#5 約束
「ん? コナン君?? また読んでるの?」
「はい、今私が読み続けている唯一の漫画ですから」
「……謎の薬飲まされて小学生になって、頭脳はそのままで、身体だけ小学生低学年に~とか時が止まって10年、20年も子供のままでいーなーって言ってたけど……やっぱみのりちゃんの身体の事も関係して?」
「……はい。 まだ病気が発覚していない健康な時に戻って、そのまま身体が成長しないで何一つ不安のない日々が続く──羨ましいです。悪の組織に私も薬、飲まされたらな~って……」
「……まさか、と思うけど、裏社会でこういう仕事やり始めたのって、コナン君の悪の組織に出会う事を夢見て?」
「──?! ちょ、ば、ち、ち、違いますよ~。わ、私、そこまでバカじゃありません!」
「……まさかの正解と来たか……コナン君がきっかけで援交始めた子なんて、きっと日本広しといえどもみのりちゃんしかいないだろうな~」
「ちょ、何勝手に決めつけてるんですか! 何か私、凄いアホの子みたいじゃないですか!」
「いや……前に援交を始めたきっかけ、聞いたじゃない? 好奇心って言ってたけど、何かしっくり来なかったんだよね。何か隠してるな~って。ただ、今の話聞いて、かなりしっくり来たよ。なるほどな~、コナン君の悪の組織に憧れて、か~」
「もう! せっかくシリアスな流れでいい雰囲気になってカッコいい事、言ってみたかったのに! バカ───!」
「……大丈夫、ちゃんと残すから。俺の中では一生みのりちゃんは元気で可愛くて魅力的なままの今の姿で生き続けるし、みのりちゃんが現世にいた証拠、絶対に形にするから」
「……可愛く書いて下さい。誰がみても魅力的で私に憧れて、私みたいになりたいって思うような、私を好きになるような。それでいて、読んでいて楽しめるもの──ね」
「……分かった、約束する」
「で、印税! これは私に絶対下さい! ホントは8割くらい貰いたいけど、今と同じ折半でいいです。私、セレブになって豪遊したいんです!」
「……ほら、シリアスでいい雰囲気にならないじゃん……せっかく要望通りに話持っていったのに──」
「wwwwww」
「wwwwww」
──いつからこの子は自分の運命を知っていたのだろう。高校で入院した時? それともそれ以前から? コナン君の世界に憧れるこの子の時間は残酷にも人の数倍の速さで進んでいる。
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