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生命保険受取り後

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生命保険受取り後

保険金を受取った後の事

「万が一の為の遺族の為に」

このような大義名分により、実に95%の日本人が生命保険に加入しています。日本人の60歳までの生存率は90%程度、多くの方は生命保険を使う事なく、老後を迎える事になりますが、中には当然生命保険のお世話になる人もいたりします。

万が一があった時、遺族の経済的マイナスの補填にするが為の保険。 では、実際に受取った家庭は果たして保険金をどのように使用しているかを考えた事ありますでしょうか?

「当然、生活費補填の為に少しずつ使っているはずだ」

と、お思いになる方もいるでしょうが、現実は違います。
当然、上記のような方も中にはいるかもしれませんが、自分はそのような例を知りません。

以下、自分が生保時代から携わってきた「生命保険金を受取った家庭」の事を書いていきます。

ケース1:豪遊

民間生保にて勧められるがままに保険に入り、実際にお金を受取った方にはこのケースに陥る人が多い様です。 実際…自分が生命保険会社に勤めていた時に20ケース程保険金を受取った方と以後接する機会がありましたが…実に18ケースがこれに当てはまっていました。

中でも非常に印象的だったのが山田(仮名)さんの家庭。
この方の場合は旦那さんが交通事故(相手の過失100%)にあい、死亡ではなく高度障害状態にて保険金が支払われる事になったという家庭でした。

事故にあう前までは、1Kのアパート暮らしにて非常に慎ましい生活を送っていました。 事故により、生命保険金、損害保険金により、実に1.5億もの金額を受取る事になりました。 保険金請求等いろいろ手伝いをしていた時にふと漏らした奥さんの一言が今でも忘れられません。

「いやぁたくみさん、この間ね、すっかり忘れていた共済の保険金が出る事が分かったのよ。300万出るんだって。けど不思議ねぇ、ついこないだまで1万お金をためるのも大変だったのに、今じゃ300万が3000円程度にしか感じないのよ」

この一言を聞いた時、何かおかしい、ちょっとヤバいんじゃないかな?と心の中で思いました。 その予感は間違っておらず、保険金を手にいれた後の山田さんの金遣いは尋常ではありませんでした。 マンション購入、車の買い替え(中古国内車から新車外車へ)、家具の一層(値段を聞くのが恐いくらいな、家具に関しては素人の自分ですらそう感じる家具がズラリと)。

家政婦を雇い、旦那さんの世話を任せ、毎日豪遊。
着る服もブランド品ばかりetc…
まぁよくもここまでお金をつかえるなぁとある意味感心してしまう程の使いっぷり。 月に優に200万は使っていたのではないでしょうか。。

億を超す財産、実に3年ちょっとで底をついたようです。
人間とは不思議なもので、一度お金を沢山使う生活をしてしまうと、中々元には戻らないみたいです。 これは自分も例外ではなく、生命保険会社に勤めていた頃の金遣いが退社後も暫く治らず、一時期消費者金融のお世話になった事があるという恥ずかしい過去を持っています。

はい、、山田さん、いつ頃からか借金をして裕福な生活を維持しようとしていたようです。 ここで少々曖昧な表現をしているのは、豪遊をするようになってからは山田さんと中々会わなくなってしまっていたからです。

多額のお金を手にした事で、山田さん自身の人格といいますか性格がガラっと変わってしまったからです。 なんていいますか、ごう慢になったと表現したらいいのでしょうか。 前は非常に謙虚な方で話していて気持ちのいい方だったのですが…

保険金を受取って4年経過したくらいでしょうか、山田さんと数年ぶりに会う機会があり、話を聞きました。
なんと借金が増えに増え、自己破産をするとの事。
その時に漏らした一言がまた印象的でした。

「こんな事なら保険金なんて受取らないほうがよかったよ」

非常に、皮肉な結末になりました。
本来遺族の幸せを維持するが為の保険が、結果的に人をさらに不幸にする事になるなんて。。
この出来事以降、保険金を受取ってお金遣いが荒くなる・ごう慢になる人とはその後はつき合いをする事をやめました。 人が自らの手によって落ちていく姿、見たくはないですから。。

ケース2:一切保険金を使わない

たまたま自分はケース1の方が多かっただけで、案外このケース2の方が実は多いのかもしれません。 保険金を受取っても「万が一の為に」と一切保険金に手をつけず、気丈にも外に働きに出てそのお金と遺族年金のみで生活をしていくという人。

これは非常に特殊なケースで印象に残っているのですが、旦那さんが会社を経営していて会社がもう潰れる寸前までいき、遺族の為にと自殺をして保険金を残した加藤さん(仮名)家庭。 もう子供さんも大きくなっていたので、保険を減額もしくは解約しようかといわれていた矢先の出来事でした。

この件に関しては他に思う事があり、いずれこのコラムにて語る事になるでしょうが、今回は「保険金」という事なので他は割愛します。

生命保険会社退社後、私は独立系FPになり、生命保険会社時代の顧客には無料で診断をして回っていました。 加藤さんの家庭の場合は、老後資金をどうするか?という事に関する貯蓄分野の話を持ちかけました。 ここで非常に印象的だったのが…

「このお金はなんか使ってはいけない気がして…だから一切動かす予定はない」

と、頑として保険会社にて預けっぱなしの状態を貫くといわれました。 (今でもつき合いはあるのですが、未だそれは変わっていません)

このケース2はどちらかというと生命保険会社退社後FPとして活動をしていくようになり見るようになりました。

「旦那が死亡したら、1人でやっていかなくてはいけない」

まるで保険に加入していなかったかのように働き生活している人が多いようです。

確かに非常に立派な心がけです。
が…いつもこのケースにて思うのは「生命保険、あなたの家庭では不必要だったじゃん」です。 恐らくは老後も一切使う事なく、遺産相続として子どもが受取る事になるのではないでしょうか??

番外編:保険に入っていなかった家庭のその後

このケースは保険金受取りというケースではないのですが、生命保険時代にある意味一番印象に残っている事で、退社後の方向性にてFPを選ぶ事になった大きな要因となった出来事なので、書いておきます。

以下、佐藤さん(仮名)の家族構成です。

——-
親戚・旦那はいない。
 母:52歳(生活保護受給)
長女:23歳(社員:13万程度手取り)
次女:15歳(中3)
三女:14歳(中2)
次男:10歳(ダウン症精神病院)
——-

自分は長女の人と面識がありました。
長女は家を出ていて、ここの家庭は母と子3人で生活していました。

で、母が脳梗塞にて死亡して、長女が「1家の主」となる事になり、『どうしよう…』と相談を受けたのですね。

ちなみに母は国民年金も健康保険も払っていない状態でした。
23歳にて妹達計4人を面倒みなくてはならないという状況…さすがに「これは…悲惨なケースだなぁ。。保険入ってないと…こういう自体もあるんだなぁ…」と、当時は思いましたね。

で、さすがに気の毒に思い、色々調べたんですね。

  • 児童扶養手当(遺族年金が貰えないケースに支払われる)
    41390円+5000円+5000円+3000円=54390円
  • 特別児童扶養手当(身体障害者を養育している人に支給)
    50350円
  • 遺児手当(18歳未満の児童を養育している人に支給)
    年54000円→月4500円
  • 申請により、水道・電気・ガス代が無料
  • 申請により、各学費が無料
  • 申請により、各交通費が無料
  • 申請により、各医療費・健康保険代が無料
  • 申請により、各税金が減額
  • 申請により、公立高校への推薦で入学OK(普通ならまず入れない成績でも、家庭の事情によりかなり優遇)

合計:113,740円

これに…長女の収入をあわせると…
まだ…なにかあったような気がしますが、ざっとこれだけの「国や県・市の援助」がありました。 結果的に…「母親の生前より豊かな生活がおくれるようになった」という、非常に皮肉な結果になりました。。

全ての手続きを終え、一段落ついた段階で、長女が一言。

『・・・日本っていい国だね。なんとかなる…もんだね(笑)知らないって……恐いね』

非常に当時、「俺は一体何屋なんだろう?」というジレンマに陥った出来事でした。 (まぁ…今の自分のスタイルのきっかけとはなっていますが)

最悪、「長女が働いていない」というケースでも、生活保護という手段もあり、ますます『おいおい、まともに働いているのがバカらしくなる程の国だなぁ、日本は…』と思ってしまいました。。

余裕がある、というよりも「制度を利用する事により、今と全くそん色のない生活を送る事が出来る」という意味のが近いかもしれません。。

仮に日本にこういう制度がない、社会保障のない国ならば別ですが、今住んでいるのは日本ですから…ねぇ。。 仮に…実家に戻るという選択がとれるのならば…それこそ「今よりもいい生活がおくれるようになる」という事になりますからねぇ、「生命保険に加入してそのお金が入るとするならば」。

3つのケースを見てきて

ケース1・2にて共通する点が一つあります。

「自分の許容範囲、理解出来る金額以上のお金を手にする事になってしまった」

お金を使いこなすのではなく、お金に使われてしまったといえばいいでしょうか。 これを例えるならば、免許取り立ての人がいきなりレーシングカーのF1を乗りこなせるか?といった所でしょうか。 当然、免許取り立ての時に運転の難しいF1カーに乗れる筈はなく、エンストしまくるというのがオチでしょう。

ひとえに大手生命保険会社では「死亡保障は3000万は必要ですよ」等といい、保険を勧めたりしています。 が、その金額が許容範囲、上手く使いこなせる人は…現実にはそんなにはいないでしょうね。

自分が現在でもよく保険金額をきめる際に聞く事は、当然必要保障算出もしますが、それ以外に「自分が目の前にお金がある事を想像出来る金額が、今のあなたのお金の許容範囲ですよ」という事です。

若い人には高額保障を。
FPの人でもこのようにいわれる人も多いです。
が、人生経験の少ない若い人が自分の許容範囲を大きく超える保険金を手にしてしまったらどのようになるか…
皮肉な結果が残る可能性が高いと思うのは自分だけでしょうか?

番外編に書いた事、「制度を利用すれば何とかなる」という事も考慮にいれると…
一体保険って何なんだろう?と素朴に思ってしまう事がしばしばありますね。

万が一の時の遺族の幸せを考え加入するが為の保険。
ただ、実際の所本当に遺族を幸せにする事ができるか?というと…

皆さんはどう思われますか?

…まぁ…某雑誌というのが保険販売員向けの雑誌であり…主旨が「保険販売員が読んでやる気になるような内容」という事なので…そりゃボツになりますわな、これは(笑)

個人的には…このコラムは気に入っているので…生命保険講座としてupする事にしました。

って…全く講座になってないですね笑

コメント

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