第38話:みのりちゃんの過去話
きっかけ
「そういえば、今のアダルト系の仕事、15歳からやってるって言ってたっけ?」
「え? 14歳からですよ?」
「ぶっちゃけ、どういうきっかけで始めようと思ったの?」
「実は……と、何かのドラマや漫画ならドロドロした内容になるんでしょうけど、単に好奇心です^ ^」
「……ま、まぁ好奇心はいいとして、先輩や友達から誘われた、とか?」
「いーえ、出会い系喫茶の付近ぶらぶらしてたらスカウトされて、好奇心で♪」
「……中学生をスカウト??」
「あ、前は16歳から大丈夫だったんです、当時の出会い系喫茶。ま~、16歳も14歳も大差ないですよね^ ^」
「……今から6年前はそんなゆるっゆるだったんだ」
「えぇ、飲み物タダで漫画や雑誌もあってそれなりに快適でした♪」
「で、そこで大人の男に声かけられて──と?」
「あ、はい。そんな感じですね。トークルームに呼ばれて交渉~、みたいな」
「ま、まぁみのりちゃんみたいな明らかに場違いな美少女いたら、みんな飛びつくわな」
「えぇ、私は常に指名入ってろくに雑誌も読めませんでした」
「ま、まぁ14歳デビューはいいとして、その……オテテとかやり始めたのはいつから?」
「え? 14歳からですよー」
「──!?」
「別に驚く事じゃないと思いますけど^ ^」
「んと……抵抗とかなかったの?」
「あ、それは全然。私、そういう意味では英才教育受けてましたから♪」
「え、英才教育? な、何それ?」
「それはですね──あ、次の人来たみたい。じゃ、また後でお話しますねー。行ってきまーっす^ ^」
「(……まさかの次回に続くと来たか)」
英才教育
「ただいまー^ ^ 今日はメチャクチャ順調ですよね。この午前中の時間でもうこんなにお金増えましたよ♪」
「ホント、このまま終わっても上出来レベルだね。って、さっきの続き、聞かせてよ」
「え? 何の話でしたっけ? エステの全身脱毛で高校の時50万遣った話?」
「いやいやいや、それも興味深いけど、英才教育の話」
「──あぁ! 思い出しました!」
「じゃ、続きを、どーぞ!」
「まぁ、大した話じゃないんですけど、うちの両親、お互い不倫してるんです」
「ほほぅ……ま、双方が、というのは案外珍しいかも、だね。いつ知ったの?」
「えーっと、小学3年の頃です。ママの携帯みたら、あれ? みたいな……」
「……ちょっと早いね」
「で、案外グロいやり取りとかもしてて、そのやり取りを自分のスマホで写メで撮るのが私の趣味でした^ ^」
「……マセガキだったんだ」
「いえ、別にマセたくてマセたんじゃなくって、私が当時知らない単語いっぱいあって、後でじっくり読んでネットで意味調べたりする為の写メでした。そうしているうちに、色々知る事になりましたね」
「……お母さん、娘にそんな事してたなんて知られたら──」
「ま、家出てっちゃうでしょうね♪」
「だろうね……」
「だから、私は小学3年の時から毎日のように勉強したんです。中学に入る頃には大半の事ならなんでも来い的知識、あったんです」
「確かに──これ以上ない英才教育だね」
「えぇ、早めに大人の現実知れました。だから、最初から何の抵抗もなく手とか出来たんです」
「逆に手だけで口やら本番に手を出さなかったのが不思議だよ」
「きっと私がお口で出来ればもっと多く稼げるんでしょうね」
「恐らく、ね……」
「ただ、英才教育のおかげで色々知識ありまして、表では優等生のいい子ちゃんでいたかったので、病気リスクはとことん排除しました」
「……凄いね」
「出会い系喫茶にいた子、病気貰ったりしてる子多かったですし」
「確かに、そういう所いる子は病気貰ってそうだね」
「あ、そういえばこないだ検査行ってきたんです、ほら♪」(腕を見せる図)
「ん? 血液検査? 何の検査してきたの?」
「一応、20歳になる記念に、エイズ検査してきました♪」
「──え? 心当たりあるの?」
「特にはないですが、過去留学してた時、コロンビア人と付き合ってた事もありますし、一応、ね♡」
「……結果出るまで怖くない?」
「んー、怖くないと言ったら嘘になりますけど、ま、そうだったらそうでもいいかなーって。今までして来た事に後悔はないですし、若いうちに好きな事もたくさん出来たから幸せだったかなーって。──まず大丈夫でしょうけどね^ ^」
「……どこかの漫画かドラマの主人公みたいな事言うねー」
「えぇ、そういう台詞言ってみたかったんです♪ だから受けたとも。……一番の動機は単純に好奇心ですけどね^ ^」
天才援交少女
「んと、今のネカフェ内での顧客誘導、色々利点あって素晴らしい着眼点だと思うけど、誰かに教えて貰って今の形になったの?」
「え? いえ、最初は前話したように出会い喫茶とネカフェかカラオケの往復だったんですけど、出会い喫茶のトークルームってお金かかるじゃないですか」
「ん? 出会い喫茶行った事ないからシステム分からないけど、そーなの?」
「んと、男性の人は入場料がまず取られて、そこでマジックミラー越しに女の子見て、話したいと思った子を指名してトークルーム利用するんです」
「よく分からないけど、キャバクラや風俗の指名のようなものかな?」
「まぁ、そんな理解でいいです。話進まないので略しますけど、要するに男の人、女性連れ出すだけで8,000円くらいかかっちゃうんです、仕組み的に」
「……要するに、一度会った子でもう一度会いたい場合、出会い喫茶通さず会う方がお得だよ、と」
「そう! その通りです。直接、ネカフェでオテテしてくれない? っていう人、案外多かったんです」
「ネカフェ、安いしね」
「安い以前に、ネカフェしか無理でしたね。当時の私、14歳でしたし」
「──! そうか、別々に個人で入って、部屋番号教えて貰っていけば、限りなくバレない訳か!」
「はい、ホテルやカラオケだと一緒に行く必要ありますよね? それじゃ、いつ通報されても不思議じゃないですし」
「これは──よく考えたね」
「いや、今の若い子達の間では常識ですヨ。学生同士でラブホ代わりに使ってますし」
「これ応用したらヤバイものの引き渡しに最適なんじゃ……」
「ま、それはおいといて♪ 何度も何度も出入りするのはなんだかなーって思って、だったらネカフェから出る事なく誘導すれば効率的じゃないか、って考えてやり始めました」
「……正直、この着眼点、発想は天才的だね……裏社会にいるのが勿体無いような──」
「って、14歳だった私が表社会で何かこれ! というモノやった所で大人に奪われるのがオチです。着眼点と発想が100%私の利益になるのは裏社会だからこそ、です」
──生まれた国が日本ではなく例えば米国だったら、もしかしたら奇跡の天才14歳実業家として世に出ていたかもしれないみのりちゃんの奇才ぶりでした。
J●で違法風俗店に所属したきっかけ
「んと、変なこと聞いていい?」
「え? いいですよー。何ですか?」
「風俗雇って貰ったって言ってたけど、出会い系喫茶みたいに店の付近ぶらぶらしてたら声かけられたの?」
「あ、いえ、ネカフェでオテテの仕事している時に、ある人が風俗のが効率的に稼げるよって誘われて、その人の通ってたお店紹介して貰って、それで雇って貰いました」
「へー、いくつの時?」
「あ、15の時です♪」
「……まさかと思うけど、それって中学──」
「ご想像にお任せします♪ 多分、ジュンさんが想像した通りです♬」
「ぅわ……ちなみに、みのりちゃんだけだよね? その年代の子は」
「いえ? 私よりも──」
「いや、もう聞かなくていいや。想像以上に危ないお店ってのは分かったから」
「え~、いいお店でしたよ~。お店のスタッフもみんないい人でしたし♪」
「そ、そう…‥ま、その辺にして──その紹介してくれた人は今でも常連さんなの?」
「いえ、その人ストーカーさんになってしまって、最終的に警察にお世話になって、私に近づけないようにして貰いました」
「うわ……ディープだね。普通そういう経験したらもう足洗うとか考えるのが普通じゃない? よく辞めずに続けたねぇ」
「んー、結局解決しましたし、最悪ストーカーさんが出来ても警察いけば対処してくれる事分かりましたから。ま、いい勉強になったかなーってな感じです」
「うぅ、強いね──」
「お金を人並み以上に稼ぐ為ですから、これくらいでへこたれませんよ〜♪」
──他にも色々きっつい経験をして乗り越えてきているであろうみのりちゃん、この年にしてダイヤモンドよりも硬い強い心を身につけていたのでした。
コメント