第21話:主義
「そう言えばさぁ、ブランドの服とかバッグとか時計とか自分で買ってるじゃん。なんで?」
「え? どういう意味ですか?」
「あ、いや、素朴にみのりちゃんレベルの風貌してたら、色々買ってくれる人いるんじゃない? と思って」
「あぁ~、そういう意味ですか。いえ、買って貰うとその人と関係が崩れた後、その買って貰ったものを見る度に腹立たしい思い出が蘇えるのイヤですから」
「あぁ、なるほどね」
「だから、私は形あるものは男の人から貰いません」
「ほぉ……なんか歌詞に出てきそうな台詞、カッコいいねぇ」
「男の人は私にお金だけくれればいーんです! 男の人がお金持っていてもどうせロクな事にしか遣わないんだから、私が貰ってせめて有意義に遣って社会貢献した方が世の中の為になるんです!」
「……途中まではなんかカッコ良かったのに──」
「あ、この靴可愛いー♫ 予約入れちゃおうっと。……もしもーし♪──」
「?!?!」
──こうして常に財布にお金が残らないみのりちゃんでした。
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