#17 なんでも券
※加藤の誕生日が11月19日ではなく9月6日になっていますが、こちらがリアルに近いです。……この回だけ、今までの仮定の誕生日では辻褄が合わないのでやむなく……
──9月6日 ~寝室~
「お兄ちゃん、今日はごめんね。せっかくの誕生日なのに私だけしかいなくて」
「……zzz」
「幸子、変に気を遣って今日は出かけちゃったから。2人で仲良くゆっくり楽しんでって……何考えてるんだろうね」
「……zzz」
「2人で誕生日会って……あれで良かったのかな? ただ、意外に2人でも楽しかったね」
「……zzz」
「相変わらずお兄ちゃん、こういう家族的イベントに弱いね。ホント、涙腺弱いんだから」
「……zzz」
「誕生日プレゼント……ビックリしてたね。いい年して、なんでも券って……おかしかったかな?」
「……zzz」
「肩たたき券、お手伝い券、それに……何でも1つだけ願い事を聞いてあげる券。……子供っぽかったかな? ……一度やってみたかったんだ」
「……zzz」
「ありがとね、喜んだフリしてくれて……早速お手伝い券使ってくれて……気を遣わせちゃったね」
「……zzz」
「それにしてもお手伝い券で添い寝してくれって……普通の子だったらドン引きするよ? しかも腕枕してくれなんて……お兄ちゃんの変態!」
「……zzz」
「……やっぱり私と一緒に寝たいって思ってくれてたんだね。ハグされたいって思ってくれてたんだね。……身体が覚えちゃったんだね」
「……zzz」
「もう1人じゃ寝られない様になってるでしょ。人肌って気持ち良くて中毒性あるからね」
「……zzz」
「後4枚あるから……10日まで毎日一緒に抱き合って寝ようね」
「……zzz」
「実はね……私、10日に教会で式挙げるんだよ。多分子供、デキちゃってね……彼にそれ伝えたら、結婚しようって……」
「……zzz」
「11日から……一緒に新居に住む事になってるんだ。この家、出ていくんだ」
「……zzz」
「ここでお兄ちゃんと一緒にいられるの……後4日しかないんだ」
「……zzz」
「早くお兄ちゃんに伝えなきゃって思ってたけど……中々言い出せなくて……明日こそ、ちゃんと言わなきゃ、だね」
「……zzz」
「きっと……凄いビックリするよね。頭、真っ白になるよね。急過ぎだもんね……ごめんね」
「……zzz」
「心配しないで? 私はいなくなっても……幸子がいるから。ちゃんとお願いしてあるから。……同じ券、幸子にも渡す様伝えておくから」
「……zzz」
「私の結婚、喜んでくれる? 祝福してくれる? それとも……悲しい? 寂しい? ……嫌?」
「……zzz」
「お兄ちゃんが望むんだったら、籍入れないよ? ここにずっといるよ? どうして欲しい?」
「……zzz」
「なんでも券……どんな事でも有効だからね。いつでも使えるからね。覚えておいてね」
「……zzz」
「私は……もう覚悟できてるから。悪い人にでも酷い人にでもなれるから。……お兄ちゃんにとってのみ、いい人であればいいから」
「……zzz」
「お姉ちゃん……私、間違ってるかな? おかしいかな? 酷い事してバチ当たらないかな? 地獄に堕ちるかな? お兄ちゃん……なんでも券、使ってくれるかな?」
「……zzz」
「お姉ちゃん……私に力を貸して! 天国に逝ったらお姉ちゃんにお兄ちゃん、返すから」
「……zzz」
「お兄ちゃん……愛してる」
「……zzz」
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