たくみの営業暴露日記

たくみの営業暴露日記 エピローグ #7 夢物語

#7 夢物語たくみの営業暴露日記
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たくみの営業暴露日記 エピローグ #7 夢物語

(続き)

「えっと……じゃ、どういう意味ですか?」

「それくらい自分で考えなさいよ! こういう所は全く成長してないじゃない! ホントにもう……!」

「す、すいません……」

「そういえばたくみちゃん、例の面談はいつなの?」

「え? 来月の19日か20日の予定ですが」

「それ、私も一緒に連れてってよ」

「……え?」

「ブランディング戦略的にも私なら不足ないでしょ?」

「……え?」

「私はたくみちゃんのティーアップに徹するから。この話……絶対まとめるわよ!」

「……え?」

「この話がうまくいったら、一生左団扇で暮らせるじゃない。フフッ……万座か野沢に別荘を買って冬はスキー三昧の日々を送るのも悪くないわね。夏は避暑地……いや、いっその事、南半球のNZあたりに別荘を買って1年中スキーをして暮らしていくのもアリかな……?」

「え、えっと……何の話してるんですか?」

「ん? たんまり印税が入って来た後の余生の過ごし方の話に決まってるじゃない。何言ってるの?」

「い、いや……何かまるで伊織さんが別荘買うみたいな話に聞こえるんですが……」

「ん? 当たり前でしょ? だって、私にも半分はその権利があるからね」

「……え?」

「元のアイデアは私でしょ! 原作者と作画担当者みたいなものだから!」

「──?!」

「たくみちゃんがやってきた営業手法をまとめたら売れるって言ったの、覚えてない?」

「た、確かに……昔聞いた記憶が……」

「でしょ! なら私が原作者みたいなものじゃない」

「……何か強引な気がしないでもないですが、一応理にかなってますね……分かりましたよ、お金の管理は伊織さんに全部丸投げしますよ。伊織さんの好きな様に遣って下さい」

「ちょ! な、何真に受けてるのよ……冗談に決まって──」

「その代わり、あの時の約束守って下さいよ~。俺を治してくれるんでしたよね?」

「……え?」

「俺、かなり無理しちゃったから、そこそこ症状進行しちゃったと思うんですよ。これから治すとなると、数年……いや、10年単位で時間かかるかもしれないな~」

「……え?」

「あ、それだけ長い間一緒にいるんだったら、いっその事結婚しましょうよ。いいですよね?」

「…………///」

「www 冗談ですよ。いくらKYな俺でも──」

「私は元々そのつもりだけど?」

「……え?」

「一生かけてたくみちゃんを治してあげるわよ……笑顔にしてあげるわよ」

「な、何を……言って……?」

「まさかいきなりこんな話になるなんて思わなかったけど……嬉しかった♡ これからは人生のパートナーとしてよろしくね♡」

「き、気のせいですかね……何か俺が伊織さんにプロポーズして伊織さんが応じたみたいな話になってる様な……」

「ん? それで正解だけど?」

「──?!」

「今自分で言ってたじゃない。いっその事結婚しませんかって。それって誰が聞いてもそういう話になるじゃない」

「──?!」

「あ、結婚式は万座プリンスホテルで身内だけでパーッとやろうよ。例の面談後にでもさ。ダメもとで仲人あのお方に頼んでみる? 意外にやってくれたりしてw」

「──?!」

「さっきから何驚きまくってるのよ! まさか私と一緒になるのが嫌って言うんじゃないでしょうね!」

「い、いや……そんな事はないです──」

「ならいいじゃん。……ま、たくみちゃんに拒否権はないけどね。敗者は勝者に絶対服従だし」、

「……え? さっきの勝負ってこんな重要な事でも有効なんです?」

「当たり前でしょ! 今更何言ってるのよ! 勝負での決め事は絶対というのは世の掟だから!」

「……うぅぅ、俺の人生って一体……まさか今日伊織さんと婚約するなんて夢にも思わなかった──」

「──ってな感じで言い寄ってくる女も今後たくさん出てくると思うから、気を付けなさいよ、たくみちゃん」

「……え? 今の話、冗談だったんですか?」

「当たり前でしょ! ……私だってバカじゃないから、それが絶対無理な事くらい分かるわよ」

「…………」

「たくみちゃん、私の身体の事……もう知ってるんでしょ?」

「け、けど……人それぞれ進行速度が違って、場合によっては40歳過ぎまで──」

「後数年……って予測してたでしょ? だからここまで無理してくれたんでしょ?」

「…………」

「ホント、ありがとね。私とのあんな約束、真に受けて果たしてくれて。おかげで2年間……凄いワクワクした時間過ごせたから。おかげで美幸にたんまりお土産話持っていく事できるわ~」

「……まだこれからですよ……」

「……え?」

「これからもっとワクワクする未来、俺が見せますから。来年も再来年も、それ以後もずっと……」

「……え?」

「伊織さんがいる限り、俺は絶対壊れませんから。……スーパーマンでい続けますから」

「何……言ってる……の?」

「万座に野沢……後はNZの別荘でしたっけ? 買うんですよね? 優雅に暮らしていくんですよね? 俺が……伊織さんの夢、全て叶えますよ」

「…………」

「最期まで……俺を見てて下さいよ。寂しかったら、俺も一緒に逝きますから」

「…………」

「今度は冗談じゃないです。……短い期間かもしれないですけど、俺と一緒になって下さい!」

「……たくみちゃん、いくら何でもステップ飛ばし過ぎじゃない? 私達、まだ付き合ってもいないじゃない」

「い、いや……俺、美幸の時、付き合う前に気が付いたら婚約者になってましたよ?」

「それは特殊事例だから! そもそもプロポーズするんだったらこんな場所じゃなくもっとロマンティックな場所でしなさいよ!」

「い、いや……俺、美幸にプロポーズした場所、美幸の家の寝室でしたよ? ちなみに美子ちゃんや幸子ちゃんに盗み聞きされてましたw」

「……よくそんなんで美幸もOKしたわね……今更だけどちょっと同情するわ……」

「で、いつ籍入れましょう? 別に明日でも俺は全然構わないですよ?」

「何勝手に話を進めてるのよ! せめて最低限のステップは踏みなさいよ!」

「wwwwww」

「wwwwww」

……────

──ドラマの配役、俺の役はキムタクがやってくれないですかね。

──www たくみちゃん、そんなイケメンじゃないじゃない。マッキーで十分でしょ。

──い、いや……ちょっとくらい盛ってもいいじゃないですか。じゃないとヒットしませんって……

──たくみちゃんが凄いのは、そのルックスであれだけの実績を残した事だから。イケメンがやったらたくみちゃんの真実の半分も伝わらないから。

──た、多分褒められていると思うんですが、何か心が痛いです……

──wwwwww

……────

──万座か野沢だったら、野沢のが良くありません? 一応コンビニとか最低限の店はありますし。万座だとホント何もなくて不便じゃないです?

──やるからには退路を断たなきゃダメでしょ! そんなんじゃスキー上達しないわよ!

──い、いや……人並みで別に構わないんですが……

──何言ってるのよ。人並み程度でK2山頂からのスキー滑走が達成できると思ってるの?

──な、何を……俺の記憶が正しければ、その山は世界一リスキーな山だった様な……

──それが達成された暁には……プロポーズ受けてあげるから♡

──一生結婚できないじゃん、俺……

──wwwwww

……────

──海外の別荘だけど、NZのクイーンズタウンがいいわね。

──えっと、何でです?

──海外といったらヘリスキーだからね。山頂から一気に滑走という醍醐味は一度体験したら病みつきよ……!

──え、えっと……仮に今の俺のスキーの腕でそれやったらどうなります?

──……運よく生き残れたら格段に上達するから! そしたらK2に挑戦よ……!

──やっぱり俺の事、殺す気満々でしょ!

──wwwwww

……────

──世界中となると難しいかもしれないけど、国内のスキー場は全て制覇したいわね。

──おぉ……全国制覇、何かカッコいいですね。それくらいなら付き合いますよ、俺。

──ホントに? 後悔しない?

──別に構わないですよ。別に俺、スキー嫌いじゃないですし、何か全国制覇って憧れますし。素朴に、全国にどれくらいのスキー場があるんです?

──確か……500前後だったかな?

──ご、500……?

──全国制覇できた暁には……プロポーズ受けてあげるから♡

──何十年先の話ですか! やっぱり俺と結婚する気ないでしょ!

──wwwwww

……────

──素朴に伊織さんて飯作れます?

──自慢じゃないけど、生まれてこの方、自炊なんてした事ないわ!

──い、いや……威張って言う事じゃないですって……

──ちなみに家事全般全て、たくみちゃんに任せる予定よ……!

──い、いや……俺の面倒みてくれるって話は?

──私は夜のお勤めに全力を注ぐから♡ 毎晩相手してあげるから、期待してて♡

──……それっぽい事言ってますが、多分それ、お酒とかゲームに付き合うとかそういうオチですよね……

──wwwwww

……────

──私ね……実は9歳の子供がいるのよね。……訳あって今は一緒に住んでないけどね。

──い、いきなりぶっこんできますね……

──今は別々に暮らしてるけど、いつか一緒に……それが私の夢……なんだよね。だから──

──ん? 俺は大歓迎ですよ?

──な、何言ってるの……? 何で大歓迎なのよ……?

──いや~、ラッキーですよ。だって、後5年もすれば中学生ですよね? 俺、伊織さんの若い頃見てみたかったですから、実現不可能と思われた夢が叶い──

──ふざけるんじゃないわよ! ユキに手を出したら、たくみちゃんを地の果てまで追ってでも嬲り殺すからね!

──じょ、冗談ですよ……ただ、俺なんかが子育てできるかな……それ以前に嫌われないかな……ちょっと不安だな……

──フフッ……私とたくみちゃんが2人がかりで英才教育をしていったら、将来どんな子になるのかしら……三代目みのりちゃんはきっと歴史に名を残す──

──まともに普通の子に育てましょうよ!

──wwwwww

……────

──あ……俺からもいいです? あり得ない事だと分かってるんですが、もし良かったら──やっぱいいや。あまりにも非現実的ですし。

──www 私は別に構わないわよ。元々一緒に住むつもりだったっていったでしょ? みんなで住んだ方が賑やかでいいじゃん。

──よ、よく俺の考えてる事、分かりましたね……って、絶対あり得ないですけどね。俺、あの子達に恨まれてますし。

──きっと大丈夫よ。恨みや怒りの感情は長続きしないから。今頃、たくみちゃんが来るのを待ち望んでるくらいよ。

──www けどいいんですか? 同じ屋根の下で住んでたら、過ち起きちゃうかもしれませんよ?

──私は構わないわよ。そっちのがむしろ好都合なくらいよ。ユキに手を出されるくらいなら、ね。

──俺、いくら何でも小学生に手は出さないですって……

──wwwwww

……────

──一緒に暮らす事になったら……ピアノを習わせて……バイオリンや乗馬も習わせて……本物のお嬢様にしたいわ……

──あれ? 意外にまともな事言いますね。てっきり三代目みのりちゃんを海外進出でもさせる気でいるかと思ってましたよ。

──実の子供にそんな事させる筈ないでしょ! ま、留学の一つや二つくらいはさせたいけどね。

──ま……俺がどうにかしますよ。

──それでね、♪────

 まだ寒さが身に沁みる2月某日、松木に囲まれ社会から隔離されているかの様な白い建物の中の一室で、加藤と畑口はありったけの夢を語っていた。何一つ叶う事はないと分かっているにも関わらず……延々と、延々と……延々と。

補足?

筆が遅くてすいません。

一度はある程度書いたのですが、ちょっと書き直ししてました。

ぶっちゃけ、ここでエンドにしてぼやかすのも手なのかな~と思ったり。

かなり比喩的に書いていますが、取りあえず少し解説を。

まずエピローグの場面は「とある病棟の一室」です。いわゆる緩和ケア云々という所ですね。畑口、いわゆる難病(不治の病)でしたから。

皆さんは緩和ケア病棟に行った事あるでしょうか? ま、自分も1か所のみなのでそう偉そうな事言えないですが・・・かなり独特の雰囲気の場所だったりします。ここだけだったかもですが、まるで隔離するかのように木々で覆われ、何とも静かで、何か非現実的で・・・

通常の病院と違い、かなり自由が利き、普通にお泊りしたり外泊すら・・・一時期は限りなくここを拠点に仕事していたりしましたかね、ネット回線までひいて。(一時期は限りなく住人になっていたとも)

と、この話は次回(最終話)で書く内容でした。

畑口との最終的な関係は何だったのか・・・正直自分でもよく分かりません。籍を入れた訳でもないですし、それどころか付き合っていたかも不明・・・ただ、それなりに深い関係だったのは確かでしょう。

と、この回でお気づきの通り、畑口は・・・

次回、ようやく最終回。

多分、本編より補足のが長くなると思います。

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