第7話:第二の拠点~喫茶福井~
「では行ってきます!」
前日のマルチの会合以後、加藤は朝礼が終わると同時に営業所から逃げる様に地区へ飛び出すという日々を繰り返していた。
では、地区でまともに飛び込みをしていたか? というと、何ともモチベーションが上がらないが為、ひたすら喫茶福井に入り浸っていた。
「あ、おはよ~、加藤君。最近良く来るねぇ」
「いや~、色々あって会社に居づらくなっちゃったんですよ。で、フラフラ~っとここに来ちゃうんですよね。ママさんの淹れるコーヒー、オイシイですし」
「まぁ、イヤだわ、この子ったら、オホホホ」
と、こんな感じで一時の談笑を楽しみ、何とかモチベーションを上げて飛び込みに向かうというのが加藤のここ1週間の日常となっていた。
そして、とある日。いつもの様にコーヒーを飲みながら談笑していた時である。
「いやぁ、ママさんのコーヒー飲まないと1日が始まらないんですよね。あ~……ここが事務所だったらいいのに……」
「ん? 事務所にすればいいじゃん。丁度、奥の部屋、今は全く使ってないから、掃除してくれるなら奥の部屋使ってもいいよ」
「え? ホントですか? 滅茶苦茶助かります。家賃はいくら払えば──」
「ん? 毎日来てコーヒー頼んでくれればそれでいいわよ。で、ここに色んな人呼んでくれて、コーヒー一杯頼んでくれればうちは利益になるからね」
「あ、ありがとうございます! 今後ここにたくさん人連れてきますから! あ……素朴にここら辺で安い駐車場、知りません? どうせだったら駐車場も──」
「ん? 外の5番と6番の駐車場だったら夜以外だったら使っていいわよ」
「な、何から何まで、ありがとうございます!」
……この様な流れで、加藤は第二の拠点を手に入れる事となった。
ここから、「化け物」呼ばわりされる事となる加藤の真の営業物語が始まる。
挿話
2020年にして、まさかの第3章書き足しです。
ここからの話は内容が内容なだけに一切公開してこなかったですが、、、この内容を省いては自分の営業物語の半分も書いていない事になるので、長年の月日を経て、公開する事にしました。
まず、電子書籍等でよく触れていた喫茶店営業。リアルでは常連客・・・以上の関係にまでなっていました。物語の様に、奥の部屋を事務所にして貰ったりとか、その他自分がしてきた事を余すことなく書いていきます。参考になる人は限りなく少ないかもしれませんが、中には「おぉ!こういう発想もあるのか!」と衝撃を受けるかも。・・・多分、今の時代でも同じ事できるでしょう。
まぁ・・・ここからの話を読むと、人によっては自分に対する印象がガラリと変わってしまうかもしれません。・・・色々黒歴史もありますし笑
リアルではここからの出来事は2年目、要するに物語でいう1年前になりますので少々フィクションも入りますが、大半がノンフィクションです。
少々(かなり?)ぶっ飛んだ内容になりますが、それなりに楽しめる内容になると思いますので、どうぞお付き合い下さいませ。
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