第13話:デート商法?
「そういえば、ジュンさんの本業のお客さん、独身でお金持っている人、案外いるんですよね」
「まぁ、研究者とか技術者の人、案外いるね」
「今度紹介して下さいよ~」
「えーー、どうせ彼氏候補じゃなくって貢ぐ君候補でしょ?」
「まー、そう言われたらその通りですけど〜、女性に免疫ない人達に女性の接し方をお教えしたいなーって♡」
「怖いよ! そもそもどうやってみのりちゃんを紹介するのさ? パンツ売りの少女と組んでるんだけどー、なんて言える筈ないじゃん!」
「そこは〜、ちょっと頭使って~、金融に興味がある学生のコと知り合いで、就活の為に色んな業種の人の話を聞きたいみたいだけど──、とか言えば自然ですよね♪」
「……こういう機転というか何というか、上手いね、ホント」
「私、どんな人とでも楽しくしゃべる事できるんです♪ 絶対に気に入られてその次に繋げる自信ありますから♬」
「んーー、なんかデート商法みたいでお客さんに悪いなぁ……」
「大丈夫♪ 私はモノを買って貰ってドロンはしませんから♬ 相手が自然と離れていくまで付き合いますよ〜」
「うぅ、泥沼一直線じゃん……さらにたち悪いじゃん──」
「なーに言ってるんですか。この私とお近づきになれるなんて幸せですよ。 きっとその人の生涯で私以上の女性と出会う事、絶対にないですから♪」
「んー、いつもながら凄い自信だね……よく自分でそこまで言えるね……」
「当然です。私は私の価値を一番理解してますから。あ、儲けは折半でいいですけど、モノを貰った時は折半難しいのでそれだけはご了承下さい♡」
「ま、まぁ……お手柔らかにね──何かの拍子で婚活の話になったら紹介するようにするよ」
「はい、期待して待ってます♪ うふふっ、欲しいものリスト作らなくちゃ♬」
実際にみのりちゃんを紹介してみた結果
──事ある毎に紹介をせがむみのりちゃんに根負けし、1人の本業のお客さん(一流金融マン)を紹介した後での会話
「──で、会ってみてどうだった? 将来の就職の為に金融に興味ある子がいるから話聞かせてやってくれ、ってホントに紹介してみたけど」
「……私は人を騙す事は無理だって分かりました」
「ん? 私に堕とせない男はいない! 絶対次に繋げる、骨の髄までしゃぶりつくしてやる! みたいな事、言ってたじゃん」
「……だって、あの人メチャクチャいい人じゃないですか。あんなまともな人が来るとは想像してませんでした」
「……思いっきり俺を誤解しているかもだけど、俺の本業の事、知ってるでしょ? 変な人を紹介する筈ないじゃん」
「学歴もスペックも何もかも恐ろしく高いですし、それでもって性格まで良いなんて……」
「スペックだけなら、パンツ顧客の中にも負けない人いたじゃん」
「常連さんは元々下心丸出しでしたから。でも、あの人は──」
「実は同じかもしれないよ?」
「私にはあんな純情で真面目でいい人をお金にするなんて出来ません!」
「……俺だって似たようなもんじゃん、よく考えたら。……あれ? よくよく考えたら土日のお金のごまかし以外はまとも──なのかな?」
「今頃気付いたんですか? 私はいい人でまともな人には酷い事しないんですよ♪」
「……おしっこどうですか? とか何度か聞いた記憶がある様な……」
「じょ、ジョークに決まってるじゃないですか、は…ははは──」
──悪女になりきれない、素は意外にいい子(?)のみのりちゃんでした。これを機に常連さんとのデート商法(?)もやらなくなったのでした。何故か飲み歩きまで……
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