たくみの営業暴露日記

たくみの営業暴露日記 第三部 第13話:美幸さんの野望?

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第13話:美幸さんの野望?

「あ、たくみ君、遅~い! 16時には来るって言ってたじゃん!」

「あ、ごめんごめん。ちょ~っと営業部長の話が長くなっちゃって。……で、今日は何を教えればいい?」

「え~っとね~、────♪」

田中が喫茶福井でバイトを始めて2週間、気が付けばカウンター左奥2番目の席に座り田中にFPの事を教えるというのが加藤の日課になっていた。

話は2週間前に遡る。

 

──喫茶福井、初日

「美幸さん、仕事どう? やってけそう? ……ん? 美幸さん……何やってるの?」

「あ、ごめん、お客さんいなかったからちょっと勉強してたの」

「ん? 何の勉強してるの? ちょっと見せてよ……って、まさかのFP?」

「うん、私、将来的にFPを仕事にしてみようかな~って思ってるから」

「えっと……また、何で?」

「たくみ君が私にしてくれた様な事、私もやってみたいな~って♪」

「──え?」

「前の私みたいに困っている人、きっと世の中たくさんいると思うから、1人でも多くの困っている人を救ってあげれたらな~って、ね。昼間の仕事、どうせやるなら人に感謝される仕事したいな~って♪」

「ほぉ……美幸さん、保険屋さんになりたいの?」

「ううん、困ってる人の手助けする為に完全に中立の立場で何処にも所属しないで純粋にFPの仕事やりたいな~って」

「えっと……凄い良いと思うけど……難易度高い様な……独立系FPなんて、日本に何人もいないと思うし……基本、普通のFPの収入は保険の収入ありきだし……」

「だから、私が先駆者になろうかな~って。まともにコンサルしたら、保険はいらないよ~っていう人も多そうだし」

「けど、FPで営業かけるの、難しいんじゃないかな……FPって意外に知名度低いし」

「あ、それはHPで情報発信していけばいいから、どうとでもなるよ、多分。誰もやってないし」

「ま、まぁ……確かに独立系FPのHPは見かけないけど……お金になるかなぁ?」

「きっとお金は後からついてくるから。……素敵じゃない? 私達のおかげで人生救われたっていう人、増えたら」

「ま、確かにね……ん? 私達? ま、まさかと思うけど……お、俺もやるの?」

「そ♪ たくみ君も♬」

「俺、今の仕事、辞めて?」

「当たり前じゃん♪」

「ご、強引でいきなりだね……ちょ、ちょっと考えさせてね」

「絶対、たくみ君にも合ってるって。一緒にやろうよ~。暫く今の保険屋さんと平行してやっていってもいいから♡」

「俺に合ってるって……そうかなぁ、いまいちピンと来ないけど……先駆者って響きは悪くないね。カリスマ美人なんちゃらって流行ってるから、美幸さんなら案外うまくいったりして」

「フフフッ……カリスマ美人FPか……これがきっかけでメディアで取り上げられて……芸能界入りして……ハリウッド女優になって……政界から声がかかって──」

「野望大きすぎだって! ま、まぁ取りあえずFPの内容だったら、俺も教えれる事多いと思うから、いつでも聞いてきてよ」

「www じゃ、明日から私がバイト入ってる月水金、16時から2時間! 約束だよ」

「──?! お、俺……週3で美幸さんの家庭教師やるの? 2時間も?」

「今言ったじゃん、いつでも聞いてこいって。だったら、時間を決めた方が効率的じゃん。いいでしょ? 家庭教師代もちゃんと払うから~」

「ま、まぁ……いいけど……俺、家庭教師代っていくら貰えるの?」

「ん? コーヒー2杯に勉強後の夕食だけど?」

「……ま、そんなだと思ってたけど……夕食って……まさかと思うけどここのカレー? え~、俺、週3で夕食カレーなの?」

「カレー好きって言ってたじゃん。それに私の手料理が食べられるなんてメチャクチャラッキーじゃん」

「手料理って……ただご飯とカレー、皿に盛りつけるだけじゃん……ま、いいけど」

「wwwwww」

……という流れで、半ば強制的に日課となった田中との喫茶店での勉強会。まるで乾いたスポンジの様にどんどん知識を吸収していく田中に教える事は嫌ではなかった、むしろ楽しかった、充実していた。

この限りなくボランティアに近い不思議な勉強会が、思わぬ成果を呼び込む事となる。

挿話

──昼間のバイトを探していた田中に自分の息のかかった喫茶店のバイトを斡旋しただけ

動機は前回書いた通り。が、いざ蓋を開けてみたら何故かFPの勉強会をするという・・・当然、全く想定にありませんでした。

──困ってる人の手助けする為に完全に中立の立場で何処にも所属しないで純粋にFPの仕事やりたい

今の時代でも難しい独立系FPの野望を話す田中に対し、当時「何言ってるんだ、コイツ」と思ったのは言うまでもありません。挙句の果てに当時年収4桁のバリバリ営業マンの自分に対し「今の保険屋辞めて、一緒に独立系FPやろ」という始末。

今見ても、無謀というか何というか・・・

それでも完全否定せず、色々勉強に付き合ったのは「自分の様な仕事をしてみたい」という田中の言葉に心がじーんとしたから、ですね。

ちなみに・・・聡明な方は素朴なツッコミを思いつくかもしれません。

「おいおい、たくみさんよぉ、いつ仕事してたんだよ?」

結論から書くと、殆ど仕事してませんでした。この頃は新規飛び込みは殆どせず、地区のなじみ客まわりのみ・・・月水金は16時、正確には16時に間に合わせる為に15時に帰社してましたので、実質10時半から14時半までの4時間。火木は前に書いた花屋、というか日高ちゃんの元に同じく16時くらいから行っていたので、同じく4時間。

いや・・・正確には1時間は喫茶店でお茶したり飯食っていたので、実質3時間くらいか。

今見ると、ホントよく当時、こんなんで契約取れていたなぁと・・・(サボりの時間のが多い・・・)

さて・・・次回は、これまでで一番ぶっ飛びます笑

何故に外伝と称してアイキャッチ画像を変更していたか・・・よく分かるでしょう。

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