保険業界から一番クレームを受けた男

保険業界から一番クレームを受けた男 序章:色恋何でも屋 #1

序章:色恋なんでも屋保険業界から一番クレームを受けた男
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色恋何でも屋 #1

──色々あって、何故か色恋なんでも屋という仕事を始める事になった2人。こんな怪しい商売が流行る筈ないと思っていたら意外にも……

 

■案件1:彼女と別れたい、浮気の証拠を挙げてくれ(手段は選ばず)──報酬:達成後100万

「ま、まさかホントに依頼が来るとは……」

「ね? 賭けは私の勝ちだね。昼ご飯はホテルのランチね♪」

「……こ、この賭けで負けるとは思わなかった……」

「さて、この案件だけど……たくみ君はどうするのがベストだと思ってる?」

「ん? 言われた通りに浮気の現場を抑えればいいだけでしょ? 何日か張り込みすればいいんじゃね?」

「ふっふっふ、甘~い、甘~い! 彼女が浮気してなかったら目的達成出来ないじゃない、それじゃ」

「ま、まぁ……徒労に終わるかもだね、もし彼女が浮気してなかったら」

「私の見立てでは、彼女はシロ……! 絶対浮気してないわ!」

「あ、あすか……なんか口調、おかしくなってない?」

「お黙り! アキラ。ちゃんと最後まで話を聞きなさい!」

「……俺、アキラって改名されてるし……」

「クライアントの言った事、よ~く思い出してみて。”手段は問わず”って言ってたでしょ? ココにこの問題を解く大きなヒントがあるわ。アキラ、もう分かるわね?」

「……泣かぬなら、泣かせて見せよう、ホトトギス?」

「正解! 流石、私が見込んだパートナーだわ、アキラ」

「……」

「要するに、この子をたくみ君が堕としてホテルに連れ込む瞬間をカメラに収めればOKって事だね」

「(あ、あの役、飽きたんだ……)」

「……ちゃんと聞いてる? 責任重大だよ、たくみ君」

「あ、あぁ……って、どうやって堕とすの! ナンパでもしろっていうの? 無理に決まってるじゃん!」

「あ、大丈夫。この子にさり気なく近づいて仲良くなったところを紹介って形にするから。で、私とその子が危ない目に合った時、たくみ君が颯爽と現れて、その子を救い出せば絶対惚の字になるから♪ そしたら、後は簡単だよ」

「い、いや……そんな計画通りにいくかなぁ」

「大丈夫! 私の凄さは、美子ちゃん達の件とかで十分知ってるでしょ?」

「……まぁ、ね」

「はい、これがターゲットの子、陽子ちゃんの写真ね」

「……意外にレベル高いじゃん……」

「ま、私程じゃないけどね」

「……じ、自分で言うとは……」

「事実でしょ? 伊達に三桁に届くくらいの男に言い寄られた訳じゃないから」

「……」

「さ~て、まずは私の仕事、しましょうか!」

 

 お前は誰だ! という程の意味深な笑みを浮かべ颯爽と出かけていくあすかを見送りながら、俺はあすかと組んで良かったのだろうか、と自問自答を繰り返していた。

 

──3日後

 見知らぬ子と偶然を装って出会い、仲良くなる……絶対ムリだろ! と思っていたら意外にも……

「──ほら、簡単に友達になれたでしょ? たくみ君、今日はヒルトンのランチね♪」

「うぅぅ……あすかにこんな特技があったとは……あすか、友達いないって言ってたから、絶対ムリだと思ったのに……」

「作ろうと思えば簡単に作れるの! ただ、長続きはしないけどね。すぐ男絡みで揉めちゃうから♡」

「うぅぅぅ、ドス黒い、ドス黒いよ、あすか……」

「私は悪くないよ? ただ勝手に男が私に言い寄ってくるだけだから。強いて言うなら、私がキレイすぎるのが罪なんだろうね♡」

「キレイすぎるのが罪って……じ、自分で言うとは……」

「だって事実だからしょうがないじゃない。彼を知り己を知れば百戦殆うからず、だよ、たくみ君」

「……やけに難しい諺知ってるし」

「学校いってないだけで、勉強はしてるから♡」

「……ま、いいや。…・…で、この子と一緒にお茶飲んでいる時、偶然を装って俺が登場、3人で仲良く話す、ここまでは分かったけど……その後の危ない目に合うって……どうするの? 俺、喧嘩弱いよ、多分」

「ふっふっふ、私が周りからどう呼ばれていたか、知らないの?」

「い、いや……聞いた事ないけど……」

「巷で呼ばれている私の通り名……歩くトラブルメーカーよ! またの名を、歩く親父キラーよ!」

「い、いや……そんな自慢気に言われても……別にかっこよくないし……」

「私が関わるとね、何故か人間関係ぐちゃぐちゃになっちゃうの。って言っても、殆どが男女絡みの問題だけどね♪ それで、いつの間にか陰で歩くトラブルメーカーって言われる様になって、気が付いたら友達いなくなっちゃったの♬」

「そ、そう……そ、それは大変だったね……自業自得の様な気もするけど……」

「でね♪ 歩く親父キラーっていうのは~、私、すっごいおじさん受けするみたいなの。大通りを100mも歩けば、絶対おじさんに声かけられる自信あるし!」

「い、いや……胸張って言う事じゃないじゃん……」

「だから、この私と陽子ちゃんが大通り歩いてたら確実におじさんに絡まれるから。そこに颯爽とたくみ君が助ければ、ね♡」

「ま、まぁ……それくらいなら。ただ、残されたあすかはどうするの?」

「こっそり後付けて、カメラマンに徹するから♪」

「ただ、もし厳つい人だったら、俺、無理かも……」

「大丈夫! 私、これでも柔道黒帯だから♪ 最悪、私がやっつけちゃうから♡」

「──?!」

「ね? 上手くいきそうでしょ? じゃ、早速、レッツゴー♪」

 

 お前は誰だ! というツッコミを何度入れようとした事か……あすかの新たな一面を知れば知る程、俺の選択は正しかったのだろうか、という疑問が強く頭に……そんな思いをよそに、あすかはさらに加速していく。

 

──計画通り

 あすかの作戦は怖いくらいにハマっていった。偶然を装い出会った際もあすかの見事なフォローの甲斐もあり、俺の第一印象はバッチリ。もしかしたらここでアプローチしても上手くいったかもしれないくらいだ。

 そして、いよいよクライマックスの日へ。計画通りにあすかとターゲットの陽子が大通りを歩いていると──あすかの予想通りにおっさんに声を掛けられているではないか!

 見たところ、推定50歳前後の中肉中背の親父……見るからにキモそうだ。そして、この相手ならば、この俺でもどうにかなりそうだと直感で判断する。

──あ! 彼女が嫌な素振りをしている。

 あすかは俺に気付き、こっそり合図を送ってくる。

──よし! 今だ!

 意を決した俺は、絡まれているあすか達の元へ駆け足で向かった。ものの30秒足らずで親父の背後へと到着、そして事前に考えていた決め台詞を放つ。

「おい! 俺の彼女に何してるんだ! 怪我したくなかったら、10秒で消えろ! このクズ親父が!」

──き、決まった……!

 彼女の手を引き、腕に抱えながら言ったこの台詞、思わず自分に酔ってしまった、我ながら完璧である。

 親父は? というと……何か捨て台詞を吐きながらそそくさとこの場を離れていくのが見える。ここで、腕の中にいる彼女に向って、さらに決め文句!

「大丈夫? 怪我なかった? 偶然通りかかって良かったよ。この辺、危ないから気を付けないと。ただでさえそんな可愛い顔してるんだから。俺をあまり心配させないで。これ──」

「(囁き声)たくみ君! 間違ってる! 腕の中にいるの、私だから……」

「──え?」

「……やっぱりアキラさんと瞳さん、そういう仲だったんだ……ゴメンね、私邪魔ものだったね……サヨナラ! お幸せに!」(ダダダッ……)

「「ぁ……」」

……すんでの所で、まさかの痛恨のミス! 結果……ミッション失敗!

 

──夜、反省会

「バカ! なんで私と彼女を間違えるのよ!」

「い、いや……初めての事で頭真っ白になっちゃったから……気が付いたらあすかを助けなきゃって……条件反射? 本能? 気付いた時にはあすかが腕の中に……」

「もう! そりゃ……彼女なんかより私を守ってくれたのは嬉しかったけど、さ……あ、ありがとね、たくみ君。ホントはちょっと怖かったから……ちょっとカッコよかった♡」

「……ま、仕事は失敗に終わったけどね」

「……やっぱりバカー! 後少しで上手くいったのに!」

「いや、あすかだって────!」

「そういうたくみ君だって────!」

 今回は後1歩の所でミッション達成出来なかった2人。果たして2人が報酬を手にする日はくるのか? ……というか、何をやっているのだろう、俺もあすかも……

名字

「えっとさ、取りあえず俺がアキラであすかが瞳という仮名でやるってのは分かったけどさ……名字はどうする?」

「──え?」

「いや、今回は特に問題なかったけど、中には名字で呼びたい人だっているんじゃないかな~って。冷静に考えて、初対面でいきなり下の名で呼ぶ人ってそうそういないし」

「ん~、ぶっちゃけ下の名前だけでいいと思うけどね。それしか伝えなかったら名前呼びするしかなくなるし、名前呼びの方が親しくなりやすい傾向あるし。だから基本夜の世界とかの源氏名は下のみってケースが多いんだよ」

「──! し、知らなかった……意外に計算されているんだ、そこら」

「けど、たくみ君の言う事も一理あるわね。……じゃ、上杉にしよっかな。上杉 瞳、なんかカッコよくない?」

「ま、確かに悪くないけど、なんで上杉?」

「ん? 漫画のタッチの上杉だよ。私、あの漫画好きなんだ~。で、たくみ君は……上杉 アキラ。カッコいいじゃん!」

「え? 俺も上杉? えっと……まさかの双子の設定?」

「www 違うよ~。いくらなにでも私達2人が双子は無理あるって~。外見が似ても似つかないし」

「それはその通りなんだけど……何か傷つくなぁ……じゃ、どういう設定よ?」

「……いいじゃん、架空の設定くらい結婚してるって事にしても」

「……ま、そうだね」

「──♡ 私達のおかげで結ばれる人達ができたら素敵じゃない?」

「……その何倍も、俺等の為に不幸になる人がでそうだけどね」

「wwwwww」

「wwwwww」

補足?

はい、中々にぶっ飛んでますね笑

「えっと……これのどこが独立系FPへの軌跡なの……? 題名と内容がかけ離れ過ぎじゃん……」

というツッコミを入れる人、きっと多くいるでしょうね。

が……こんな話が冗談抜きにリアルだったりしますからね。。。

前回書いた様にこの序章を省略しても差し支えないといえばその通りですが、その後の展開を考えるとここを省くと「加藤の選択」が意味不明になるなぁ、と。

リアルでは「日生の籍が抜けないが為、数ヶ月のタイムラグが発生。その間、ボーっとしてるのも何だから、今後の為に役に立つ何かやるか!」という流れで、何故かこんな事を……

他に占いやらもやったりしてましたかね。(これは物語で略する予定。ここまで書いていくと収拾つかなくなってしまうので)

この話、実は生きていたりしましたからね。(この話は、連載の中でおいおいと……)

ちなみに、もしかしたらこの話で「あれ? このノリってもしかして……」と気づいた人、恐らくそれが正解です。ま、これも暫くすれば「あ……!」と多くの人が気付くでしょう。

……とうの本人は、気付くのにかなりの時間を要しましたけどね。。。

 

 

 

 

 

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