たくみの営業暴露日記

たくみの営業暴露日記~最後の210日~第4話:何やってるんだか……

たくみの営業暴露日記
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たくみの営業暴露日記~最後の210日~第4話:何やってるんだか……

締め切り迫る9月下旬のとある日、小橋に呼び出された。てっきり週3で日中から畑口とロクに仕事もせずにカラオケ屋に入り浸っている事を注意されると思いきや──

「加藤君……やるわね。わずか3週間であの畑口に職域以外でまともな契約を取らすなんて……今回ばかりは度肝を抜かれたわ……」

「い、いえ……俺が一番驚いていますよ……」

「週3というペースで真昼間から堂々とカラオケ店に入り浸って酒を飲む、一見会社に喧嘩を売ってるとしか思えない行為が単なるサボりではなく実はなじみ活動の一環だったなんて……」

「あ……やっぱりバレてたんですか。す、すいません。た、ただ、こんなに早く結果が出るとは思いませんでしたが、一応俺の喫茶店ローテーション営業の手法を実践という事で同行というか何というか……決してサボりではありませんが、ちょっと度を越してました」

「何言ってるの? この仕事は結果が全てだから。加藤君が裏で手を引いた事は分かってるけど、それでも畑口に契約を取らせた事に変わりないから」

「い、いえ……俺は軽く手法の話をしただけで、実践したのは彼女です。正直、いつの間にか動いてたという感じで……契約の話を聞いて一番驚いたのは俺ですから」

「……あくまでも知らぬ存ぜぬで白を切る気ね? 手柄の100%は部下に、上司は縁の下の力持ちであり、滅私奉公に徹するのみ……それがトレーナーの仕事だと……私に手本を示してるのね」

「い、いや……そんな滅相もない。ホント、俺はただ単に遊んでいただけで、何もしてませんから。むしろ色々教わっているくらいですよ」

「……仕事は本来楽しいモノ、遊びみたいなもの。超一流になればどんな事柄でも楽しみを見出して遊んでいる様に仕事をするとは言うけれど……加藤君も既にその域に達していたのね……ホント、末恐ろしい子……」

「…………」

「それにしても、営業ができなくなったからトレーナーの道を、と思ったけど……まさか加藤君の営業力が復活するなんて……嬉しい誤算この上ないわ……もし今、営業に専念したら……いや、二足の草鞋の今のスタイルだから復活した訳か……それを私は……最初から無意識で分かっていた……? そういう事なのね……私のあまりの有能ぶりに私が怖いわ……!」

「(この異様なまでのポジティブシンキング……きっと小橋さん、人生楽しいだろうな……)」

「取りあえず、加藤君にも好影響がある事が分かったから、畑口はもうしばらく預けるわ。この調子でお願いね」

「え、えっと……まさかのお咎めなしですか?」

「ノープロブレムよ。ただ、お酒の匂いを漂わせながら帰社したら流石に不味いから、今後はお酒飲んだ時は直帰しなさい」

「え、えっと……そんな勝手して、いいんですか?」

「私が許可するわ。大丈夫、上手く言っておくから♪」

「あ、ありがとうございます」

……何故か評価されてしまっていた。

天才

──例のカラオケ屋

「それにしても、まさか俺の喫茶店ローテーション営業の話を軽く聞いただけでカラオケ店で実践しちゃうなんて……ホント驚きましたよ」

「たくみちゃんの指導のおかげだから♡」

「殆ど指導した記憶ないですけどね……ただ、3週間程一緒に行動して分かったんですが、伊織さん……滅茶苦茶営業センスあると思います。多分、いずれは小橋さん以上の生保レディに──」

「ありがと。そう言ってくれるのはたくみちゃんだけだから♡」

「ホント、もし伊織さんがまともに週5で働いたら──」

「絶対嫌! 私の本業はカラオケとお酒を飲む事だから!」

「……何て勿体ない……」

「それに、私にはたくみちゃんを英才教育するという使命があるからね」

「……俺の変態レベルを上げる、でしたっけ……無駄に知識はついちゃいましたけど、やっぱり俺、ノーマルですって」

「……九重ちゃんにJKの制服着せてるくせに良くそんな事言えるわね」

「──?! 見、見たんですか? あ、あれは──」

「ぅわ~、ホントにそんな事してるんだ……やっぱりド変態じゃん!」

「……相変わらずカマかけ、上手いですね……ただ、変態プレイはしてないですよ。ちょっと高校に忍び込んで貰っただけですから」

「……まさか私の想像を超えるなんて……ただでさえ恥ずかしい高校生の制服を着せるだけに留まらず、高校に行かせるなんて……なんて高度な恥辱プレイなのかしら……流石、キラーキング」

「そ、そんなんじゃないですって……」

「私も……平成のキャッツアイの名にかけて……負けてられないわ! 今日は……化粧してランジェリーショップ行くわよ!」

「じょ、冗談やめて下さいよ……化粧してそんな所にいってるの、もし誰かに見られたら、俺、人生終わるじゃないですか……そんな事より、プロファイリング教えて下さいよ」

「何言ってるの? これも立派なプロファイリングの勉強だから。前に言ったでしょ? 役に立たない知識はないって。どんな下着があるのか、直に見て直に触った方が覚えるでしょ? それに変態レベルも上がって、ついでに九重ちゃんへのプレゼントも買えて、一石三鳥じゃない」

「……どうせごねてもやらされるんですよね。えぇ、分かりましたよ、やってやろうじゃないですか。こうなったらとことん変態道突き進みますよ!」

「その潔さや、良し! じゃ、さっそく用意するわよ!」

──い、伊織さん……ここ、男子禁制じゃないですか? 何か周りの視線が痛いんですが……

──www その視線、いずれ病みつきになるから。ほら、たくみちゃん、これなんて九重ちゃんにどう?

──え、えーっと……下着だけみてもイメージ沸かないですよ。何ですか、このガーターベルトって。

──じゃ、試着室で見せてあげるから。────どう?

──普段からこんな下着つけてる伊織さんはド変態という事は分かりました。

──違うわよ! いつもはこんな格好してないから! 今日たくみちゃんに見せる為だけにこの下着してきただけだから!

──い、意味分かりません。それじゃ、まるで今日ここに来るのが偶然じゃなくて必然だったって事になるじゃないですか……

──フフッ想像にお任せするわ……一つだけいえるのは、たくみちゃんは変態エリートとしてのステップを順調に踏んでいるという事だけ。

……こんなくだらない事を繰り返しながら、2人の距離は縮まっていった。

それにしても……いくら畑口がこの章の重要人物とはいえ、ある程度掘り下げて書く必要があるとはいえ、一体何を書いているんだ、俺は……と頭を抱える作者であった。

「たくみ君、まだ寝ないの? もう3時だよ……何やってるの? まさかの受験勉強?」

「あ、いや……俺が大学行く訳じゃないけどね。ある程度は把握しておかないと、正確なアドバイスできないからね、美子ちゃんや幸子ちゃんに」

「……ホント、無駄な努力するね……そもそも、その子達が大学進学希望かも分からないじゃん……」

「いや……2人共、大学に行きたいって事だけは確実だから。せめてその希望だけは絶対叶えてあげないと……俺にできる事はこれくらいしかないから……」

「……報われるといいね」

「www 期待してないよ。俺、単なるキモいファンの1人に過ぎないし。俺は遠くからあの子達が幸せになるのをみてるだけで十分だから」

「……分かってくれる時、きっと来るから」

「www 絶対ないから。俺もバカじゃないからそれくらい……だから、俺があの子達の前に現れる事は絶対ないよ。……こんなキモオヤジが熱烈なファンだって知ったら、きっと凄いショック受けるから。死神~とか疫病神~とか……ね」

「例えそうだったとしても……私だけは……たくみ君がしてる事、そしてこれからを……ちゃんと見ててあげるからね」

「……ありがと」

挿話?

思わず本文中にすら……ホント、何を書いているんだ、俺は……と。

ちょっと補足を。

畑口の営業センス……一言でいうとずば抜けてました。後にも先にも自分の喫茶店ローテーション営業をマネて結果を出したのは彼女くらいなものですから。結果的に小橋のつけた契約の早期解約での控除の為にやめていく事になりますが、仮に最初から「まとも」に自分がみてたら、全く違う未来になっていた──いや、異様なサボり癖があるので、そうとも限らないか。。。

畑口との関係は……このエピソードが全てといって過言じゃないでしょう。まぁ……訳分からん所によく連れられていきましたよ。このランジェリーショップをはじめ、おかまバーやらホストやらetc…

未だにこの経験が「役に立ったよ」という事は一切ないですが、まぁ……いい刺激になったのは確かです。

仲は……かなり良かった方でしょう。ただ、その仲の良さは恋人のソレではなく、友達……いや、姉弟というのが一番しっくりくるでしょうか。最後までこの関係は大きく崩れる事はありませんでしたが、ちょっとしたきっかけで大きく関係が変わっていた可能性は否定しません。

 

さて……意味不明な畑口とのやり取りですが……次々回あたりから話は少々急展開していきます。畑口の最後はどう描こうかと悩みましたが……今まで通りでいく予定です、はい。

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