医学書~生命保険に関する基礎知識~入院時知っておく事

差額ベッド代について

医学書~生命保険に関する基礎知識~
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差額ベッド代について

前書き

「入院したけど、差額ベッド代、当然のように取られた」

こんな意見を非常によく頂きます。
いや…自分自身も差額ベッド代、治療に必要等の場合、取られるものだと思ってました。 病院が当たり前のように請求するベッド代に対し、高いなぁとは思いつつ、、「しょうがないか」と。。

が…これ調べてみたら…とんでもない事実が判明しました。 …全く保険とは関係ない事柄ですが、知っておいて損はないでしょうから記します。

◆差額ベッド(特別室)に関する厚生省の通知(要旨)

  • 特別室の利用は患者の自由な選択と同意に基づく。
  • 医療機関が料金を請求できるのは、患者側の希望がある場合に限る。
  • 救急患者や手術後など、治療上の必要から特別室へ入った場合は料金を請求できない。
  • 医療機関は特別室の設備や構造、料金などについて説明し、料金などを明示した同意書に 患者の署名が必要。
  • 受付窓口や待合室など医療機関内の見やすい場所に、差額ベッドの数や料金を掲示する。

◆料金請求について、厚生省が具体的な事例を示した例

〈請求できないケース〉

  • 抗がん剤などの使用で免疫力が著しく低下し、感染症を起こす可能性がある患者=治療上の必要がある
  • 集中治療や、著しい身体的・精神的苦痛の緩和を目的とする終末期医療の患者=同
  • 特別室への入院が緊急を要し、患者の選択でない場合(病状を経過観察し、特別室以外が空くのを待つ)

〈患者の同意があれば請求できるケース〉

  • 痴ほう、いびきがひどい患者=迷惑防止の目的だけでは、治療上の必要があるとは言えない
  • 感染症の患者=他の患者への感染を防ぐという理由だけでは、治療上の必要があるとは言えない(患者の選択でなく、病院の判断で入院させた場合は請求できない)

はい…病院側が「他に空きがないから」という理由で差額ベッドにいれた~というケースでは…なんと、差額ベッド代は支払う必要ないんですな。

Google検索等で「差額ベッド」といれて検索してみて下さい。 グワっと色々出てくるでしょう。

上記の通知等をよ~~く覚えておきましょう。 差額ベッド代は「自ら望んだ時初めて」支払うものです。 はい…本来支払わなくていいケースが…殆どかと。。

ホント、知らないとは恐ろしい。。

医療ソーシャルワーカーの人からの投稿

最近保険の見直しについて検討するなかで、いろいろな保険会社のパンフレットを見たところ、

「入院をしたら100万円」
「差額ベッドには健康保険が適用されません」

などの文字が躍っています。

そこには、「入院したらほとんどの場合差額ベッド料金がかかる」という誤解と言うか誇張が多分に含まれていると思います。 また、一般的にそのように思われている方もたくさんいると思います。

私は病院で医療ソーシャルワーカーという仕事をしている立場から、この問題についてきっちりお伝えしておこうと思いました。

まず「差額ベッド」という呼び名についてですが正式には特定療養費の中の特別の療養環境という部分に規定されており「特別療養環境室」と呼ばれます。

条件として、

  1. 一病室の病床数は4床以下であること
  2. 病室の面積は一人当たり6.4平方メートル以上であること

などが定められています。
また、

「経験を有する常勤の相談員により、特別の療養環境の提供に係る病室への入退室および特別の料金等に関する相談体制が常時とられていること」

などというのも条件です。

次に具体的に医療機関には義務が定められています。

  1. 保険医療機関内の見やすい場所、例えば、受付窓口、待合室等に特別療養環境室の各々についてそのベッド数及び料金を患者にとって分かりやすく掲示しておくこと。
  2. 特別療養環境室への入院を希望する患者に対しては、特別療養環境室の設備構造、料金等について明確かつ懇切に説明し、患者側の同意を確認のうえ入院させること。
  3. この同意の確認は、料金を明示した文書に患者側の署名を受けることにより行なうものであること。 なお、この文書は当該保険医療機関が保存し、必要に応じ提示できるようしておくこと。

どうですか?
たくみさんは親父さんの入院のときに、ちゃんと説明してもらいましたか? ほとんどの病院では、まったく説明しないかもしくは簡単に説明するだけです。 「署名」も単独の書類ではなくて、入院申込書の中に、項目として付け加えてある場合もあるので注意が必要です。

さてここからが本題です。

私は、現在差額ベッド料金を払っている方の8割以上が、本来払う必要がないのだということをまず言いたいと思います。

それは、希望して差額ベッドの部屋に入院したのではないからです。 厚生省から出された通達にはこう書かれています。

「特別の療養環境の提供は、患者への十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意(注:ココが重要です)に基づいて行なわれる必要があり、患者の意に反して特別療養環境室に入院させられることのないようにしなければならないこと」

そして、患者に特別療養環境室に係る特別の料金を求めてはならない場合についてもキッチリ規定されています。

  • 同意書による同意の確認を行なっていない場合(当該同意書が、室料の記載がない、患者側の署名がない等内容が不十分である場合を含む)
上にも書きましたが、しっかり説明をしたうえで同意書を書いてもらうと言うのが医療機関の立場です。 請求書を見て差額ベッド料金にはじめて気づき、意見を言ったら「あの文書に書いてあったでしょ」などということは通じないわけです。 それは説明義務違反。
 
  • 患者本人の「治療上の必要」により特別療養環境室へ入院させる場合
    救急患者、手術後患者等であって、症状が重篤なため安静を必要とするもの、又は常時監視を要し、適時適切な看護及び介助を必要とする者。
    免疫力が低下し、感染症に罹患するおそれのある患者。
    集中治療の実施、著しい身体的・精神的苦痛を緩和する必要のある終末期の患者
そのまんまですが…治療上の必要があって個室等に入る場合は差額ベッドはいらないんですよ。
 
  • 病棟管理の必要性等から特別療養環境室に入院させた場合であって、実質的に患者の選択によらない場合
    例:MRSA等に感染している患者であって、主治医等が他の入院患者の院内感染を防止するため、実質的に患者の選択によらず入院させたと認められる者
MRSAは有名ですよね。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌です。 乳児や高齢者などに感染すると、肺炎や他の合併症を起こしやすいため。
 
医療機関では(MRSAに限りませんが)院内感染には細心の注意を払っています。

話を戻しますが・・・
「ベッドが空いていないので個室でもいいですか?」などと言われて、差額ベッド料金を払わされるケースが結構多いわけですが、これも本来は払う必要がありません。

長くなってしまいましたが、要するにほとんどの場合は差額ベッド料金なんて払う必要がないんです。 が、知識を持っていないと、同意書にサインをさせられ、きっちり払わされてしまいます。

現場で働いている病院の職員も、規定があることを知らないと言うのが実態です。 ただ入院中にあんまりゴネルと居心地が悪くなると言う方は、最初はおとなしく払っておいて、退院してから本格的な闘いをはじめるというのがいいのではないでしょうか。 そもそも同意書などにサインをしてはいけませんが…

困ったときは、都道府県庁に担当課があるので問い合わせてみてください。 私がわかるところだったら答えますが…

結論

差額ベッドなんて自分が希望しなきゃ払わなくていい! だから保険会社が大げさに言うのはうそっぱち。

最後に…厚生労働省もこう言っています。

「患者が事実上特別の負担無しでは入院できないような運営を行なう医療機関については、患者の受診の機会が妨げられる恐れがあり、保険医療機関の性格から当を得ないものと認められる…」

ホントにその通りだと思います。

先ほどお送りした文章には書き忘れたんですが、差額ベッドの部屋の割合は最大でも全病床数の50パーセント(国立病院は20パーセント、地方公共団体が設置する病院は30パーセント)を越えることはできないと決められています。

医療ルネッサンスの記事を読むと…どうやら過去のものでも差額ベッド代返金があったという例があるようです。 上記投稿にもあるように…「本来は支払う必要のないケース」が殆どかと。。

差額ベッド代は健康保険がききません。
100%自己負担です。

「俺は個室シャワーつきじゃなきゃイヤなんだよ!」

と、自ら望むのならともかくとして、支払わなくてもいいものは支払わないに越した事ないでしょう。 はい…この差額ベッド代って…バカにならないですからねぇ。

以下、相談先っす。

相談先
健康保険組合等の場合は地方社会保険事務局、国民健康保険の場合は都道府県の国民健康保険担当課、老人医療は都道府県の老人医療担当課。

一人の方でも「おぉ、役にたったよ!」といっていただければ幸いです。

コメント

  1. […] […]

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