#1 帰郷
※以下の続きの様なものです。
──九重あすかの死後、約2週間後
ピンポーン
「は~い、どちらさんです──お、お兄ちゃん? ど、どうしたの?」
「あ……ご、ごめん……もう来ちゃダメって言われたのに、約束破って来ちゃって……やっぱ迷惑だよね。帰る──」
「迷惑な訳ないでしょ! さ、入って、入って!」
「で、でも──」
「話は中で聞くから! 私も募る話、一杯あるから」
「わ、分かった……」
■お茶の間
「────でね、こんな事もあったんだよ」
「そっか……」
「あ、ごめんね、私ばっかり何時間もしゃべっちゃって」
「あ、いいよ。俺、美子ちゃんの話聞くの好きだから。もっと聞かせてよ」
「ホント? じゃ、さっきの話の続きなんだけど、♪────」
──2時間後
「あ! 気が付いたらもうこんな時間じゃん。お兄ちゃん、時間大丈夫?」
「──え?」
「あ……そろそろ帰らなきゃいけない時間かな~って。……待ってるでしょ? あすかさん」
「……────ッ」
「……お兄ちゃん?」
「あ、ご、ごめん。どうしちゃったんだろ、俺。最近寝不足だったからかな~。そっか、もうこんな時間か。じゃ、そろそろ帰らないと……アイツも……心配……し……て……」
「……もしかして、あすかさんと上手くいってないの?」
「そんな事ないよ。アイツは何時だって……俺の事……なのに、俺があんな事言っちゃったせいで……────ッ」
「……何が……あったの? まさか……」
「……ありがとね、美子ちゃん。伊織さんの形見、俺に渡してくれて。おかげであすかの元に……いけたよ。ただ……俺が不甲斐ないせいで……俺のせいで……────ッ」
「……じゃ、時間まだ大丈夫だね。……お酒飲もっか、お兄ちゃん。日本酒でいい?」
「……え?」
「確かお兄ちゃん、お酒好きだったよね。一度お兄ちゃんと飲みたかったんだ~。幸子も今、旅行にいってるし……お酒付き合ってよ」
「で、でも……」
「あ、もし酔っぱらっちゃったら泊まっていってもいいから。……今日は一杯飲も♪」
「……ありがと」
──1時間後
「あ~あ~、お兄ちゃん、だらしないなぁ。これだけのお酒で酔い潰れて寝ちゃって……よっぽど疲れてたんだね」
「……zzz」
「目の下に隈、こんなに作っちゃって……頬もこんなにこけちゃって……あれからどんな生活送って来たのよ……」
「……zzz」
「目尻もこんな皺出来ちゃって……ほうれい線も……無理して笑顔いっぱい作ってきたんでしょ……」
「……zzz」
「色んな事、一杯我慢して……一杯無理して……1人で背負って……バカ!」
「……zzz」
「頼ればいいじゃない……弱音見せたっていいじゃない……泣いたっていいじゃない……私達には素顔見せてよ……家族でしょ?」
「……zzz」
「けど、ありがとね……一番辛い時、ここに来てくれて。……どうせお兄ちゃんの事だから、何でここに来たか……自分でも分かってないと思うけど」
「……zzz」
「今日は……このまま一緒に寝てあげる。一杯……抱きしめてあげるから。慰めてあげるから。……思いっきり泣かせてあげるから……頑張ったねって褒めてあげるから……」
「……zzz」
「お兄ちゃん……せめて今日だけでも……私の胸でゆっくり眠って……いい夢みてね。……泣きたかったらいくらでも泣いていいから……全て私に吐き出して……」
「……────ッ」
「お兄ちゃん……大変だったね……辛かったね……頑張ったね……」
「────ッ」
「無駄じゃなかったから……あすかさん、きっと幸せだったから……お兄ちゃんは悪くないから……」
「────ッ」
「これからは……私達と……私と……一緒に生きよ? 本当の家族に……なろうよ」
「────ッ」
「一杯笑って……一杯泣いて……一杯幸せ感じて……誰もが羨む家族。……お兄ちゃんの為だったら何だってしてあげるから」
「────ッ」
「せめて、今は……ね──。……覚えてなくていいから……忘れていいから──」
「────ッ」
補足?
はい、まさかの続きです。
本編(たくみの営業暴露日記、エピローグあすか)の補完的な話・・・ですかね。
実はこれ、掲載するか迷ってました。理由は・・・
- 今までとガラリと変わるコメディ色が少々(かなり?)強い内容(ま、読んでいけば分かると思います。ある意味、問題作です)
- 意外に長いので、全体的にバランスが悪い気がした
- 本編(エピローグ)ラストがこれだと恐らく印象がガラリと変わってしまう
と、こんな感じ。
ま、これも大半は書き切っているので、更新は異様に早いでしょう。
「えっと・・・何これ・・・?」
そんなツッコミがきっと多くあるでしょうが、ま・・・軽い気持ちで読んでみて下さい。このエピローグに関しては珍しく(?)ハッピーエンド、ハマる人はどっぷりハマるかも・・・
※こんな話がそこそこリアルだったりして・・・
コメント