たくみの営業暴露日記

たくみの営業暴露日記 エピローグ #6 死の接吻……?

#6 死の接吻……?たくみの営業暴露日記
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 たくみの営業暴露日記 エピローグ #6 死の接吻……?

(続き)

「それにしてもあの時はびっくりしたな~。あんな仕打ちを私に受けたのに、何事もなかったかの様にケロっと私の前に顔出すなんてね」

「い、いや、そんな話じゃなく、病気の話を教えて下さいよ!」

「黙って聞いてなさいよ! 後でちゃんと話すから!」

「わ、分かりましたよ……」

「あの時程、開いた口が塞がらなかった事はなかったな~……目が覚めたらいきなりたくみちゃんがいるんだもん」

「俺だって驚きましたよ……リサさんに伊織さんが倒れて病院に運ばれたって聞いた時は。気が付いた時には……伊織さんの病室に潜り込んでましたよ」

「一瞬、私にとどめをさしに来たのかと思ったわよ! 死を覚悟したわよ!」

「す、すいません……そう思われてもしょうがないですよね、流れ的に……ただ、ホント居ても立っても居られなくて……心筋梗塞はトラウマになってますので──」

「ま、美幸に散々たくみちゃんのKYっぷりを聞いてたからすぐ冷静になれたけど、普通の人だったら──」

「俺もそこまでバカじゃないですよ。伊織さんだからに決まってるじゃないですか。伊織さんなら、普通に俺を受け入れてくれる確信がありましたので」

「あ……やっぱりあの時、既に全て気付いてたんだ……どうして分かったの?」

「美幸じゃないですけど、俺も感情が人より劣ってる分、見えるものもあるんですよ。それでも冷静に分析するのに時間かかっちゃいましたが……要するに共通の敵になろうとしていたのかって」

「…………」

「で、九重なり唯と一緒にさせようとしてるのかな~って。後は、人をもっと疑ってかかるべきという教訓とか、これに懲りて望み通りひっそり平和に暮らしていけというメッセージとか……よくよく考えたら、これって俺が思い描いていた夢でしたからね」

「…………」

「ま……他は深読みなので省きますが、こんな意図だったんだろうな~って分かって……思わずいたずら精神が沸々と……」

「……え?」

「もし何食わぬ顔して俺が現れたら、さぞかしバツが悪いだろうな~、どんな表情見せてくれるのかな~ってw」

「な、何考えてたのよ! あの時、たくみちゃんも大変だったでしょ! そんな事をしてる場合じゃなかったでしょ!」

「いや~、あの時は八方ふさがりとはこういう事を言うんだって身を持って体験しましたよ。メルマガはどこぞかに潰されて発行停止処分になりましたし、何故か懲戒解雇扱いになっててまともに就職できない仕打ち受けましたし。ホント、俺を社会的に殺しにかかってましたよねw」

「全然笑い話じゃないから! ホンモノのジゴロ一直線だったじゃない!」

「あ、それは全く考えてませんでしたよ。……そんなお金、仕送りできる筈ないじゃないですか」

「……そんな状況でも仕送りしてたんだ……どうやってお金用意してたのよ……」

「え? そんなの決まってるじゃないですか。消費者金融にクレジットカードの現金化とか、手立てはいくらでもありますからね、今の時代」

「バ、バカじゃない? もしも今みたいになってなかったらどうするつもりだったのよ!」

「え? 何言ってるんですか? 自分はその程度の器に過ぎなかったってこの世を去る予定だったに決まってるじゃないですか」

「せめて自己破産という発想にしなさいよ! どれだけ命を粗末に扱ってるのよ!」

「いや~これくらい追い込んでやらなきゃ、俺ごときが成果を出せる筈ないじゃないですか。ま、話を戻しますと、色々な仕打ちはかえって優柔不断な俺にとってラッキーでしたよ。金銭面とか含めて色んな意味でネット上でのFPで成功するしか術がなくなりましたから」

「…………」

「ただ、ここまで追い詰めてやれたのは……伊織さんのおかげですよ」

「……え?」

「少し話を戻しますと、何とか言って俺のせいで伊織さんに色々あったのは紛れもない事実なので、ま……お詫びの意味も兼ねて残りの時間は伊織さんの望むままに使おうって決めてましたので」

「ま、まさか……それだけの為に、あの話を真に受けたの?」

「ま……元々伊織さんに直に言われたらそうしようって決めてましたし、話自体は俺が構想していた内容のパワーアップバージョンみたいなものでしたし。それに、業界をぶっ潰して一新する……途方もない話でしたが、よくよく考えたら美幸も似た様な事、構想していた事に気付きまして……それを実践すればもしかしたらいけるかな~って閃きもありましたし」

「美幸の構想? 何それ……私、知らないんだけど」

「伊織さんも絶対知ってますって。カリスマFPになって~、メディアから声がかかって~、ハリウッド女優になって~、総理大臣になるって話ですよ」

「──?! あの嘯きの話が何の……ま、まさか──」

「流石、伊織さん。ピンときました? まずは……FPかどうかは分からんですが、どんな形でもいいから有名になれば、確実に誰かしらのメディアの人の目にとまるかな~って。ここまでは昔話してた内容なので分かりますよね? ま、メルマガであれだけいけた訳ですから、HP作れば確実かなって動いて、現に半年ちょいでどうにかなりました」

「……この時点で全然確実でも何でもない奇跡に近いんだけどね……」

「で、ハリウッド女優を紐解いていくと……海外……海外の保険という事かって気付いて色々調べてたら、日本の保険料が異様に高いという事が発覚して、どうにかならないかな~と思ってたら、たまたま香港在住のIFAの方から声がかかったんですよ、一緒に仕事しないかって。……ここまでは伊織さんも想像できますよね?」

「出来る筈ないでしょ! ハリウッド女優から海外生保という連想は誰もしないから! そもそも何であんな内容のHPでそんな大層な人から連絡来るのよ……」

「要約すると、ここまで日本の保険業界に対して辛辣に書いているHPは他にはない。ここに集まる人は、きっと金融リテラシーの高い人達になる筈だから~って言ってました」

「そ、そんな不思議な解釈する人もいたんだ……世の中、本当に広いね……」

「俺もその発想はなかったのですが、実際にアクチュアリーの人とか宇宙開発の人とか保険商品開発の人とか研究員の人とか囲碁名人とか……不思議な人たちがそこそこ集まってきました」

「そ、そう……そう言われると、あのHPが何か高尚な内容に思えてくるわね……」

「で、最初は海外料率の保険を扱ういち代理店でいいかな~と思ってたんですが、それじゃ保険業界をぶっ潰すレベルにならないな~、と。何かいい手はないかな~って思ってたら、郵政関連の雑誌から連載依頼が来たんです。その時、全てが繋がったんです」

「…………」

「総理大臣になる、今の総理大臣、自民党をぶっ壊す、郵政民営化、改革──郵政の連載、海外料率の保険、保険業界をぶっ潰す、改革……キレイに繋がるな~って。美幸の言ってた総理大臣の意味はこういう事だったんだって」

「…………」

「きっと、美幸はこういう未来の構想をしていた──」

「絶対構想してなかったから! 美幸、きっと天国で唖然としてるから! あの話からそんな構想思いつくのはたくみちゃんくらいしかいないから! しかも実現しようとしているし! たくみちゃんは……今や世界一の変態って言って過言じゃないわよ!」

「多分ですけど……それって伊織さんの最大限の称賛ですよね。……やった。この言葉を聞けただけで、頑張った甲斐があったというもんですよ」

「喜んでもらえて私も嬉しいけど……九重ちゃんはどうしたのよ……?」

「……え?」

「途中まではいたんでしょ?」

「い、いや……あれっきり──」

「あの九重ちゃんがあれで終わる筈ないのは誰でも分かるから。ただ、九重ちゃんと一緒だったらここまでやれてないってのも分かるから」

「……流石ですね……」

「いつから1人でやってたのよ……?」

「……去年からですよ。私がいたら足手まといになるからって……九重の旦那の転勤もありましたし」

「あ……九重ちゃんの事を思って、某金融雑誌のお抱えFPからのメディア進出の話や営業講演の全国巡りの話、断ったんだ……」

「下手に有名になったらフライデーされるかな~って思ってましたので……」

「……フライデーはともかく、敵は異様に多そうだったからね、たくみちゃん……」

「ま、それだけじゃなく、さっき言った様にそれじゃ業界をぶっ壊して一新はできないな~っていう理由も大きいですけど、アイツ、変に負い目感じちゃって……」

「……引き止めなかったのは、今の構想があったから……?」

「冗談抜きにリスキー極まりない事になるでしょうし……俺のせいでアイツの人生台無しにするのだけはどうしても避けたかったですから……」

「…………」

「後……あそこから数段レベルアップする為に症状を進行させて化物になる必要ありましたから」

「…………」

「不思議な程、今のところ身体も頭も異常はないですが……きっとかなり時限爆弾のタイマー進んでるんでしょうね。ま、後2年持てば十分ですけどね」

「…………」

「って、何故か俺の話になってますね、すいません。そろそろ病気の話を──」

「────♡」

「ちょ!/// 話の途中でいきなりキスするの、やめて下さいよ。これで何回目ですか……こんな事され続けたら、俺、とんでもない勘違いしちゃいますよ……」

「ま~だそんな事言ってるの? 冗談でここまでする筈ないでしょ?」

「ま、またまた~。これ、ドッキリですよね? シャレでここまでやれちゃう伊織さん、相変わらずですね。……ドッキリって分かってても、思わずまたひかかっちゃいそうですよ……」

「流石、たくみちゃん。ここまでされてもドッキリで押し通そうとするなんて……美幸もさぞかし大変だっただろうな……」

「伊織さんこそ……この期に及んでまだ俺を引っかけようなんて……その執念は素直に尊敬しますよ」

「このままでは埒あかないから……たくみちゃん、久しぶりに勝負しよっか。それで白黒つけるわよ! 敗者は勝者に絶対服従、それでいいわね?」

「い、いきなりですね……ま、別にいいですけど……勝負の内容は何にします?」

「たくみちゃんのそのポーカーフェイスを崩すっていうのはどう?」

「フッ……何を言い出すかと思いきや……絶対無理ですよ。アレキシサイミアを十二分に活用した俺の鉄仮面は絶対外れませんから……」

「い~や、絶対私がその仮面を剥がしてみせるわ! 30分……いや、15分もあれば十分よ!」

「ま、いつでもどうぞ。30分と言わず、1時間でも──」

「私の本気……見せてあげる♪ ────♡」

「/// い、意味分かりません。ちょ、ちょっと────」

──30分後

「──フッ……口ほどにもない……これで分かったでしょ? この勝負、私の勝ちよ!」

「ず、ずるいですよ、そんな手でくるなんて……」

「あらゆる手を想定するのは勝負の基本でしょ? それを怠ったたくみちゃんのミスよ」

「い、いや……ま、まだ勝負はついて──」

「www そんな顔してよく言えるわね。随分と息も荒いし、耳まで真っ赤になっちゃって、顔も弛緩しまくりじゃない」

「あ、当たり前じゃないですか……あんな事されたら、誰でもそうなりますって……!」

「あ~ら、さっき自分で言った事、もう忘れちゃったの? アレキシサイミアを十二分に活用した鉄仮面は絶対外せないんじゃなかったの?」

「クッ……痛いところを……そ、それにしても、こんな勝負の為だけに、あんな情熱的な接吻をするなんて……どれだけ負けず嫌いなんですか! 俺じゃなかったら絶対勘違いしちゃいますよ!」

「この期に及んでまだそんな事、言ってるの? 誰にでもこんな事する訳ないじゃない。たくみちゃんだからこういう事したに決まってるでしょ!」

「い、意味分かりません……だ、だって……今がチャンスですよ? 俺、正直かなり無理してきましたから、もうかなり心身ともガタきてると思いますよ? 今、伊織さんにキツイ仕打ち受けたら、俺……今度こそきっと壊れますよ? 俺……今日はそのつもりで──」

「────♡」

「/// よ、ようやく意味分かりました……鈍感ですいません……」

「……やっと理解した? ホント、昔からたくみちゃんは手間かかるんだから……」

「死の口づけ……ってヤツですね。すいません、中々気付けなくて何度もさせるハメに──」

「違うわよ!」

(続く)

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挿話

ま……何だこれ? と思う人が殆どでしょう笑

訳の分からない勝負はおいといて……過去話に関しては大体リアルです。(詳細は別物語で書く予定)

退職後5ヶ月後くらいだったかな? 心筋梗塞で倒れた畑口の元に行ったよ~、という話です。このエピローグでは異様にライトに書いていますが、当時は中々に悲惨な状況になっていました、自分。

  • メルマガ突然の発行停止処分
  • 日生の数カ月に及ぶ長い引き止めの後、何故か懲戒解雇扱いに
  • 当然ながら、まともな会社へ再就職できる筈もなく
  • 預貯金は底をつき、借金生活に

etc…

ホント、北さんのマンション無償提供等がなければ確実に野垂れ死んでいたでしょうね。。。

ちなみに、貯金が底をついた時、生活苦で本気で焦って就職活動をしました。どれくらい面接いったかな~、20社はいったかな~。ことごとく落ちました。流石に「いやいや、いくら何でもおかしくないか?」と思い始め、とある会社でかなり意気投合して「こりゃ受かったな」と思った先に落とされた際、理由を問い詰めたら、実は前職のところに連絡をしたら~という事が発覚、、と。

「完全自営でネット上でFP(?)をやっていくしか生きていく術がなかった」

これが真実ですね。えぇ、普通に再就職していたら、きっと今頃は金融業界からきれいさっぱり足を洗ってFPになっていなかったでしょう。

……そういう意味では、感謝なんでしょうね。

で、軽く半年ちょいでどうにかなったと書いていますが、とんでもない。今でいうSEO対策をいち早く学んで、気合の宣伝活動・広報活動、そしてコンテンツ作成と、24時間働けますか状態で殆どプライベートを犠牲にして仕事しまくっていました。(しかも、これをやったからといって成功する見通しも手ごたえも全くないまま、限りなく無収入で・・・)

恐らく半年ちょいという短期間であれだけ大成したのは類を見ないレベルかもですが、逆にあそこで大成していなければ(見通しが立たなければ)持たなかったでしょう。えぇ、ギリギリでした、色んな意味で。中々に妨害も酷かったですし。

 

ちなみに、有名になって~、メディアの風に乗って~、IFAの人から声かかって~と書いていますが、順序は「IFAの人から声かかって」が最初だったりします。メルマガ発行停止処分後、まだHPすら発足していない時、全くの無名の時に。

「その視点は非常に素晴らしい。将来大成する筈だ、それを見越して声をかけた」

ここでは省いていますが、このIFAの方の「お世辞でも」そう言って貰えた事が、折れそうなモチベーションを何とか持ちこたえさせてくれた~という事も。かつ、全く将来見込みがたたない時から、2年間ほぼ毎日、ゼロから金融知識(海外の)を叩き込んでくれたという・・・

この巡り合わせだけは、本当に運が良かったと自覚しています。

で、HPは大成して潰すに潰せない程大きくなった、海外生保ネタも仕入れたし取り扱いすら可、さてどうする? という時、郵政の連載の話が来ましたね。ただ、最初は「何らかの講座をやってくれ」という依頼でしたが・・・シャレでたくみの営業暴露日記を送ったら、企画がモロ変わったという・・・エピローグでは「ここで繋がった」と言っていますが、これは嘯いているだけ。

「まさかシャレで連載した物語が人気になるなんぞ夢にも思わなかった、ましてや某総理が愛読していてファンになるなんて」

これが真相ですね。(ただ、郵政民営化の際に切り札的要素として海外料率の保険販売を~という話は、水面下で進めていたのは本当。ただ、保険業法絡みがキツク、実際には難しいかも、と言われていた)

 

ちなみに、「何故九重が出てくる? いなくなったんじゃないの?」という声も聞こえてきそうですが、HPが大成した時までは確かに隣にいました。ま・・・これの詳細(再登場から別れまで)は別物語ないしはエピローグ2という形で詳しく。

 

と、余談が長くなりましたが、エピローグもいよいよ佳境へ。後2話かな? 繰り返し書いていますが、最後は少々衝撃かもです。

もうしばらくお付き合い下さいませ。

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