診断の実際~貯蓄編(オフショア情報?)~

貯蓄診断の実際:オフショア講座(3)

診断の実際~貯蓄編(オフショア情報?)~
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オフショア講座(3)

金融機関としての保険会社の存在意義について

驚異の金利差

個人の金融資産の75%前後を預貯金と保険に投入している日本人は、「貯める」ことは習い性となっていても、「殖やす」ことには、ほとんど関心がないらしい。

時々、何か勘違いをして、個別株や投資信託の短期売買を繰り返し、投資家を気取っている輩もいるが、たいていは、金融機関の手数料稼ぎの餌食になり、総合収支は、マイナスになっていることが多い。

なぜ、中長期の視点に基いた資産形成が、根付かないのだろう。複利運用における金利差の影響を真剣に考える機会がないのだろうか。

金利差が長期でどのぐらい資産形成にインパクトを与えるか、下の表を見て欲しい。
前号の20代女性の例で、月々2万円相当、年24万円分の積立としよう。

平均運用利回り(ネット)
10年後受取額
20年後受取額
タンス預金(ゼロ%)
240万円
480万円
0.5%
247万円
506万円
15%
560万円
2,827万円

石橋を叩いてタンス預金をした者と、長期の分散投資を行った者との差は、あまりにも大きい。

仮に後者が外貨建ての運用であったとしても、年平均15%で回せれば、円高も何のその。外貨建ての積立ならば、積立期間中、円高になればなるほど、円ベースでの負担額は減るのだから、「ウェルカム」である。

それよりも、円安になって、昔懐かしい輸入インフレにでもなった時、円資産だけしかなかったら、どう対処するのだろう。

保険商品も重要な資産の一つであるが、通貨のリスク分散まで考えて加入する者は、日本人にはほとんどいない。(アジアの知識層が、保有資産が何であれ、必ず複数通貨への分散を図っているのに比べると、恐ろしいほどの平和ボケである)

村の互助会から金融機関へ

日系の生命保険会社は、大昔の村の互助会システムの概念のまま、21世紀を迎えようとしている。

そこには、巨額の資金を運用するというプロフェッショナリズムは微塵もない。評論家諸氏に「保険会社の商品を使って貯畜効果を求めるのは無理。掛捨てに徹するべし」と切り捨てられ、自らも掛捨て商品の構成比率を高めて、それを実証してしまっている。

世界でも突出した資金量を誇る金融機関として、それではあまりにも惨めではないか。

もちろん、現行の護送船団方式の下では、政府の保護と引き換えに、様々な規制があるのは事実だろう。それでも、近未来的には、ベンチマークを上回る運用が期待できる中長期向けファンドを、少なくとも10種類以上は揃えて欲しいものだ。

保険会社こそ、銀行や証券会社とは異なる長期の資産形成商品を提供できる心強い味方であり、もはや、万一の時の保障を提供するだけの互助会ではないのだから。

次回は、複雑な投資商品を組み合わせたオフショア生命保険商品を販売するIFA(Independent Financial Advisor)について概要を解説する。日本では、主に欧米からの駐在員を主要顧客としているが、日本人でも富裕層を中心に、利用者が増えてきている。新しい代理店経営のヒントになること請け合いである。

補足

師匠の連載第3回目ですね。

これ……改めてみると20世紀末に書かれたものですね。その頃自分はと言えば……普通に保険屋をやっていた訳で……同じ時代を生きながら全く違う世界を見ていたんだな、と。

師匠がこれを書いた年齢になった時、自分は師匠のレベルになっていただろうか……?

な~んてしみじみと。

連載はまだまだ続きます。

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