第23話:We are meant to be…
──2月某日
■寝室
「美幸……ちょっと相談があるんだけど」
「ん? 何?」
「今度の美幸の誕生日会なんだけど……良かったら、外でやらない?」
「あ、別にいいけど……どこでやる?」
「……教会……なんて、どう……かな?」
「──え?」
「衣装はレンタルして……美子ちゃん達も着飾って……俺はタキシードで、美幸は……白い豪華なドレスで」
「──え?」
「で、美幸へのプレゼントは……えっと……指輪で……どう……かな?」
「えっと……それって……まさかと思うけど……プロポーズ?」
「せ、世間的には……そ、そういうの……かな?」
「……それを……この寝室で? ざ、斬新だね……」
「あ! ご、ごめん! こ、こういう話はもっとムードある場所でするものだよね。じゃ、じゃぁ、改めて明日──」
「www いいよ、もう聞いちゃったから」
「ご、ごめんなさい……」
「……いいよ」
「──え?」
「だから、いいよって。……教会で誕生日会兼結婚式。……って、教会って食事出るのかな~。もしくは持ち込みしていいのかな~。やっぱホテルとかで外食かな~」
「あ……ご、ごめん。全く調べてなかった……」
「もう~、ちゃんと調べておいてよ~。ホント、意外に詰めが甘いよね、たくみ君は」
「ご、ごめんなさい……」
「けど、いいの? 私は別に今のままでも満足だよ? 籍入れると、美子達の件もあって大変だよ?」
「www 今とそう変わらんじゃん」
「普通の新婚生活、送れないよ? 美子達と一緒に住む事になるんだよ?」
「www もう一緒に住んでるじゃん」
「ホントに後悔しない? たくみ君だったらもっと──」
「俺が一緒になりたいと思うのは、美幸だけだから」
「たくみ君……」
「……何?」
「一緒に……壊れようね♪」
「──?! い、嫌だよ。長生きしようよ……」
「www 来年も……一緒にいられるといいね♪」
「──?! え、縁起でもない事言わないでよ……俺、たった1年で殺さないでよ……」
「www 私が先かもしれないよ~」
「じょ、冗談でもそんな事言わないでよ……せめて幸子ちゃんが大学卒業するまで生きようよ……」
「後……7年か。31歳……せめて次の選挙で国会議員にならないと……」
「選挙資金どうするの! それに無所属で立候補はキツイって!」
「wwwwww」
「ったく……で、新婚旅行はどこか希望ある? 欧州あたりでもいく?」
「え? いいの? じゃぁ……あ……国内の近場で全然いいんだけど……で、出来たらでいいんだけど──」
「www いいよ、美子ちゃん達と一緒で。春休みにでも数泊しようか。新婚旅行兼家族旅行……これも斬新でアリじゃん」
「キャー、ありがと──♡」(思いっきり抱きつきの図)
「ちょ!/// 顔をそんな胸に押し付けれたら……スイッチ入っちゃうって///」
「いいよ……しよ♡ 新婚旅行の時までに新しい家族……作ろ♡」
「……────」
「♡────」
──ピロートーク
「……美幸が前に言ってた事、ホントだったね」
「ん? 何が?」
「俺……美幸の事が好きで好きでしょうがないって……なってるかも」
「でしょ? 言った通りでしょ? 結局、予定通りじゃん」
「確かに……最初に美幸が3月に結婚って言い出したの、去年の10月だったっけ? 当時、ホント唖然としたな〜。付き合ってもないのに、いきなり婚約者呼ばわりされて……訳分からんかったよ」
「けど、何とか言いながら普通に付き合って一緒に住んでたじゃん。……彼女と別れてまでして」
「──?! え、えっと……な、何で……一言も話した記憶ないんだけど?」
「それくらい分かるよ〜。あの花屋の子でしょ? 日高ちゃん……だったかな?」
「あ……い、いや……彼女って訳ではなかったんだけど……美幸と付き合う事になっちゃったから、日高ちゃんとこれ以上会う訳にはいかないかなって……それ以前に、な、何で名前まで……ま、まさか──」
「あ、誤解しないでね。私が覗き見してた訳じゃないから。あくまでも私の優秀な秘書がたまたま調査して私に報告してくれただけだから」
「……美子ちゃん、可哀相に……貴重な高校生活の放課後の時間をこんな事に取られちゃって……」
「大丈夫! あの子、友達少なくて放課後いっつも暇を持て余してるから。水を得た魚の様に嬉々爛々と毎日尾行してたよ」
「ま、毎日って……全く気付かなかった……」
「美子、ストーキングの天才だから。将来、歴史上に名を残す凄いストーカーになるよ、きっと」
「うぅぅ……美子ちゃんの将来が心配だよ……それにしても、あんな明るそうで活発そうな美子ちゃんにそんな一面があったなんて……」
「美子は典型的な内弁慶だから。それに、人なんてそんなものだよ。見えている部分なんてごく一部に過ぎないんだから」
「確かにそうかもね。……って、何の話だったっけ?」
「ん? 私がたくみ君に口説かれたって話でしょ? 誰が聞いたってそうなるよ」
「そ、そうだっけ? ま、まぁいいや。そういえば、結婚して出ていったお姉さんがいるんだったよね。……挨拶と結婚の報告いかなきゃ、だね」
「ん? もう報告済だから大丈夫だよ」
「──?! い、意味分かんないんだけど……結婚決めたの、さっきじゃん。……さ、参考までにいつ報告したの?」
「ん〜、一昨年の7月だったかな〜」
「──?! さらに意味分かんないんだけど……お、俺……そんな前から美幸と結婚する事になってたの?」
「当たり前でしょ? こうなる事、分かりきってたし」
「え……な、何で?」
「だって……私の運命の人だから♡ だから一緒に壊──」
「生きようよ!」
「wwwwww」
KY……彼女以上に当てはまる人物を他に知らない。付き合ってもいない段階でいきなり結婚話を言い出したり、いきなり同棲したり……細かく書けばキリがない程、ゾッとするエピソードで溢れている。
が……どんな時でも笑顔を絶やさず、前向きで、頑張り屋さんで、思いやりがあって、料理が上手で、そして滅茶苦茶キレイで……魅力が溢れていた。
気が付いたら、強く惹かれていた。一緒に生きていきたいと思っていた。そして……結婚を決めていた。
街外れの小さな古民家は幸せで包まれていた。
挿話
「あ~、はいはい、良かったね。どうぞお幸せに!」
そんな声が聞こえてきそうです笑
こまである意味壮大な(?)前振りは、全て外伝最終話の為。
心臓の弱い方、引っ張られやすい人、次回くらいまでで読むのをやめる事、オススメします。
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