第12話:奔走するみのりちゃん
「──じゃ、この人、駅前のATM前待ち合わせだって。行ってきて」
「うぅ、メンドくさいけど……行ってきまーす」
──5分後──
「……ただいま。いませんでした」
「あれ? なんでだろ? ん? メール来てる──急用で帰ります? なんじゃそりゃ」
「……死んでくれないですかね、この人」
「次は……隣のコンビニ前だって」
「うぅ、今度はいますよね……行ってきまーす」
──3分後、電話にて──
「もしも〜し、なんかいないみたいですけどー」
「──なんか車おけなくて、そこ曲った道沿いに停めてるみたい。黒いバンだって」
「……りょーかーい。向かいまーす」
──5分後、電話にて──
「もしも~し、見当たらないんですがー」
「んー、冷やかしか。その足で申し訳ないけど駅前のATM前いって。こないだ来た人だから、今度は確実」
「……りょーかーい。終わったら電話しまーす」
──30分後、電話にて──
「もしもーし、終わりましたー」
「お疲れ。次の人、丁度来てる。隣の駐車場3階、黄色のBMW」
「それってどんな車です? 車詳しくなくて分かりませーん」
「ん~と、後ろにBMWってロゴあるから探してみて。黄色の車、そうないから分かると思うよ」
「りょーかーい。終わったらまた電話しまーす」
──30分後、電話にて──
「(ハァハァ)……今終わりましたー」
「お疲れさん。最後、隣のコンビニ前待ち合わせ、黒のニットのメガネ、180cmくらいだって。それ終わったら帰って来て」
「うぅ、りょーかーい。行ってきまーす」
──30分後──
「(ハァハァ)ただいまー」
「お疲れー。……流石にバテてるね」
「ホント、肉体労働ですよー。恐らく今3キロは痩せましたよ!」
「おぉ、いいダイエットになったじゃん」
「いーえ、これから消費したカロリー以上に食べるから意味ないです!」
「……これからはやっぱりなるべくネカフェ内にしようか」
「はい、そうして下さい。なるべく太陽の日浴びたくないですし!」
「……ご、ごめんなさい。そうします……」
「ただ、次の人、ラッキーかも。汗かいてパンツムレムレになってますし、ホラ♡」(スカートを捲ってパンツを見せる図)
「ちょ──バ、バカ!///」
「あれ? も・し・か・し・て、欲しいんです? いいですよ、と・く・べ・つ・に──7,000円で♡」
「……特別も何も、全然値下げしてないじゃん」
「wwwwww」
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