終身保険の是非
終身保険
「定期保険は掛け捨てです!一方、終身保険は貯蓄性が高いので有利です。どないでっか!」
まぁ、そこらの FPやら外資さんなんかはこんなこというんじゃないでしょうか。 まぁ、いっていることは正解なのですが、「そうか!んじゃ貯蓄性が高い方がトクだよな。なら、そっちゃに切り替え るべ」というのは、ちょっと違います。特に「老後資金の一環として、払い込み終了時は年金形式で貰えばいいじゃん」と思われている方、果たしてそれはベストな選択でしょうか??
最初に結論書いてしまいますが、
・終身保険の本来の意味は?
・超長期商品としてみた場合、リスクは?それに見合うリターンは??
・貯蓄性が高いとはいっても、利回りは非常に悪い
いち金融商品として見た場合は魅力はない。
上記が全てです。
「何をいうか!ふざけるなよ!!」
と仰る方もいるかもしれませんね。
が、以下を読めば納得出来る、、筈。
1つずつ解説していきます。
終身保険の本来の意味は?
読んで字の如くの終身保険ですが、最近ここの前提が抜けているケースが多いな、と感じます。
本来の終身保険の定義とは、
「何歳で死亡しよう が、その保険金が支払われる」
ふははは、「何を今更、なにいってるねん?」という突っ込み受けそうですね。さて、もうちょい突っ込んで考えてみます。
何歳に死亡しようが保 険金が支払われる、となりますが、正確には「老後になっても保険金が支払われる」というニュアンスのが強いでしょう。えぇ、当然ながら60歳くらいまでの 間に死亡するという前提ならば、掛け捨て保険のが格安になりますからね。よって、「60歳以後の老後になっても変わらない保険金が受け取れる」という意味 合いが強いもの、といえるでしょう。
ここまでは皆さん、ついてこれるかと思います。
さて、ちょっと質問 を。
「老後に必要な必要保障っていくら??」
そう聞かれて、ぱっと 答えられる人はそうそういないでしょう。
「そもそも老後に必要な保障って何?」
これも即答出来る人は そうそういないでしょう。
さて、子供がまだ小さい家庭を持つ人の場合はどうか?
旦那さんの生前時の稼ぎから比較、国から得られる各種手当(遺族年金とかいろいろ)等からさっ引いて生活費のマイナス分を生保で、というのは即答はともかくとして、ニュアンスは分かる人は多いかと思います。
では老後ってどうでしょう??
そもそも老後はかなりの確率で退職しており、年金以外の定期的収入はない、、そうではないでしょうか? でもって、その年齢に子供はどうなっているか?というと、まぁ例外はいるでしょうが大半のケースでは「既に大人になっていて働いている」筈でしょう。(仮 に同居しているなら、子供から家賃としてある程度の銭を受け取ってもいいくらいでしょう。少なくとも子供の為の出費というのは頭から外していい年代でしょう)
老後に必要な、死亡した際の必要保障額って何でしょう???
えぇ、せいぜい出てくる回答は「葬式代、、かな??」くらいではないでしょうか??
さて、葬式代ですが、 いくらくらい必要でしょう??
よく聞く話が300万云々とかいいますが、ぶっちゃけ「どんな豪勢な葬式やればそうなるんだよ!」と突っ込みたいです。まぁ、どんなものでも銭をかけようと思えばいくらでもかけられますが、大半の人はそういうのは望まないのではない筈。
話がそれますが、 互助会など入っておくとそれだけで葬式代はかなり安くなりますし。(所によっては、入会金数千円程度で○割引、とか普通にあります)
「じゃぁ、、子供に少しでも銭を残したいから、、、かな??」
別に死亡保障じゃなく、現金でも同じお金ですぜ。
「じゃぁ、、、一体何なのさ???」
これが答えですな。
はい、少なくとも終身保険で1000万や2000万もかける意味、、一体なんなんだ? と。(これがそこらのFPやらがコンサルと称して自信もって提示しているから問題。。)
皮肉な話ですが、まだ国内生保の定期付き終身のが利に叶ってます。(定期保険の厚さはおいといて、老後は葬式代程度で終身は薄く~というもの)
終身保険を貯蓄性ものと見る??
「いや、終身保険は貯蓄性高いから、貯蓄変わりに入るんだよ」
恐らく上記の話に関して終身保険を提示する人はそう反論するでしょう。が…貯蓄性っつっても、利回りは糞ですぜ。。
以下、あんしん生命には悪いですが「長割り終身」を例に。
男 性40歳:保険金500万 保険料:11,895円(25年払込)
払い込み終了後の解約金:3,875,000円(108.589%)
(払込と解約金の差額:306,500円)
「払込よりなんと、8.5%も増えるんです!!」
「なんと、25年後には約30万も増えるんです!!!」
なんとなくこう聞くと「おぉ、なんかトクじゃない??」とか思うかもしれません。
が、、 複利計算してみると、年利は0.628%に 過ぎません。 (ナンボ市場金利が上昇しようが、インフレになろうが変わらん)
ちなみに2019年の10年国債利回りは0%。
まぁ、、これに比べればマシと言う気持ちも分かりますが、、
インフレ率より低くては実質マイナスなのは言うまでもなく。。
「何でインフレ率より低い利回りで30年も縛られなくてはならんのか??」
は い、、数字が全てですね。
ちなみに、中途で解約した際には解約控除にて受取金は当然少なくなります。 長割り終身の場合は、、それこそ払込終了するまで控除で縛られ元本割れしますな。。 後、生保会社の破綻リスク(まぁこの低い予定利率ならそう控除もないとは思うが)もありますし、ね。
これでも貯蓄性がいいといえるでしょうか? 少なくとも、、、「老後の為の貯金代わりに」というのは論外かと。
60歳までの間の保障を考慮したら?
「いやいやいや、60歳まで保障もついている訳だから、それを加味するとトクじゃね?」
恐らく顔を真っ赤にして反論する人はするでしょう。
では、計算をば。
アクサダイレクト定期 :40歳男性65歳満了500万定期(1,915円/月)
長割り終身との差:9,980円
ではその9,980円積立を何%で25年回せば3,875,000円になるか? 計算過程は略しますが、1.93%という数字となります。
なるほど、確かに「銀行定期」では回せない(今は)数字です。 (正直、銀行定期でもこれ以上になる日は来るような気もするが)
が、社債あたり見たらどうでしょう?
「いや、、、社債ってリスクあるから、、、」
まぁ、仰る通りリスクはゼロではありません。
が、優良企業なら??
まぁ、優良企業かどうかはおいといて、
上記、ソフトバンクの社債ですな。
こちらは数年で「会社が存続すれば」払われるもの。
まぁ、自分は東京海上日動の社債は購入しないでしょうが、長割り終身にいくくらいなら選択肢はナンボでもあるなぁ、と。
そもそも10年以上縛られるのって大変ですぜ。 死亡リスク以上に、仕事や生活の変化による家計の収支が崩れるリスクのが圧倒的に高いでしょうし。
まとめ
終身保険、本来必要なのは事業主などのキーマン(定年の決まっていない職)の方などになるでしょう。まぁ、それさえも「変額終身のが安上がりじゃね?」という突っ込みも出来ま すが、それは別の機会に触れていきますので今回は略。
老後の為の資金として、終身保険はナンセンス、というのはお分かり頂けたかと。
あくまでも終身保険とは「老後の為の必要保障」という意味であり、当たり前の話ですが生命保険に過ぎません。
「老後の為の資金作りは他で考える」
これが正解でしょう。
あとがき
まぁ、、なんか昔どこぞかで吠えていた内容のような気しますが、まともにHPの記事として残していない事に気づき、かつこの突っ込みをいれている人は自分 が見た限りなかったので、書いてみました。
驚く事に、CFP等立派な資格を保有している人ですら、バカ の一つ覚えのように「終身保険はね、貯蓄性があってね。。。」などと自信満々にいっているのをちょくちょく見かけます。
「いやいや、、ちょっと生保以外に目を向ければこれよりマシな貯蓄ものはナンボでもあるだろ??」 心の叫びです。
まぁ、、「貯蓄性があって老後資金の為に」という口実でも作らないと終身保険とか○千万も売れないですから、、ね。。
自分は、、別に生保販売したところで一円も入ってこない立場なので素直にかけるだけかも(笑)
皆様の参考に少しでもなれば幸いです。
※2019/12/17 一部書き直し。データ古かったので。
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