診断の実際~貯蓄編(オフショア情報?)~

貯蓄診断の実際:オフショア講座(8)

診断の実際~貯蓄編(オフショア情報?)~
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オフショア講座(8)

元本保証商品のリスク

元本保証にむらがる日本人

日本人ほど、「元本保証」の言葉に弱い民族も珍しい。

何かと言えば、「元本は保証されるんでしょうね?」と心配顔で聞く。預貯金や一時払い養老保険など、およそ貯蓄性の高い商品と言えば、元本保証型であったから無理もないのだろう。

元本保証=安全な商品、リスク商品=元本割れの可能性がある危険な商品、という短絡的な思考が出来上がってしまっている。

それがどうした、と思っている方、次のケースを考えてみよう。

a) 銀行預金:
デフレの今はともかく、昔から預金金利はインフレ率に追いつかない。つまり、長期で預金資産を保有していると、ほぼ確実に資産の実質価値が目減りする→実質元本割れ確定。

b) 予定利率固定型の保険商品:
予定利率の高い時に加入すれば、かなりの貯蓄効果があるはずだが、固定された予定利率に、 運用実績が追いつかなければ逆ざやとなり、生保自体の資産が痛んで破綻する。→情報開示や監督当局の規制がしっかりしている国の商品以外は、危険。(日本は既に論外)

c)自称元本保証:
日本人の素人心理につけこんで、元本保証性を強調した金融類似商品。格付の高い銀行保証や、一流のカストディー銀行 がついているわけでもなく、その零細企業が事業をたたんで逃げてしまえば、元本は戻らない。

d)長期外貨建て運用商品の満期時元本保証:
リスクフリー金利自体が、円よりも数倍高い外貨建て商品の場合、満期時に元本が戻っても、機会利益の喪失は大きい。また、期中に解約すれば、元本割れの可能性も。

e) 条件付元本保証商品:
言わずと知れた為替予約条件付、インデックスリンク債、EBなど、顧客がデリバティブの売り手となる商品。顧客に最も不利な条件下で、元本が償還されるため、限りなく大きな評価損を抱える危険あり。意図的に、顧客に不利な展開となるよう、大手金融機関が相場を操作したケースも。

f) 元本保証コストが高い商品:
元本保証に、多額のヘッジコストがかかるため上昇時の機会利益が著しく損なわれる商品。長期の資産運用には不適。


上記の商品が、誰でも名前を知っているような大手金融機関を通して販売されていたり、豪華なパンフレットに、招待旅行がついて大々的に富裕層を対象に募集していたりするので、つい、ふらふらと手を出してしまう人が後を絶たない。

a)とb)については、国家ぐるみの政策であり、プロであるはずの人間が、率先して営業しているのだから、お手上げである。

これで、後日「騙されたほうが悪い」と言われたら、預金者も保険契約者も浮かばれまい。

満期時外貨建て元本保証付のヘッジファンド

上記の中で、仕組と内包されるリスクさえ、正確に把握できていれば、時に大きな武器になるのがd)のケース。最悪でも、満期時には元本が戻ってくるため、自分の外貨建て生命保険の運用先として、PPB(Personalized Portfolio Bond)の一部に組み込むのも一考である。

あるオフショア商品は、定期的に募集をかけるが、必ず、格付がAA格以上の大手銀行の保証がつく(間違っても、日本の銀行が選ばれることはないので、ご安心を)。

基本となるのは期間10年前後のゼロクーポン債である。

仮に、10年後に100で戻る債券の現在価値が60だったとしよう。顧客の支払う100の資金の内、60はゼロクーポン債の購入に充て、残りの40を元手に、勝負をかける。

たいていは、これにレバレッジ(借入れ)をかけ、前号でご紹介したような手法を駆使して、相場全体の上下に連動しない「絶対リターン」を目指す。

この手のファンドは、国内富裕層を対象に、口コミ・チャネルで売られているが、なぜか、次のリスク説明は少ないと聞く。

すなわち、期中に解約した場合、元本保証の対象にはならないばかりか、時期によっては早期解約控除が適用されること。

また、積極運用部分は、レバレッジがかかっているため、運用に不安が見られれば、保証銀行から、以後の安定運用を義務付けられること(つまり、満期を待たずして、期日償還額=元本であることが決定してしまう)、である。

とは言え、日本の「元本保証型ファンド」のいくつかが、あっと言う間に安定運用決定の烙印を押されてしまったのと対照的に、歴史のある優良ファンドで、そのような最悪の事態が起こるのは稀である。

ちなみに、上記のモデルとなった某ファンドの直近レポートでは、過去1年間のリターンが約22%と、過去平均とほぼ同じ成績を維持していた。

海外では、良いプランナーを選べば、保険の案内と同時に、こうしたファンドの紹介も随時してもらえるので、一般消費者自身が、どんどん知識を増やし、賢くなって行く。

選別眼も鋭くなるため、ニーズを満たすための商品のクオリティーも、おのずと高くなるのであろう。

補足

師匠の講座、第8回目です。

Manの元本保証、というのをご存知の方、どれくらいいるでしょう? 一時期は普通に日本の某証券会社(かなり大手)ですら売られていたものです。

今でこそ「あぁ、あのFTSE100の銘柄の一つのMan社ね。NHKで世界一のヘッジファンド会社って特集されてた」等とある程度の知名度を得ていますが、この頃はホント知名度がなかったです。

「何か滅茶苦茶怪しいんだけど・・・とうとう詐欺商品に手を付けちゃった?」

一体この声を何人の人から聞いた事だろう・・・

・・・という苦労話(?)はおいといて、実はこの元本保証商品、全体の9割が日本人で占められていたという・・・外人さん達は元本保証を嫌う傾向にありますね。

「元本保証分のコストがのっかってるから、その分マイナスじゃないか」

この意見が圧倒的だという・・・

また、この考えが浸透しているからかどうかは分からんですが、「日本の1/3程度の値段で売られている終身保険、殆ど加入している人がいない」のが現状だったりします。

「保険のコストがのっかっている分、期待値が低くなるだろ? 何言ってるんだよ」

こういう発想になる様で・・・

日本がこの発想が当たり前になるのに、どれくらいの年数がかかるのでしょうかね?

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