たくみの営業暴露日記

たくみの営業暴露日記~最後の210日~第19話:命懸けで風俗に・・・?

命懸けで風俗に・・・?たくみの営業暴露日記
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第19話:命懸けで風俗に・・・?

「ご、ご指名ありがとうございます。わ、私、唯……じゃなくてみなみと言います。よ、よろしくお願いします」

「あ……俺はたくみと言います。こ、こちらこそ、よろしくお願いします」

(お、俺は一体何をしているんだ……こんな所で……)

加藤はとある風俗店に来て初対面の子と挨拶を交わしていた。根っからの女好きである常連の斎藤さんに連れられて……ではなく、畑口の指示で。

場面は少し遡る。

畑口とカラオケ店での出来事の後──少なくとも加藤は畑口との関係が大きく変わっていくものだと思っていた。優しく抱きしめられながらの言葉の数々は、加藤でなくともその後の未来を予感してしまうであろう。が──

──30分にも及ぶ懐抱の後(前回の続き)

「さて、たくみちゃん……これから──」

(き、来た……! ま、まさか伊織さんと深い仲になるとは……い、いや……よくよく考えたらかなり前から予感してた? こうなる事を望んでた? 気が付いたら伊織さんには何でも話をするくらい心許してたし……)

「──分かった?」

(──?! し、しまった……あれこれ考えてるうちに聞き逃して……もう一度聞き直し……いや、これ以上言わせては……伊織さんも一応は女性だし……ここは男らしい所も見せておかないと……!)

「はい。伊織さんに言われなかったら……俺から言うつもりでしたから」

「たくみちゃん……珍しく男っぽいじゃん……けど、ホントにいいの?」

「男に二言はありませんよ」

(よし! 流れは完璧だ! このまま──)

「じゃ、いってらっしゃい。私はここで待ってるから、終わったら戻って来てね」

(──は? いってらっしゃい? 私はここで待ってる? ど、どういう事……だ?)

「何キョトンとしてるの? もしかして1人で行くのが不安なの? けど、風俗に私が一緒について行く方がおかしいでしょ?」

(──?! 風俗? な、何言ってるんだ、この女……)

「あ、九重ちゃんには黙っていてあげるから心配しないで思いっきり楽しんできて」

「い、嫌ですよ……何ですか、この狂った展開は……お、俺の症状を伊織さんが治してくれるんじゃなかったんですか?」

「だから風俗に行くんでしょ! 欲望に忠実になる事が症状緩和の近道になる筈だから! つべこべ言わず、好みの子を買って来なさいよ! 元々行きたかったんでしょ! 男に二言はないんでしょ!」

「わ、分かりましたよ……行ってやりますよ! 風俗でも何でも! どうせごねたところで絶対行かされる未来が見えますし。……やるからには、徹底的にやってやりますよ!」

「ほ~ら、やっぱり風俗に行きたかったんじゃない。何とかいって、たくみちゃんも人並みの男心があるって訳ね。その調子よ」

「(クソッ……! この女、俺の純情を弄びやがって……絶対ぎゃふんと言わせてやる……!)」

……という訳の分からない流れで、カラオケ店の2つ隣の風俗店へ。

風俗

「──いらっしゃいませ! お客さん、こちらは初めてですか?」

「あ、は、はい……」

「当店のシステムは────となっております。何かご質問はございますでしょうか?」

「あ、い、いえ……」

「それでは! こちらの女の子達の中からお選び下さい! どうぞ!!」

──マジックミラー越しに7人程ズラリと下着姿の子、登場

「どうです? どの娘にします? どの娘もオススメですよ!」

「えーっと……で、では……みなみちゃんって娘で……」

「──! お客さん、お目が高い! みなみちゃんは今日入ったばかりの娘で、なんと! お客さんが初めての相手になるんですよ! みなみちゃんを……お客さん色に染めちゃって下さい! では、今から準備致しますのでこちらで暫くお待ち下さい!」(奥へ消えていく店員)

──2分後

「お待たせしました! では一番奥のお部屋へどうぞ!」

……そして場面は冒頭へ戻る。

お互い挨拶をしてから、無言の何とも気まずい時間が数分続いた。本来であれば新人の子を上手くエスコートするのが男のたしなみなのかもしれないが、加藤にそれを求めるのは酷であった。何せ、この時、加藤は人生2度目の風俗であったのだから。

みなみと名乗る女性はというと……営業スマイルは引きつっていて、握った拳が少し震えて……まるで狼に囲まれた子羊の様に怯えている始末。そんな彼女の様子に気付いた瞬間──加藤の中にある2つのシーンが再生された。

『お金……どうしよっかな~。今の店だと収入的にキツくなるかもだから……ソープしかないかな~。……普通の仕事、したかったな~……けど、しょうがないっか……私しかいないし』

『お客さん、お目が高い! みなみちゃんは今日入ったばかりの娘で、なんと! お客さんが初めての相手になるんですよ! みなみちゃんを……お客さん色に染めちゃって下さい!』

そして……加藤はかつてない程──暴走した。

「俺が……どうにかしてやるよ……」

「……え?」

……────

──3時間後、畑口の待つカラオケ屋

「すいません、ちょっと遅くなっちゃいました」

「遅い! どれだけ溜まってたのよ! 限度ってもの……が……? た、たくみちゃん、後ろにいる子は……誰?」

「え? そこの風俗にいた子ですけど?」

「は、初めまして……私、西脇 唯と言います……よ、よろしく、お願いします……」

「え、えっと……たくみちゃん、い、意味が分からないんだけど……」

「いや~、最初はどうなる事かと思いましたが、何とかなるものですね。気合の示談交渉成立させてきましたよ」

「気合の……示談……交渉?」

「何か厳つい人に褒められちゃいましたよ、お前みたいなヤツは初めてだって。その度胸は若い衆に見習わせたいくらいだって」

「な、何よ……その狂った武勇伝は……一体何をしてきたのよ……」

「え? 言われた様に好みの子を買って来たんじゃないですか。ちょっとお金張っちゃいましたが、久しぶりにこんなドキドキを味わえて楽しかったです」

「な……?」

「伊織さんは、諦めたらそこで試合終了だよ、という言葉の裏にある、諦めなければ活路が見出せるという事を俺に直体験させて伝えようとしたんですね! ありがとうございます!」

「あ、い、いや……違うんだけど……」

「あ、分かってますって。困ってる人を利益度外視で助けるのがFPの仕事だ、心からの感謝の言葉が何よりの報酬だ、という事も伝えたかったんですよね。後、難関な問題を解決した時程、何とも言えない充実感とか達成感が得られてスカっとするとか。……いや~、今日は特に深いな~。真意が分かった時、思わず心が震えちゃいましたよ。流石、伊織さん」

「も、もうそれでいいけど……その唯ちゃんって子はどうする気? まさか本当にたくみちゃんの所有物にする気……?」

「あ、い、いや……どうしてもお礼をしたい、何かしたいって聞かなくて……だったら、伊織さんの身の回りのお世話でもして貰おうかな~って思って」

「──?!」

「こ、この度は本当にありがとうございました! たくみさんに伊織さんは……私の命の恩人です! 恩に報いる様に命懸けで仕えますので、どうか私をコキ使って下さい! よろしくお願いします!」

「い、命懸けって大げさな……そ、その気持ちだけで十分だから」

「いえ! 私はたくみさんの所有物ですから! たくみさんに命令されたからには、全力でやらさせて頂きます!」

「わ、分かったから! だ、だったら、私の知り合いのクラブで働いてよ。丁度人手が足りないって言ってたから。ただ、あまり給料出せないと思うけど、それでもいい?」

「あ、ありがとうございます! ま、まさか本当に仕事まで紹介して貰えるなんて……夢みたいです! わ、私……────ッ」

「www ね? どうにかなったでしょ? 世の中、捨てたもんじゃないでしょ? あ、お礼の件だけど……ま、たまに店に行った時、飯とお酒でもご馳走してよ。……いい?」

「いいに……決まってるでしょ! バカ────ッ」(強い抱擁の図)

「……何、このB級恋愛映画でもやらないような狂った展開は……流石、稀代の変態……」

全てが終わった夜のとあるバーで・・・

「──ふぅ、色々あってホント長くて疲れた一日だったわ……」

「いや~、ホントですよ。まさかあんな事させられるなんて、夢にも思いませんでしたから」

「たくみちゃんの解釈違いだから! 風俗行って女の子買って来いっていうのは──」

「知ってますよ。……俺に人並みの男の遊びを覚えさせようとしていたんですよね? 症状改善の目的で」

「──?! だったら、何で──」

「伊織さんの驚く顔が見たかったから……かな? ちょ~っと大変でしたけど、その目的は達成できましたw」

「そ、そんな下らない理由でヤクザの事務所に単身で乗り込むんじゃないわよ! もし引き抜きと勘違いされてたら、今頃大変な目にあってたから! 最悪命落としてたかもしれないじゃない!」

「ま、そうなったらなったで俺はそれまでのヤツって事ですよ。結果的にどうにかなったから良かったじゃないですか。……人助けもできましたし」

「……もしかして、あの子に一目惚れしたの? だからあんな無謀な事を……確かにかなりの──」

「そんな事ある筈ないじゃないですか。俺、どれだけ伊織さんと一緒にいると思ってるんですか。美人耐性はアホみたいについてますよ」

「……///」

「あれ? もしかして照れてるんです? 伊織さんも可愛らしいところあるんですねw」

「わ、私をからかうなんて百年早いわよ! 本当に怒るわよ!」

「……それは俺の台詞ですって……」

「──え?」

「俺にあんな事言って……思わず期待しちゃったじゃないですか……だから、ですよ……!」

「そ、それって、どういう……事?」

「俺、伊織さんとなら…………何でもないですよ!」

「……ありがとね。……私もあれはそういうつもりで言ってるから……」

「そ、それって、どういう……事?」

「知らないわよ! 大体ね~、たくみちゃんは────」

「そういう伊織さんだって────」

……こうして、2人にとって忘れられないとても長い一日が終わった。

加藤と畑口──2人の関係はこの日を境にある方向へ大きく変わっていこうとしていた。が、その方向に待つ未来は……皮肉にも──

──私が……たくみちゃんがいつも笑顔でいられる様な道を必ず作ってあげるから。……夢を叶えてあげるから……期待して待ってて

この言葉の意味を、加藤は1ヶ月後、知る事となる。

野田スカさんとの繋がり秘話?

「あ、あれ? 俺、頭おかしくなっちゃったかな……」

「ん? どうしたの、いきなり」

「な、何か野田スカさんのメルマガに俺が載ってる……俺、いつの間にこんなやり取りしたんだろ……全然覚えてないや……」

「あ~、あれ? 私がたくみ君の代わりにやり取りしたヤツだよ」

「──は? あの文調は俺そのものじゃん。細かい句読点のクセや漢字のミスまで……お、お前……ホント凄いな……それ、営業に活かせば余裕で一財築ける様な……」

「何言ってるの? これくらい営業かじった人なら誰でもできるわよ。ね? たくみ君が営業向いてないってよく分かったでしょ?」

「い、一応、俺、これでも全国トップレベルの営業マンだって小橋さんに言われたんだけどね」

「www あの人は誰にでもそう言うから。私の暴露日記見れば一目瞭然でしょ?」

「そ、そっか……小橋さんは色々言ってくれてたけど、それは単なるお世辞だったんだ……誰にでも言ってだったんだ……やっぱり俺はダメ営業マンだったのか……大分自覚できてきたけど、やっぱり落ち込むよ……」

「ドンマイ♡ それにしてもたくみ君、鬼だね。野田スカさんを使って告知義務違反で保険金ゲットできるかどうか検証するなんて」

「い、いや……俺が書いた事になってるけど、これ、お前だから。……そもそも、この企画、既に破たんしてるじゃん……保険金出ないって分かりきってるし」

「──!? 2年間で告知義務違反は時効だから、そこまで黙っていれば──」

「その時効の話は契約解除の話であって、保険金が出る訳じゃないから。そこまで甘くないって、保険会社」

「し、知らなかった……」

「ま……俺が頃合い見てその旨野田スカさんに伝えるよ」

「ご、ごめんね……余計な事して……」

「……いや、ありがと。意外に告知義務違反の事について知らない人が多いって事も分かったし、野田スカさんとのツテもできたし、結果オーライだよ。お前が動いてくれたおかげだよ」

「で、でしょ! 初めからそのつもりだったんだから! もっと感謝してよね!」

「wwwwww」

──九重、結婚式まで残り7日……

挿話?

はい、今までで1,2を争う程、酷い話ですね笑

微妙に時期は違いますが、こんな話がリアルだったりします。

「いいか悪いかは実際やってみて自分で判断する。やってみなくちゃ分からない事も多いし」

良くも悪くも昔からこんなでした。いや、そうせざるを得ませんでした。

物語で触れたかな? 自分はとある事情により「第一基盤」(知人・友人・親族市場の事)がゼロの状態で保険業界へ入ってます。これに関しては外資や損保系生保も同様なのですが、「男性営業マンを育てるノウハウが一切ない」のですな。よって、冗談抜きに教わったのは「アンケート気合で取ってこい」のみでした。で、後は女性職員(生保レディ)のマニュアルの如く、各種ツールでも配っておけや、とだけ。

えぇ、誰も飛び込みなんぞやってませんでしたので、何でもやってみるしかなかったよ、と。

物語には書いてないですが、新人時は平気で夜のお店に飛び込んだりヤクザさんの事務所に飛び込んだりとかしてました。他にもデパートの社員控室に飛び込んだり、テレビ局に飛び込んだり、交番に飛び込んだりetc… 警備員に追いかけ回されたり監禁されたりと、訳の分からん武勇伝(?)はかなりあったりします。

・・・こんなでしたから、気が付いたら「お前、それは常識から考えてやらんだろ・・・」というラインが人よりかなりズレてました。で、今回がある意味典型的例で、「風俗で女を買って来い」という言葉通りに実践してみたという・・・

とか言いながら、真実は・・・

「畑口とそういう関係になると思ったらいきなり風俗にいけと言われて、ムカついたから畑口の鼻を明かす為にとんでも行為をした」

まとめるとこんな感じでしょうかね。ま・・・ボロクソ怒られましたが、特に後悔はなかったです。(その後、風俗には絶対行くな! と畑口及び九重から禁止令が出されますが、こんな理由で行くなと言われたのは世の中広しといえども自分くらいかも・・・)

敢えて具体的にした事を省いていますが、もしかしたらマネする人もいるかもしれませんからね。・・・ん? 誰もいない?

で、その唯という子はどうなったか? というと・・・その後は何度か会ったくらいでその後はどうなったか知りません。どこかで平和に暮らしてるんじゃないですかね?

ちなみに補足ですが、「風俗2回目」と書いていますが、1回目は「田中の店」だったりしますかね。(軽くですが、遠まわしにさりげなく書いています)

 

さて、畑口についてですが・・・この章の第一話の挿話に書いてますが、「一歩間違えば、今隣にいるのは畑口だったかもしれない」というのが全てです。

どこで書いたんだったかな? 第10話だったかな? さりげなく「畑口の物語とは別に──」と書いた様に、この章に関しては「畑口が主人公」みたいなものだったりしますから。

 

恐らく後数話程、訳の分からない話を書くと思いますが、そこからは・・・

何度も書いていますが、この章に関しても・・・終わりは悲劇です。

ホント、中々ドラスティックな人生歩んでますぜ・・・

ん? 九重?

後でぐわ~っと書きます。

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