃな~ってやる気になるしね。それに、家庭教師だって美子ちゃんに邪魔されずにできるし、一石二鳥じゃん』

『……ヘンタイ』

『──?! な、何が?』

『二人きりの部屋で家庭教師って……私にイヤらしい事する気ですよね? お兄さんのエッチ!』

『そ、そんな事する筈ないじゃん!』

『www 冗談です。ありがとうございます♡ ……Bまでならいいですよ、お兄さんなら』

『……マセガキ!』

『wwwwww』

……──

──私……お姉ちゃんと同じ高校にいって、もっとも~っと勉強して、お姉ちゃんと同じ大学入って、大きな会社に入って……お姉ちゃんにラクさせてあげたいんです

──お姉ちゃん、凄い苦労したから……私達の為に好きな事も出来なかった筈だから……早く立派になって、お姉ちゃんに恩返ししたいんです

──私、お姉ちゃんみたいになるのが夢なんです。……すっごい高い目標だけど……私の憧れだから

……──

『──という感じで……国の制度をフル活用すれば、どうとでもなる事が分かったよ。……お母さんが生前中、美幸さんが仕送りしてた今までより、もしかしたらいい生活送れるかも。役所の●●さん宛に連絡すれば、話は通してあるからスムーズに事は進む筈だよ』

『……こ、こんな仕組みがあったなんて……今まで何だったんだろう。し、知らないって、怖いね……日本って、実はいい国だったんだ……ホント、な、何とかなるもの……だね』

『これで……美幸さんも例の仕事から足洗えるんじゃない? 収入的には働かなくてもいいくらいだと思うけど、何もしないで暇だったら、テキトーに昼間のパートでもすれば~って感じだね』

『わ、私……普通の生活して……いいの? ソープいかなくて……いいの?』

『いいに決まってるじゃん。更に言うなら、金銭的負担がなくなるなら、お姉さん家で妹さん達、みて貰えるかもね。だとしたら……例の同棲してた彼氏だって戻ってくるんじゃ──』

『それは……もういいよ』

『ま……何にせよ、普通の生活は送れる様になるよ、これで』

『夢じゃ……ないよね。もう……頑張らなくていいんだ。普通で……いいんだ。ホント……何から何まで……ありがと』

『ま、動いた成果出て良かったよ。じゃないと、口だけ男になっちゃう所だったからね』

『やっぱり……加藤君は運命の人だったんだ……ホントに私をあの世界から救ってくれたし……』

『ま~た古い話を……ま、まぁ……結果的にホントにそうなった……のかな? ま、俺みたいなヤツでも人の役に立てるって事が分かって……美幸さんの笑顔見れて、良かったよ』

『どれだけ返せるか分からないけど……これからも私と付き合って……ね』

『ん? いいよ~』

……──

『──これで荷物、最後?』

『うん、ありがとね。あ、ご飯食べてく?』

『お! じゃ、頂こうか』

『ほら! あんた達もお礼言いなさい!』

『あ……ありがとうございました……』

『www いいよ~。いきなり訳分からん厳つい男、来たらビックリするよね~。ごめんね?』

『い、いえ///……あ、あの……ど、どうぞ……』

『お! ご飯に味噌汁よそってくれたの? ありがとね』

『み、味噌汁……どうですか? わ、私が作ったんです』

『へ~、どれ。……! オイシイじゃん。凄いね、この年でこんなオイシイ味噌汁作れるなんて』

『え、えへへ……///』

……──

『──ふぅ、今日は飯までごちそうになって悪いね。けど、家族団らんの邪魔しちゃったかな? 妹さん達、怯えてたし』

『そんな事ないよ~。初対面であれだけ懐いたのは加藤君が初めてだよ』

『え? そ、そう?』

『あの子達、凄い人見知りするから。一緒にご飯食べるなんて、奇跡に近いから。加藤君の事、よっぽど気に入ったんだよ、きっと』

『よく分からんけど……そうなんだ。何か嬉しいね』

『♪♬♪♬♪』

『今日はこれで帰るけど、明日何か俺する事ある? あったらまた来るけど』

『あ、だったら……明日、お姉ちゃんの家に連れてってよ』

『ん? お姉ちゃんもいたの?』

『うん。もう結婚してるけどね』

『ま、いいよ』

『じゃ、明日……11時頃にね』

……──

『それにしても……お姉さんや妹さん達見てると……ん~……言っていいのかな……』

『全然似てないでしょ? だって、みんな父親の血、違うから♪』

『──?!』

『お母さん、未婚の母ってヤツで相手から慰謝料と養育費を貰って生活してたの。……だから、ね……』

『い、異様に複雑な環境だね……』

『一刻も早くこの環境から抜け出したくて外に出たけど……家との縁を切りたかったけど……妹達はまだ一人で暮らしていけないから……ね』

『……そっか……大変だね』

『……ありがとね。けど、もういいよ? 後は……私が何とかするから♪』

『いや……今更放っておけないよ。俺が……どうにかするから。最低限の環境は確保しないと。このままじゃ……美幸さんの人生、犠牲になっちゃうじゃん』

『け、けど……』

『男に二言はないって! 俺じゃ頼りないかもしれないけど、色々動いてみるから』

『あ、ありがと/// お、お礼は……どうしたらいいかな』

『んなもん、いいって。また、美幸さんの飯、食わせてくれれば、さ』

『……うん♡』

……──

『お邪魔しま──ん? 荷造り? 引っ越しするの?』

『あ……うん……お母さん死んじゃったから、実家に戻って妹達と一緒に住む事になったから……』

『そ、そっか……け、けど、同棲してる彼氏も一緒でしょ? これを機に結婚するんでしょ? こんな時にこういう事言っていいのか分かんないけど……良かったじゃん』

『……もういないけどね……事情話したら……ね』

『な……何それ……』

『あ~、妹達の面倒、みていけるかな~……』

『今、何歳くらいなの?』

『3人いるんだけど……中3と中2の妹2人と……10歳のダウン症の弟』

『──!』

『あ~あ……私の人生、こんなものだよ……やっぱ去年結婚しておけば良かったかな~。けど……こんな状況になったら離婚されるのがオチか……誰もこんな複雑な環境の女なんて……ね』

『……』

『お金……どうしよっかな~。今の店だと収入的にキツくなるかもだから……ソープしかないかな~。……普通の仕事、したかったな~……けど、しょうがないっか……私しかいないし』

『……俺が……何とかするから』

『──え?』

『どこまで力になれるか分からんけど……出来る限り、動いてみるから。今の環境から脱出できる様に……しないと』

『え? で、でも……』

『何か絶対、手がある筈だから。……もし、何も手がなかったとしても……月50もあれば大丈夫なんだよね? 最悪、俺が面倒みるから』

『──! そ、それって……』

『風俗やソープで働くよりは……マシでしょ? 日の当たる生活、したいんでしょ?』

『……ど、どうしてそこまで……してくれるの?』

『……毎週のご飯のお礼。また……食べたいから……さ』

『……ホ、ホントにいいの?』

『ま……これも運命ってヤツかもね。ま、何とかなるでしょ』

『あ、ありがと///』

『で……まずは引っ越し? 俺も手伝うよ。男手があった方がいいでしょ?』

『あ、ありがと///』

『いいよ、これくらい……頼りないかもしれないけど、俺に出来る事なら何でもするから』

『ありがと♡』

……──

『──ってな感じで、彼氏と同棲したんだよね~。これで3年目だよ』

『……そんなに長い間、同棲してるなら、もう結婚すればいいじゃん。ビビビって来た人なんでしょ?』

『けどね~、ちょっと私、複雑な家庭だから……中々ね~』

『いや、もうこの年で家庭も何もないじゃん』

『いや、ね~……結婚したら色々バレちゃうからね~』

『ん? 何が?』

『私の実家への仕送りとか、仕事の事とか』

『ん? 別にいいじゃん。仕送りって、いくらくらいしてるの? 5万くらい?』

『……40万くらいかな~』

『──は? な、何でそんなに?』

『いや~、色々複雑でね~』

『えっと……お父さん働いてないの?』

『いや~、父親うちいないからね~』

『あ……ご、ごめん……』

『別にいいよ~。実家に3人程、妹達いるからね~。だから、仕送りしないといけないんだよね~』

『そ、それは大変だ……って、40万って……何の仕事してるの? 接客業ってそんなに給料良かったっけ?』

『いや、ね~……ん~、どうしよっかな~……加藤君には教えよっかな~。今日、私の店に来てよ。これ、名刺だから。受付でこれ渡せば、私がつくから』

『ん、分かった。……なるほど、スナックかクラブで働いてるのね。じゃ、夜行くよ』

『……ビックリしないでね』

『??? 今更ビックリも何もないよ。じゃ、20時くらいに行くから』

……──

『ま……こんなお店で働いてる事、バレる訳にはいかないから……ね』

『そういえば……そんな話だったっけ。……辞めればいいじゃん……っていうのも無責任か……仕送りする為のお金の事もあるし……ん~、どうしたらいいんだろう……』

『あれ? もしかして……本気で考えてくれてるの? 私なんかの事を?』

『いや……普通でしょ? だって、その彼と結婚したいんでしょ? だったら、その道筋ちゃんと考えないと……何かいい手ないかな~……』

『……(チュッ)♡』

『──! な、何?///』

『ありがとね♡』

『い、いや……///』

『私の事、嫌いになった?』

『え? 何で?』

『だって……こんな仕事してるし……』

『いや? 別に何とも思わないけど? 美幸さんは美幸さんじゃん。仕事の中身なんて俺にはどうでもいいよ』

『……(チュッ)♡』

『──! ちょっ///』

『また……来週ご飯食べに来てね♪』

『ん? 当たり前じゃん。行くに決まってるじゃん』

『……続きする?』

『結構です!』

『wwwwww』

……──

『また来たの~? ホント暇だね』

『いや~、これも仕事だから。なじみ活動は毎週しないとね』

『www って、いつもご飯食べに来てるだけじゃん』

『いや~、約束したからね。毎週金曜日カレー食べにくるって』

『www 普通来ないって、半年も。よく飽きないね』

『いや~、ホントこの家のカレー美味しくてね。何ならタッパに入れて週3くらいで食べたいくらいだよ』

『www バカ』

……──

『www 取りあえず、ご飯食べよ。お腹空いてるでしょ?』

『ん? まぁ……ね』

『ちょっと待っててね。カレー、大丈夫?』

『あ、好きだよ』

『良かった~。──はい、どーぞ』

『ありがと。……! な、何これ……滅茶苦茶オイシイじゃん!』

『お世辞でもありがと♡』

『いや、お世辞でも何でもなく……今まで食べたカレーで一番おいしいかも。ぅわ~、彼氏羨ましいな~』

『www 毎週金曜日カレーだから、良かったら昼おいでよ。こんなもので良ければいつでも食べさせてあげるから』

『ホント? 本気にするよ?』

『いいよ~。約束ね』

……──

『……そっか、就職先見つかったんだ。……良かったね、おめでと。……ちょ~っと残念だけどね』

『www 何それ~? どういう事?』

『いや~、田中さんみたいなキレイな人と一緒の職場で働けたらさぞかし毎日充実するだろうな~って』

『www 加藤君、いっつもこんな事言ってるの? お世辞でもありがとw』

『いや、お世辞でも何でもないって。田中さん、好みとかタイプとかそういうレベルを超越してるじゃん。誰もが一目惚れする人なんて初めてみたよ』

『www 酔ってる?』

『多分今日の事、覚えてないくらいにはね。ただ、田中さんに一目惚れした事だけは一生忘れないよ』

『www それ、私を口説いてるの? けど、私、もう同棲してる彼氏いる──』

『んなもん、どうでもいいよ。彼氏がいようが、結婚していようが、田中さんの近くにいれれば俺は満足だから。田中さんのピンチな時には全てを投げ出して助けるよ……多分』

『www ストーカーじゃん! 怖いよw』

『ま……何年後か分からんけど、巡り巡ってもし一緒になったら、またここで飲もうよ。……多分今日の事、覚えてないと思うけど』

『wwwwww』

……────

──私、将来的にFPを仕事にしてみようかな~って思ってるから

──たくみ君が私にしてくれた様な事、私もやってみたいな~って♪

──前の私みたいに困っている人、きっと世の中たくさんいると思うから、1人でも多くの困っている人を救ってあげれたらな~って、ね。昼間の仕事、どうせやるなら人に感謝される仕事したいな~って♪

──ううん、困ってる人の手助けする為に完全に中立の立場で何処にも所属しないで純粋にFPの仕事やりたいな~って

──だから、私が先駆者になろうかな~って。まともにコンサルしたら、保険はいらないよ~っていう人も多そうだし

──あ、それはHPで情報発信していけばいいから、どうとでもなるよ、多分。誰もやってないし

──きっとお金は後からついてくるから。……素敵じゃない? 私達のおかげで人生救われたっていう人、増えたら

──絶対、たくみ君にも合ってるって。一緒にやろうよ~。暫く今の保険屋さんと平行してやっていってもいいから♡

……────

「……俺、まだやる事、やらなきゃいけない事……残ってるじゃん」

「約束……守らなきゃ。2人に絶対大学行かせてあげるって……言ったじゃん、俺」

「環境も……用意しなくちゃ。予備校も……行かせてあげなきゃ」

「死んじゃ……ダメじゃん。生きて……償わなきゃ。……どれだけ辛くても、苦しくても、寂しくても……壊れてでも……!」

「美幸、ごめん。……俺、もう少しだけコッチにいないと。美幸は何年で壊れたっけ? 19歳の時からだとして……5年? じゃ、5年だけ……待ってて。それまでに全てを終わらせるから」

「独立系FPだっけ? やりたいって言ってたの。……俺が美幸の意志を……引き継ぐよ。すぐにはできないかもだけど……5年以内には絶対に。全身全霊かけて……化け物になってでも美幸の夢、叶えるよ」

「痛みも疲れも……感情もなくして、キレイに壊れて逝くから……天国から見てて……!」

──外伝 Fin

※本編はまだ続きます。その前にエピローグを数話書く予定。……ちょ~っと心温まって救われる話です。

挿話?

ここまで読まれた方、お疲れ様でした。

外伝はこれで最後になります。(2話ほどエピローグを書く予定ですけどね。流石に……これで終わるとかなり悲惨なので。エピローグ2話を含めて、1つの物語が完成と思って下さい。……年数が飛ぶので実は営業物語からかけ離れますけどね)

当時の壊れっぷりを、感情を表現するのは、中々に難しいです。文章力がもう少しあれば、もっと心に響く内容になったと思うのですが……今の自分ではこれが限界です。これでも、ボロボロ泣きながら書いてましたぜ。。。今でも中々にキッツイ・・・

前回くらいに書いたと思いますが、リアルと時間軸がそこそこズレているので、そこそここれも弄ってます。ま……自殺未遂みたいな事したのはホントですけどね笑

取りあえずまずは銭をどうにかしよう……と、リアルだとここから2年程保険屋続けて、そこからFPへの道となります。

この内容、ホントはもっと前に書きたかったのですが……書けるようになるのにここまで時間かかりました。

ホント、長年、ずーっと隠して来た事なので、書ききって「あ~、すっきりした~」という気分です、はい。

「え~、これ……創作でしょ? いくら何でもこれはやり過ぎだよ~」

こんな声も聞こえて来そうですが、リアルだともっと創作くさくなるという……現実は小説より奇なり、でっせ、ホント。

……時間ある時、完全ノンフィクション版書こうかな、どこかで。

 

次回は本編に戻る前にエピローグを少々。

涙腺弱い人は、ぶわ~っとなるかもしれません。ちょ~っといい話です。

今しばらくお付き合い下さいませ。

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