Epilogue Risa #9 それぞれの未来へ……
──6月30日:夕食後
「リサ……ちょっと真面目な話があるんだけど……」
「あ、丁度良かった。私も真面目な話あったんだ……」
「え? リサも? なら……リサの話から聞こうか」
「……分かった」
「……何?」
「私ね……やっぱりたくみと……一緒になれない」
「……え? な、何で?」
「斎藤さんと……一緒になるから」
「……え?」
「たくみの事は……今でも好きだよ? 斎藤さんよりずっと、ね。けど……たくみといると、どうしても嫌な私を思い出しちゃうの」
「……え?」
「今だから白状するけどね……たくみの30歳の誕生日にあの場所に行った時、たくみはあすかちゃんと一緒になってるかなって……思ってたんだ」
「──?!」
「ただ……あすかちゃん相手なら、たくみを奪えるかなって。……あの子に振り回されて、たくみ、疲労してるかなって……」
「…………」
「……あの日、壊れたたくみを見つけた時……嬉しかったんだ。もう私、苦しまなくていいんだ、私だけのものになったんだ~……って」
「……え? どういう……意味?」
「……あすかちゃんは……もういないんだって」
「……え? どういう……事?」
「……あすかちゃん、無事だと思う?」
「……え?」
「たくみがあれだけ壊れたのに、あすかちゃんは何ともなく無事だと思う? 幸せになってると思う?」
「……そ、それは──」
「私は……酷い人なの。分かっていながら……たくみにこの事、教えなかったから」
「…………」
「もし……あすかちゃんが壊れてたら……どうする? 見て見ぬフリして私と一緒になれる?」
「…………」
「ごめん、私、形見の手紙も携帯も……見ちゃったんだ……」
「…………!」
「その反応、やっぱりたくみも形見の中身、知ってたんだ……」
「……(コクリ)」(無言の頷き)
「……あすかちゃんに会いにいきなよ。……親友とかそんな事言ってないで。……自分の気持ちに素直になりなよ」
「……俺は、それでも──」
「出てって……! ここはもう……たくみの居場所じゃないから」
「……────ッ」
「私は……これから斎藤さんと一緒に生きていくから」
「────ッ」
「もう……私の所に来ちゃダメ……だよ。私は……大丈夫だから」
「リサ……本当に、大好きでした。一緒に過ごした日々は……一生忘れません、俺の……宝物です。本当に、本当に……ありがとうございました!」
「私だって……────ッ」
「斎藤さんと……今度こそ……幸せに……ね」
「たくみも……間に合うと……いい……ね」
リサ……本名:川上リサ──4年半にも及ぶ彼女との物語は……これで終わりを告げた。もし彼女がいなかったら、加藤の人生は大きく、大きく変わっていたであろう。畑口とのその後もなければ、仕事での大成も、美子ちゃん達との再会も、そして──九重とのその後も……
加藤の退職後の物語は、リサによって作られたといって過言ではないくらいである。
本当に一緒になりたかった。一生隣にいて欲しかった。嘘偽りのない本心である。ただ、リサは加藤の全てを知っていたのであろう……
──あすかちゃんが壊れてたら……どうする? 見て見ぬフリして私と一緒になれる?
これから物語は怒涛のクライマックスへ突入していく。
補足?
ま、リアルです。
20時ちょい前くらいだったかな? 家を追い出されましたよ。別れは夜、よくあるパターンかもですが、これはあくまで移動手段がある場合に限るな、と。感傷的になりながら夜道を歩いていて、ふと「これ、歩いて駅まで行くの、無理ゲーじゃね?」と我に返り、思わず戻って「せめて駅まで車で送ってよ」と頼もうか迷ったくらいです。・・・流石にそれは空気を読んでせずに、気合で歩きましたけどね。
・・・という異様に現実的な話はおいといて、前回、そして今回は脚色してもうちょい分かりやすくしても良かったかもですが、リアルをなるべく忠実に書いたらこんな風になっちゃいました。・・・分かりにくいですよね笑
一応、次回以降を読んで貰えばある程度の理解はできるかもですが、それでも???かもしれません。
ま、全ての話は次回以降(多分数話)の後にでもじっくり・・・
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