第10話:みのりちゃんと指輪
「ふぅ、今日はこれでお終いですね。お疲れ様でしたー」
「今日は夜、彼氏とデートだっけ?」
「はい♪ って、あれ……れ? ない、──ない! どこしまったっけ?」(カバンの中のものをドバーッとひっくり返してゴソゴソする図)
「ん? 何か失くしたの?」
「今日会う彼氏に買って貰った指輪です。 あれ~? 確かここにいれた筈なんだけど……」
──5分後──
「……ホントどこいったんだろ?」
「まーまーまー、なくしたものはしょうがないじゃん。それいくらだったの?」
「25,000円です。 あ~~、また余分な出費が~~」
「ん? 前も失くして同じもの自分で買ったの? 律儀というか何というか……」
「あ、以前の時は他の彼氏に買わせました。これ欲しい~って言って♪」
「ぅわぁ……思い出の品でも何でもないじゃん、それ……」
「彼氏が気付かなければいーんです! そもそも会う時以外はめてないですし」
「んー、健気だねぇwww」
「相手が喜んでくれればいーんです! それにしても出費痛いなぁ……」
「……この化粧品ケースみたいなのまだチェックしてないみたいだけど?」
「──! 思い出しました! ここに入れたんだった! ありがとうございます!!」
「いえいえ。ま、見つかって良かったね」
「……今度から私がしまう場所、覚えておいて下さい♪」
「──は?」
「それもマネージャーの仕事ですから♪」
──とうとう私物管理まで任せるようになった人使いの荒いみのりちゃんでした。
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