保険業界から一番クレームを受けた男 プロローグ ~夜明け前~
──新婚旅行(?)の最終日の帰り際
「──ふぅ、ちょっとバタバタしてたけど意外に楽しかったね♡」
「えっとさ……何個か素朴なツッコミ……いいかな?」
「ん? 何?」
「気合で何とか乗り切ったけど……あの東京と大阪のアポ、あれ何?」
「ん? 2週間前にメルマガで東京と大阪でオフ会やるよ~って書いたら連絡くれたところだけど?」
「……そういえば、メルマガ発行のアドレスやパスワード知ってたっけ……で、俺の代わりに募集かけたよ、と……でもって、俺のメールアドレス使って俺になりすましてやり取りしていたよ、という訳ね……どうやったか知らんけど、いつの間にかあすかのPCでも俺のメールが読み書きできる様になってたんだ……」
「ホント、感謝してよね~。たくみ君の代わりにやってあげたんだから~」
「……ま、いいや。微妙に俺の人格や趣味が改ざんされてた気もするけど、どうにかなったし。……メール見てないから推測に過ぎないけど、恐らくは最低2週間前……いや、宿泊先まで予約取ってた事を考えると1ヶ月くらい前から計画を立ててた……っつ~事?」
「ホント、感謝してよね~。今の時期、卒業旅行シーズンで予約取るの大変だったんだから~」
「……だから、どこもかしこもクソ高い部屋しか取れなかったのね……1泊平均10万……一体この旅行でいくら遣ったんだろう……」
「たまにはリッチな気分味わうのもアリでしょ? それに新婚旅行って考えれば格安だって~」
「……俺は結婚してないけどね……そもそも何で俺があすかの旅行代、全額払うのか全く意味不明だけどね……」
「親友のご祝儀代はこれくらいが相場だから♡」
「……相場の10倍以上の様な気がするけどね……流石にそれくらいは俺も知ってるって……」
「……えへ♡」
「……ま、いいや。いい気晴らしになったのは確かだし、お前との思い出もできたし。……ぁあああ、明日からどうしよ。孤独に耐えられるかな~、キッツイな~」
「しょうがないな~、私が一肌脱いでどうにかしてあげるわよ。ホントたくみ君は手間かかるんだから~」
「……え?」
「明日から……新規事業を立ち上げるわよ!」
「……は?」
「事業内容は……色恋なんでも相談よ!」
「──?!」
「恋に悩む人達のキューピット役になったり、逆に別れさせたり、面白そうじゃない? そこでいい子がいたら彼女にするなり喰っちゃうなりすればいいじゃない」
「──?!」
「仕事の幅も広がって、オイシイ思いもできて、更には彼女だってできるかもしれない──まさしく一石三鳥でしょ?」
「──?!」
「あ、心配しないで? 既にHP作成や宣伝活動はバッチシしておいたから。ホント、感謝してよね~」
「──?!」
「じゃ、明日の9時に行くから! 朝食作っておいてよ!」
「──?!」
全く意味不明な展開に流されまくる加藤。誰が見てもバカげたこの色恋(?)事業が、加藤を大きく成長させ、やがては保険業界全体をも大きく揺るがす程の力を持つ事になるとは当時は夢にも思っていなかった。
補足?
はい、第一話を書いてから実に半年以上ぶりの続きです。
えぇ、第一話自体を覚えている人、きっと誰もいないでしょう笑
取りあえず前話を参考に──いや、前話を読んだ後でも理解不能ですよね。
ここらから読むと、大雑把に理解可でしょう。
さて、今回の内容ですが、そこそこ改編しています。ま……色恋なんでも相談屋たるものをやっていたのは事実ですけどね。
「FPの仕事も悩み相談みたいなものだから、色恋相談屋はいい修業になるって!」
こんな事、言ってましたかね、九重は……ぶっちゃけ、この経験で何かステップアップしたかは全く自覚ないですが、畑口いわく「その経験がなければ絶対大成できてなかったから」だそうで……
正直、この内容は省いても特に支障はない気もしましたが、一応は自分の礎の一つになる内容になる(のか?)ので、書く事とします。(7話前後?)
実は数話程書いたのですが……ここからどうやってシリアスに戻すんだ?と不安になる程、コメディ色が強くなってしまいました。
「これ、このまま出しても案外売れるんじゃね……?」
と、思わず自画自賛する程の出来栄え、内容の面白さは保証しますが、、、今までが可愛く思える程ぶっ飛びます。(ま、今まで読まれていた方ならある程度の耐性、あるでしょう)
こうご期待をば!
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