Epilogue Risa #3 2人だけしかいない世界
──数ヶ月後
■某人里離れたド田舎の古民家
「あ、おはよ♡ 朝ごはん出来てるよ」
「おぉ……今日は和か。焼き魚に卵焼き……山菜か。美味しそうじゃん」
「でしょ? あ、魚は昨日一緒に釣ってきたヤツだよ。後、山菜も一緒に採ってきたものだし。なんと、今日の朝ごはんの費用は……2人で38円! 凄いでしょ?」
「す、凄いね……限りなく自給自足レベルじゃん……もう」
「食費1日100円以内が目標だから、もう少しで達成だよ」
「い、いや……そこまでやらなくても……光熱費の料金、こないだ見てびっくりしたよ。電気・ガス・水道の合計で5,000円って……尋常じゃないって」
「お金は大切に遣わないとね♪」
「うぅぅ……現代で昭和初期時代のスローライフを送る事になるとは夢にも思わなかった……」
「自然と共に暮らさないとね♪」
「うぅぅ……自然と一体化しすぎだよ……ここだけ社会から取り残されてるよ……せめてテレビかラジオの導入、最低でも新聞とったりしようよ……社会情勢知ろうよ……」
「必要ないじゃん。そんな事知らなくても生きていけるし」
「うぅぅ……そうかもしれないけど……社会から取り残された気がしてちょっと不安に思うよ……」
「いいじゃん、別に取り残されても。私がいればそれで十分でしょ?」
「……まぁ、ね」
「けど、何とか言いながら、案外今の生活に馴染んでるじゃん」
「……昔から環境適応能力だけは高いからね……」
「大分、顔に生気戻ってきたし、健康になったじゃん」
「これだけ規則正しい生活送ってたら……ね。精神状態もかなり良くなった気がするし……」
「最近、ようやく一人で寝られるようになったしね~。ホント、大変だったんだから……たくみを寝かしつけるのに毎晩抱っこして。夜泣きもよくしてたし」
「ご、ごめんなさい……」
「最近はすっかり親離れして……ママ、少し寂しいな~」
「で、出来たらでいいけど……こ、今晩からまた一緒に寝たい……です。……や、やっぱり……そ、その~……隣が寂しくて……リサの温もりないと……ダ、ダメ?」
「……もう! 甘えっ子なんだから~。……いいよ。私も……ちょ~っと隣が寂しかったから……」
「……リサも俺と大差ないじゃん……そんな甘えっ子だったっけ?」
「……バカ──!」
「wwwwww」
「wwwwww」
あれから何故か人里離れた凄い田舎に移り住み、2人一緒に暮らしていた。1ヶ月に1度だけ買い出しの為に街へ出て、それ以外は2人だけしか存在しない大自然の中での暮らし。毎日、生きる為に外に出て釣りをしたり土を弄ったり山菜を採りにいったり。まるで遥か昔にタイムスリップしたかの様な生活はとても充実していた。……2人だけしかいない世界はとても光り輝いていて、暖かかった。
補足?
はい、何か自分の半生を象徴するかの様な出来事かもしれません。
前回の内容よりわずか2日後、リサに連れてこられた場所は「ここ、どこだよ!」という山に囲まれた田舎の古民家でした。都会になれた自分にとって、ここでの生活は何かと衝撃でした。
- まともなスーパーは車で1時間(基本、買いだめがデフォ)
- コンビニ? 何それ、おいしいの?
- 飲み屋? 人が殆ど住んでない村に何であると思う?
- 月が出ていない夜道を歩いたら、大けがするよ?(by.リサ)
- ここの冬をなめてたら、死ぬよ?(by.リサ)
etc…
この衝撃な環境に加え、テレビは目がチカチカする、ラジオは雑音が気持ち悪い、そもそも蛍光灯が実は苦手だ、というリサの性質がプラスオンされた結果、「ここは昭和初期かよ!」という生活を送る事になったという・・・冗談抜きに「日の出と共に起き、日の入りと共に寝る」みたいな毎日でしたし。。(夜はランタンやろうそくという、冗談の様な灯り環境でした。暖房器具・・・布団と毛布と人肌の温もりだけでしたかね)
こんな極悪とすら思える環境でも、意外に楽しかったです。農作業はキャベツやら小松菜やらほうれん草を植え付け・・・他は枯れ木や枯れ葉を集めて、気合で土を掘って焼き芋したり、気合でウッドデッキ作ったり、物置作ったり・・・釣り行ったり山菜採りにいったり・・・
「実は、こういう生活こそ、人にとって理想ではないのか?」
本気で思ったものです。(文明の発展と共に実は人類の幸福度って下がってないか? とすら思ったりすら・・・これ、あながち間違いではないかも)
と・・・こんな生活を半年近くしていたが為、その間自分は完全に音信不通状態になっていました。後に「あぁ、闘病生活送ってました、ごめんなさい」と多くの人に弁明してましたが、真相はこんなでした。ま・・・治療には違いないので、間違ってはいないです・・・よね?
──このまま一生こんな風に暮らしていくのもアリか!
当時は本気で思っていたものです。そして、当たり前の様に隣にリサがい続けるものだ、と。
が・・・現実は・・・
何はともあれ、遠い日の淡い想い出ですね。
コメント