Epilogue Risa #5 リサの異変……
※以下の続きみたいなものです。
──帰り際、車の前で
「……じゃ、美子ちゃん、幸子ちゃん、元気でね? 何かあったら、連絡頂戴ね。……飛んでくるから」
「お兄ちゃんも、何かあったら連絡ね。……私達で出来る事なら何でもしてあげるから」
「ありがとね。……じゃ、いくね」
「あ! これ……持って行って」
「これは……スケジュール帳に手紙に……携帯?」
「お兄ちゃんが……持っておくべきだから」
「……分かった」
「じゃ、お兄ちゃん……バイバイ!」
──夜遅くリサの待つ古民家へ帰宅
「……ただいま……」
「あ、お帰り。……どうだった? ぁ……目が真っ赤って事は……ご、ごめんね、辛い思いさせちゃって……今日は一晩中慰めてあげるから……ね」
「……────ッ」(泣きながらギュッっと抱きしめの図)
「……良く、頑張ったね。大丈夫……私が付いてるからね」
「……世界一の……お兄ちゃんって……言ってくれて────ッ」
「それは辛かった──え?」
「ずっと待ってたって……ありがとうって……言いたかったって────ッ」
「ぁ……そっか……やっぱり上手くいったんだ……良かった……ね」
「ありがと、の一言が……嬉しくて、嬉しくて────ッ」
「ホント……良かったね」
「────ッ」
「とにかく……今日はもう疲れたでしょ。お風呂入って……寝よっか」
「うん……」
「あれ? その紙袋は何? お土産?」
「ぁ……美幸の……形見……かな? 俺が持っていた方がいいって……ご、ごめん」
「別に謝らなくてもいいから。じゃ……大事に保管しておかなくちゃ、ね」
「け、けど……い、嫌じゃない? リサが嫌だったら、捨てる──」
「そんな事言う筈ないじゃない。たくみも罰当りな事、言わないの!」
「ご、ごめんなさい……」
「じゃ、お風呂入ろ」
「うん……」
──翌日(昼頃)
「あ、今日の買い出し、たくみに任せていい?」
「ん? リサは行かないの?」
「私は家の掃除をしたいから」
「分かった。じゃ……行ってくるよ。夕方までには帰ってこれると思う」
「は~い、いってらっしゃ~い」
──夕方
「ただいま~。……あれ? リサ……ど、どうしたの? そんな部屋の片隅で小さくなって座って」
「……────ッ」
「ど……どうしたの? いきなり泣き出して」
「たくみが……たくみが────ッ」
「ちょ! お、落ち着いて? 俺はここにいるから……ね? 心配かけてごめん。ちょっと遅くなっちゃったよね」
「うぅぅぅ……────ッ」
「リサ、落ち着いて、ね?」(ギュッ)
「もう一人に……しないでよ──ッ 置いていかないでよ──ッ あすかちゃんのところに……行かないでよ──ッ ぅわぁぁぁ────ッ」
「……え?」
「もう嫌だ、もう嫌だ、もう嫌だ、もう嫌だ、もう嫌だ、もう──」
「────///」(熱い接吻)
「…………」
「俺は……どこにもいかないから。もう1人で出かけないから。ずっと一緒にいるから」
「……バシン! バシン! バシン!────」
「……気が済むまで、殴っていいから……」
「バシン! バシン! バシン────」
「…………」
訳が……分からなかった。長年加藤を苦しめてきた呪縛も解け、これから平穏で幸せな日々が始まるものと思っていた。が……現実は……
──30分後
「……ごめんね。こんなに頬腫れちゃって……痛かった……よね」
「大丈夫……少しは落ち着いた? 気が晴れた?」
「こんな事……する筈じゃなかったのに……ごめんね……どうかしてた」
「いいよ……全て受け止めるから。俺は……リサのモノだから……リサになら、殺されてもいいから」
「……バカ───///」(覆いかぶさる様に熱い接吻)
「///────」
「────///」(ギューっときつく抱きしめられながら情熱的な接吻)
「//////」
壊れていたのは加藤だけではなかった。リサもまた……リハビリが必要なのは加藤ではなく、むしろ……
今思い返せば、何故いきなりリサが大きく乱れたのか……簡単に推測出来る。が、当時は全く「原因」を思いつけなかった。
この時、「原因」にいち早く気付く事が出来れば──全て知る事が出来れば……全く違う未来が訪れていたかもしれない。……今も隣にいたかもしれない。
リサの横にある、美子ちゃんから渡された「誰かの」形見の紙袋の存在に気付いていれば──その内容を知っていれば……
補足?
この回はちょっと???となる人も多いかもしれません。
リサについて少々補足を。
軽く触れていますが、リサは異様に感受性の強い人でした。表現も特殊で、頭にイメージが沸いて心が見えるとか、未来が見えるとか・・・霊感が強い人、、いや、何か違うな・・・とにかく、多分一般の人と見えている景色が大きく違っていたというのは事実でしょう。
線が細い人・・・ではなく、図太い部分は自分以上に図太かったですが、何かの感覚のズレで大きく体調も精神も不安定になる・・・ん~、分かりにくいですかね。(ま、線が細い人、と解釈してOK。物語的には大差ないので)
・・・という点を踏まえて読むと、少しは理解が進む・・・かな??
「妄想癖の持ち主(ただ、異様に的中率が高い。特に自分に対しては)」
一言でいうと、こんな人でした、リサは。
次回は……自分がとある性癖(?)になったきっかけの話?
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