第42話:夢見る少女みのりちゃん
「あれ? ハピメからメール来てる。募集かけてないですよね?」
「ん? かけてないよ。日記というかポエムっぽいのたまに書いてるけど」
「えー、何書いてるんです?」
「えーっと、これとか、これとか────」
「なになに……携帯ない時代の恋愛はドキドキしそうで羨ましい? 雨の日は相合傘出来て好き? 狭い部屋は距離と温ぬくもり感じて好き? ──なんですか、これ?」
「ん~~、冷静に突っ込まれると困るけど、一応みのりちゃんの内面っつ~事で。なんか乙女チックじゃない? ちょっと不思議ちゃんも入ってて、心くすぐられる男の人いるかなーって」
「確かに、こういう謎めいて不思議ちゃんや天然キャラ、男に人気出そうですね。女の子には嫌われそうですけど」
「……みのりちゃんそのものじゃん」
「チョッ、し、失礼な事言わないで下さい! 確かに私は男の人に人気あって、同姓の女性からは嫉妬されたり嫌われる事多いですが、こんな不思議ちゃんじゃありません。 もっと、こう、理知的とかお嬢様でおしとやかというか──」
「ま、どうであれ、結果的に新規開拓でお金入ればOKでしょ? 」
「まぁ、そうですけど──って、このモデルって私ですよね? 私の性格をイメージって……こんなです? 私って」
「海外旅行で一日中部屋でぼーっとしてるとか、学校で基本1人でいるとか、お料理教室通ったりとか、案外そのままじゃん」
「……私、こんな日記というかクサイ事なんて書けません!」
「だから代わりに俺が書いてるんじゃん」
「……印税下さいよ」
「……え?」
「もしこれ、出版とかなったら私が書いた事にして印税下さい!」
「出……版?」
「どうせだったら、出版狙って下さいよ。わたくし、印税生活憧れます♪」
「ま、まぁ……可能性低いかもだけど、まぁやってみるよ」
「キャッありがとうございます♡ いつぐらいに印税入って来ますかね? 1億……せいぜい1000万くらい入って来ますかね? んー、欲しいものリスト早速作らなきゃ♪」
「……まだ出版のメド全く立ってないって──しかも1億って、ミリオンセラーで超話題作になってるし……」
「これを機に作家デビューの話来たら……うふふ♪ それも悪くないかも♬」
「ん? 作家になりたいの?」
「いーえ、私は書きません。名だけの作家で十分です!」
「……誰が書くの──って、流れ的に……」
「当然じゃないですかー♪ 私は全力でお金遣つかう担当ですから♬」
──妄想が止まらない夢見る少女みのりちゃんでした。
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