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コモディティは市場暴落時のヘッジになり得るか?

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コモディティは市場暴落時のヘッジになり得るか?

債権・金・ヘッジファンド以外の投資先を求めて……

株式市場と非相関の市場と言えば債権、金、そしてコモディティというのは有名な話です。

特にコモディティに関しては「株式とコモディティはサイクルしている」というのは歴史的にも明らかであり、株式市場暴落時のヘッジとしてコモディティは大いにありだと認識していました。

──まさかこのコモディティが「暴落時のヘッジとして不適切」という結論になるとは、検証前には夢にも思いませんでした。。。

コモディティとは

コモディティ(Commodity)とは一般に“商品”のことを指す言葉ですが、コモディティ投資とは商品先物市場で取引されている原油やガソリンなどのエネルギー、金やプラチナなどの貴金属、トウモロコシや大豆などの穀物といったようなコモディティ(商品)に投資することをいいます。

こう言われると「え~、商品先物? それってリスキーじゃない?」と仰る方もいるでしょうが、自分が言うコモディティとは「先物ではなく指数・インデックスファンド」になります。

今の時代、ETF等でかなり投資しやすい環境になっていますね。

コモディティと株式の関係

いまいちピンとこない人も多いかと思いますので、一つ一つ例を出して書いてみます。

まずはガソリンについて。
運送関連会社を想定してみれば分かりやすいと思いますが、ガソリン価格が安ければ有利で高ければ不利になる、これは明白ですよね。

次、木材に関して。
建築関連等が想像しやすいでしょうか、ガソリン同様価格が安ければ有利で高ければ不利、当たり前の話ですね。

さて、ここで林業の立場で考えてみましょう。1本木を切って10万円で売れるか1万円で売れるかどちらがいいか、明白ですね。流石に林業はやった事ないので分からんですが、「この労力でこの値段だったらやってられっかよ!」というラインはあるでしょう。

「これだけしか売れないんだったらこの仕事辞めるか(縮小するか)……」

当然、その仕事に携わっている人にも生活がある訳ですから、こんな感じになりますね。

さて、林業が衰退していったらどうなるか?を考えていくと、当たり前の話ですが市場に出回る木材が少なくなる訳ですから値段高騰に繋がっていきます。

ここで「お?今木材高く売れるから、供給増やす為にたくさん植えたろ!」という感じでパパっと供給を増やせれば問題ないのですが、ご存知の通り木が育つには年単位の時間がかかります。これは木材に限った話ではなく他においても同じ様に期間の差はあれど「供給不足だからといってパパっと増やせるものじゃない」です。

現状の世界はどうか?
えぇ、各種コモディティそれぞれ「供給不足」していますね。でもって、価格はびっくりするくらい低空飛行のまま。(一部除く)

じゃ、これからどうなるか?
コモディティの時代が来る様な気がしません?

コモディティ投資の魅力

過去のRICI連動型ファンドのプレゼン資料より抜粋します。

  • 商品はグローバル貿易の約25%を占める
  • 原材料の貯蔵は記録的な低レベル
  • 生産インフラへの長期間に渡る投資不足
  • グローバル経済は新たなステージへ:アジア経済(特に中国)の需要
  • インフレヘッジ:商品先物のリターンはインフレとプラスの相関性
  • 世界的なエネルギー状況:世界的な需要/供給のバランス欠如により石油・ガス価格の高騰へ
  • 商品価格は経済停滞期、経済回復期の両方で上昇できる可能性

商品投資の特性:

  • 株式・債券市場との低い相関関係(株式とは0.13、債券とは0.01)
  • 株式投資と同じ程度の投資リスク
  • インフレヘッジ(商品価格はインフレの時期に上昇する)
  • 地政学的な不安定性に対するヘッジ

その他、発展途上国が発展する→人口増→食料がその分必要になる、とか……発展→生活が豊かに→嗜好品需要が~とか、ファンダメンタルズ的にも上がる要素満載ですね。

気になる成績は?~2008年よりS&P500と比較~

「お! 中々良さげじゃん! 今はETFでも買えるみたいだしちょっと興味出てきた……!」

と、ここまで読まれて思った方もいらっしゃるでしょう。えぇ、ここまでは大袈裟ですが「話を聞けば誰でも興味持つ」ものなんです。

が、過去の成績を見ると……興味を持った9割の人が「あ……やっぱいいや……」となるでしょう笑。

そのチャートが……こちら!

えぇ、リーマンショック以後好調の株式市場と打って変わってコモディティ市場はモロ低空飛行……恐ろしい程の差がついてますね。

「よ、よくこんな市場を候補にあげる気になったなぁ、おい……」

という人が殆どでしょう。

が! 冒頭に書いた通り「株式とコモディティはサイクルしている」という点、性質的に「株式市場と非相関、それどころか逆相関に近い」と言える点、そして投資の原則ともいえる「安い時に買って高い時に売る」事から考えれば、むしろ「大いにアリ」という見方もできるでしょう。

今でこそ10年以上にわたる好景気(指標的に、実経済ではない)が続いていますが、過去のチャートを渡ればITバブル崩壊以後実に10年以上の期間、実質的に株価は横ばい(最高値を更新していなかった=成長していなかった)という歴史は皆知るべきだと思います。(更に言うなら、1965-80半ばくらいまで等10年以上横ばい(成長していなかった)の時代もあった事は過去の実績より調べればすぐ分かる実績だったりする)

 

……と、ここまでは「それでもコモディティを推す」路線でした。が、次の調査で思いっきり方向転換をするハメに──

 

ざっくり各種コモディティインデックスETFをピック

■Invesco DB Commodity Index Tracking Fund
https://www.invesco.com/us/financial-products/etfs/product-detail?audienceType=Investor&ticker=DBC

DBIQ Optimum Yield Diversified Commodity Index Excess Returnによって測定される、NYMEX(ニュク・カンタイル取引所)、ICE-EU(インタコンチネンタル取引所 – ヨロッパ)、ECBOT(シカゴ商品取引所 / 電子取引)、ICE-US(インタコンチネンタル取引所 – アメリカ)、LME(ロンドン金属取引所)の商品取引所で取引される最も流動性の高い商品先物14銘柄に連動するETF。
 
  1. DBC( Invesco DB Commodity Index)は構成品目こそ少ないが、バランスの取れた総合コモディティETFである。
  2. DBCのインデックスは採用品目の構成比率を頻繁に調整しておりETFの経費率は高いが結果的に高パフォマンスを発揮してきている。(GSGより好成績)
  3. 構成比率のうち過半数を石油が占めているため、石油価格に強く依存する。
2021/02.25時点
Gold 6.082%
Silver 1.847%

■Invesco Optimum Yield Diversified Commodity Strategy No K-1 ETF
https://www.invesco.com/us/financial-products/etfs/product-detail?audienceType=Investor&ticker=PDBC

ファンドマネジャの裁量によって構成銘柄が選定されるアクティブ運用のETF。上記DBIQ Optimum Yield Diversified Commodity Index Excess Returnのベンチマクを上回ることを目指す。NYMEX(ニュク・マカンタイル取引所)、ICE-EU(インタコンチネンタル取引所 – ヨロッパ)、ECBOT(シカゴ商品取引所 / 電子取引)、ICE-US(インタコンチネンタル取引所 – アメリカ)、LME(ロンドン金属取引所)の商品取引所で取引される最も流動性の高い商品先物14銘柄に連動するETF。

 
  1. PDBCはDBCとほぼ同一の商品比率で構成されたアクティブETF。
  2. 名目上はアクティブETFだが、実際はパッシブファンドの値動きに近い。経費率はパッシブファンドであるDBCよりも何故か安い。
  3. 石油への依存度はDBCよりもやや低い。
  4. 総合コモディティETFとしては、DBC以上の可能性を秘めている(かもしれない)

2021/02.25時点
Gold 1.729%
Silver 0.524%
※アルミニウム、亜鉛比率をDBCよりあげている


■iShares S&P GSCI Commodity-Indexed Trust
https://www.ishares.com/us/products/239757/ishares-sp-gsci-commodityindexed-trust-fund

S&P GSCI Total Return Indexによって測定される、NYMEX(ニュク・カンタイル取引所)、ICE-EU(インタコンチネンタル取引所 – ヨロッパ)、ECBOT(シカゴ商品取引所 / 電子取引)、ICE-US(インタコンチネンタル取引所 – アメリカ)、CME GLOBEX(シカゴ・マカンタイル取引所 / 電子取引)、LME(ロンドン金属取引所)の商品取引所で取引される最も流動性の高い商品先物24銘柄に連動するETF。


ベンチマクよりトタル・リタンが大幅に下方乖離しているが、これは経費率の高さによるものであろう。また、経費率以外にパフォマンスを押し下げる要素として、コモディティETF特有の「ロルオ」というものがある。コモディティは通常先物に投資するが、先物には期限があるために定期的に先物の買い替えをする必要がある。これをロルオと言い、先物価格上昇による利益が受けにくくなる原因となる。また、インデックス投資はその性質上乗り換えの日時が公表されているため、ETFによるロルオを見越した取引が行われてしまい、一層パフォマンスが悪化してしまう。イメジで言うと、ダウ平均からどの銘柄がいつ除外・追加されるのか予定と周知がされているものといった感じ。

 以上諸々の商品構造の特性による懸念事項はあるが、GSGはベンチマクからの大幅乖離はしていないので、インデックス通りに運用できているとは言えそう。

 ここまでで考察できることとして、商品取引はインデックス取引としては不向きなジャンルであると言えるかもしれない。。。

2021/02.25時点
Gold 8.6%
Silver 0.7%


■ELEMENTS Rogers International Commodity Index Total Return ETN
https://www.elementsetn.com/ElementsETNUI/RICI-Total-Return-ETN.aspx

Rogers International Commodity Index – Total Returnによって測定される、NYMEX(ニュク・カンタイル取引所)、ICE-EU(インタコンチネンタル取引所 – ヨロッパ)、ECBOT(シカゴ商品取引所 / 電子取引)、ICE-US(インタコンチネンタル取引所 – アメリカ)、CME GLOBEX(シカゴ・マカンタイル取引所 / 電子取引)、LME(ロンドン金属取引所)、MATIF(フランス国際先物取引所)、TOCOM(東京商品取引所)の商品取引所で取引される商品先物37銘柄に連動するETN。

Gold 5.00%
Silver 4.00%
Platinum1.80%

 
コモディティインデックスはどこもかしこも石油価格との相関性がかなり高め」
 
現実のインデックスはこんな感じ。この点をどう評価するか、でしょう。(取引規模からいってこうなるのはしょうがないかもですが……)
 
現在原油価格と株価は正相関の関係にある≒コモディティインデックスと株価も正相関の関係と言える
 
ここから導かれる答えは……
 
コモディティインデックスへの投資は株式暴落時のヘッジにならない(普通に連動するから)
 
という事に。
 
……今までコモディティについて熱く語っていたのは何だったんだよ!という皆さんのツッコミの声が聞こえてきそうです。。
 
えぇ、コモディティインデックスがここまで石油割合高いとは……(日経平均とファーストリテイリングの関係を知った時くらい衝撃でした)
 
 
ちなみに何故に原油価格と株価が正相関か?という説明は省きます。(詳しく知りたい方はググれば色々詳しく解説しているページが出てきますのでそちら参照を)
 
※ここから脱炭素の世界的な動き→ニューエナジー革命→EV車について脱線していきますが、ここでは略します。もしかしたら別途書くかもですが、ホント関係ない話になるので……
 

まとめ

 
  • 各種コモディティインデックスは石油割合多い。
  • その為、株式市場下落時のヘッジになるか、は微妙。
  • まだ金やプラチナあたり探る方がヘッジになり得るであろう。
  • よって、コモディティインデックスは株式市場暴落時のヘッジとして不適切。
 
……えぇ、勉強にはなりましたが、候補探しという視点では思いっきり無駄骨でした、はい。。。
 
次回はプラチナ・金・銀あたりかな?(ざっくり調べている最中)
※木材に関して事細かく調べていたが、途中で「ヘッジにはなり得ない(関連株なので普通に株式に連動する)」事に気付き、方向転換した。

補足

何か最後の方がまるで打ち切り漫画の様な形になって申し訳ありません。。。(正確には最後のETFの構成部分のみ、某お客さんに伝えた内容で後はHP用に付け加えた内容です)

前回同様、一言でいうとボツネタの一つです。

「取りあえずコロナバブルで資産は増えたけど、このままいくとはとても思えない。暴落時に備えて暴落時に強いポートフォリオを組みたい」

この主旨の元、色々検証した際の「提出する事のなかった」話をまとめたものでした。

ま……結果的に無駄な時間でしたが、「コモディティインデックスは石油割合が大きい」という事が判明、ちょっと賢くなった気がする今日この頃でした。

結論だけ見れば「へぇ、そう……」という内容に過ぎませんが、個人的にコモディティは株式と逆相関という先入観が強かったが為、「実はコモディティインデックス投資は株式暴落時のヘッジにならない可能性が高い」という結論に至るまでにかなりの時間を要してしまいました。

知っている人からすれば「何言ってるんだ、コイツ……そんな事も知らなかったのかよ、常識だろ?」となるでしょうが、自分同様に知らなかった人にとっては「へぇ~」と参考になる……かな??

次回は金・銀・プラチナネタかEVネタか木材ネタかヘッジファンドネタかニッチ系ETFネタのどれか、かな?

※リアルでここから発展、5つくらい並行して調査していた……

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