Epilogue Risa #7 ずっと2人で・・・
◇2週間後(6月初旬)
──トントントントン……
「──?! リ、リサ? ご、ごめん……起きたのに全く気付かなくって」
「あ、おはよ♡ もうちょっと横になってていいよ~」
「け、けど──」
「私は大丈夫だから。朝ごはんできるまで、ゆっくりしてて♪」
「う、うん……」
──応接間
「──お待たせ~。冷蔵庫にあったありあわせでゴメンね。ハムエッグとほうれん草のお浸しにお味噌汁♪」
「お、おぉぉ……久しぶりにリサの手料理が~……」
「な~に大げさな事言ってるのよ。さ、食べよ♪」
「「いたたきま~す」」
「今日は……久しぶりに釣りしにいこうよ」
「──?! い、いきなり大丈夫? せめてもう少し近場のが良くない?」
「大丈夫♪ 今日は凄く調子がいいから♬」
「無理しなくていいからね、ホント」
「ありがと♪ けど、ホントもう大丈夫だから♬」
──釣り場の川付近
「(ハァハァ……)ひ、久しぶりだとちょっとキツいね……」
「でしょ? ちょっとずつ慣らしてかないとダメだって。久しぶりの外出なんだからさ」
「けど……外の空気、気持ちいいね」
「まぁ……ね」
「たくみ……」
「ん? 何?」
「……ありがとね」
「な~に水臭い事言ってるの~。一緒に暮らしてたらこれくらい当たり前だって」
「……うん」
「まだ無理は禁物だけど……体調戻って良かったじゃん」
「……うん」
「個人的にはもう少し看病したかった気するけどね……病弱のリサ、何か妙な色気あって異様に可愛かったし」
「……バカ!」
「wwwwww」
「wwwwww」
──釣り場スポット
「たくみ……看病してくれたお礼に、1つだけ願い叶えてあげる」
「え? ホントに別にいいよ。俺も散々看病して貰ってたし」
「いいから! ね……何がいい?」
「何でもいいの?」
「いいよ……何?」
「じゃ……結婚……してよ」
「──え?」
「ずっと一緒に、一生俺の隣に……いて下さい」
「え、えっと……こ、このタイミングで? まさかのプロポーズ?」
「あ! ご、ごめん。こういう話はもっとロマンティックな場所でするものだよね。また後日改めて──」
「いいよ……」
「──え? そ、それはどういう意味? 改めて後日プロポーズしていいって事……?」
「プロポーズはもう聞いたから。……その答えだよ」
「え? ほ、本当に?」
「……たくみにロマンティックなシチュエーションなんて元々期待してないし。……寝室でプロポーズされたらどうしようって思ってたくらいだから、頑張った方だよ、ホント」
「(ドキッ!)」
「あ……寝室でプロポーズしようと思ってたんだ……」
「い、いや……さ、流石にそれは俺でも……2度程した事あるけど(ボソッ)」
「──は?」
「あ……い、いや……な、何でもないです……」
「そういえばたくみ、ここまでは経験済だったよね~。ちょっとショックだな~」
「そういうリサだって、プロポーズされるまでは経験済じゃん。……この俺を差し置いて……ショックだな~」
「わ、私は断ったから! たくみはOKして貰ったんでしょ! 結婚する気だったんでしょ!」
「……死んじゃったけどね」
「あ……ご、ごめんなさい」
「いいよ、もう……過去の話だから。……これからのイベントは初めてだから……死ぬまで一緒にいて下さい」
「……私より長生きしてよね。1日だけでいいから」
「……はい」
──リサ、ずっと気になってる事があるんだけど、聞いていい?
──ん? 何?
──え~っと……その~……いざ聞こうと思うと聞きにくいな、やっぱ。
──え~、何よ~、もう……
──じゃ、きっぱりと。リサっていつから俺の事、好きになってくれたの?
──(ブー……)ちょ!/// いきなり何言い出すの! 本気でお茶吹き出しちゃったじゃない!
──www いや、去年ストレートに言って貰ってようやくリサの気持ちは分かったんだけど、いつからだったのかな~って、ね。
──もう……私、こういう話、弱いんだから///……どうしても聞きたいの?
──そりゃ──ね。
──……じゃ、たくみから!
──え? お、俺?
──当たり前でしょ? 言い出したの、たくみだから。……いつから私の事、好きになってくれてたの?
──はっきり自覚したのは、リサに絶交されてからだけど……多分、出会った時から……だったりして
──……え?
──じ、実はリサ、俺の好みのドンピシャ……だったりするから///
──/// わ、私のど、どこに? そこまで私、び、美人じゃないじゃない!
──……その特徴的で吸い込まれそうな眼、中性的なルックス、印象的な声……見惚れるってこういう事を言うんだ、ってリサを見て初めて知ったよ///
──/// び、美的感覚おかしいんじゃない? わ、私なんかより美人な人なんていくらでもいたでしょ!
──……他の人はどうか知らんけど、俺はリサ以上にキレイに見えた人、いないから///
──/// け、けど……わ、私、化粧だって殆どしないし、女っぽくないし、色っぽくないし、性格だって変わってるし……私以上の子だってたくさん──
──俺はそんな着飾らないリサにどんどん惹かれていったよ。ここまで人を好きになったのはリサが初めてだし、リサ以上に好きになる人は一生現れないって……そう思ってる///
──あ、あ、ありがと/// お、お世辞って分かってても……嬉しいものだね。
──……俺がお世辞言えない不器用な男だって事、嫌という程知ってるでしょ? 本音に決まってるじゃん///
──/////////
──リ、リサ? だ、大丈夫? 顔が凄い真っ赤になってるけど……ぅわ、おでこ凄い熱いじゃん。ご、ごめん……まだ体調戻ってないのに無理させちゃって。早く帰って横にな──
──違うから……体調じゃないから……バカ///
──え?
──前からずっと思ってたんだけど、たくみってこういう事にすっごい鈍感だよね!///
──え?
──まだ分からないの? ……もう! 照れてるの!/// あんな事言われて照れない人、いる筈ないじゃない!///
──あ……ご、ごめん。
──……凄い嬉しかった。あんな風に言われた事、生まれて初めてだったから。天に舞い上がる気分ってこういう事、言うんだね。ありがと……こんな私を好きになってくれて///
──い、いや/// うぅ……い、今になって恥ずかしくなってきた/// 真昼間で酒も飲んでないのに、俺は何を……///
──www バ~カ!///
──そ、そうだ。次、リサも聞かせてよ。
──……え? わ、私?
──そうだよ! 元はそういう話だったじゃん。俺はもう言ったから。はい、リサ、どうぞ!
──もぅ……しょうがないな~…………バーでたくみにナンパされた時から……かな。何とも不器用そうで人が良さそうな感じで……良く分かんないけど、ビビビって……来たの///
──ちょ……リサ、酷いなぁ……それ、俺の記憶じゃないでしょ。最初に会ったの、伊織さんのいた店じゃん……
──www ねーちゃん、これからホテルいって一発やらない? プールのあるホテルでさ、カクテル飲みながら一緒に魚になろうよって……声掛けたの、覚えてない?
──は? な、何で俺の黒歴史の初ナンパの話をリサが……? あ、あれ? ま、ま、まさかと思うけど……
──www へぇ、プール付きのホテルがこの辺にあるんだ~。ちょっと興味あるな~。ね、それってどこにあるの? どれくらいの広さのプールなの? 泳げるの? あれ? もしかして~、そこまで考えてなかった?
──ご、ごめんなさい! この辺で勘弁して下さい! 俺が悪かったです!
──wwwwww
──ま、まさかリサとの馴れ初めがあのナンパだったとは……
──実は更に前に出会ってたりしてw 1日に偶然3回も助けて貰ったりとか……ね。
──い、いやいやいや……今度こそリサの記憶違いでしょ。俺、それはホントに記憶ない──
──いや、そういうつもりで助けた訳じゃないし。それじゃナンパ男と同じだしね。ま、無事で良かったよ。また今度、偶然出会ったら、飲みにでも付き合ってよ……って言ったら分かる?
──は? な、何でリサが……ま、まさかそれも……?
──www だから、ナンパにも応じて、クラブでボトルプレゼントしたんでしょ。
──し、知らなかった……ボトルプレゼントの裏にはそんな背景があったなんて……
──wwwwww
──……
梅の香りが梅雨の到来を予感させる6月某日、誰もいない川辺で2人、時が経つのを忘れるくらい長い間、肩を寄せ合いながら愛を語り、誓いあっていた。
──これで……全てが上手くいく。順風満帆な人生がこれから待っている。
こう信じて疑わなかった加藤──こうして2人は結ばれる事となり、末永く幸せに暮らしていきました、というエンドだったらどれだけ良かったであろう?
これから1ヶ月後──加藤は再びいばらの道を進む事となり、そして──これまで積み重ねてきた罪の代償の大きさを知る事となる。
運命の出会い?(過去の話)
──まさか……あの時の子がリサだったなんて……
その日の帰宅後、台所で夕食を作っているリサの後ろ姿を眺めながら、加藤は過去の記憶を辿っていた。
■保険屋時代4年目の8月中旬の免停講習にいく途中、バスの中で
(ふぅ……免停喰らって久しぶりに公共交通機関に乗ったけど……車で行かないとこんな大変なんだ……うぅ、バス酔いしそうだ……何かさっきから全然動いてないし……ん?)
「……1万円札しかなくて……これではダメですか?」
「1万円札しかないんだったら、回数券買って貰わないと。両替は出来ませんから」
「で、でも……」
「早くして下さい! 他のお客様に迷惑ですから!」
(何でもいいから早くしろよ! 午前の講習に遅刻しちゃうじゃねーかよ! ……もう!)
「……300円、これでいいでしょ? 運転手さん」
「え? あ、はい……」
「──! あ、ありがとうございます! 後日返しますから連絡先教えて──」
「あ、別にいいよ、これくらい。もし今度偶然会ったら、その時お茶でも奢ってよ」
「は、はい! 必ず!」
(おぉ……何かいい事しちゃったよ。神様、見てた? 宝くじでも当ててくれないかな)
見ず知らずのちょっと野暮ったい子を、バスの進行が遅れるからという理由で代わりにお金を払っただけ……こんな些細な出来事から全ては始まった。
■免停講習へ向かう地下鉄の中
(うぅ……満員電車はキッツイなぁ……クソ! 免停にならなければこんな思いしないで済んだのに……スピード違反くらいで一発免停にしやがって……ん?)
「……やめて下さい……」
「(ニチャ~)」(エロ親父が痴漢する図)
(なんだよ、不慣れな地下鉄に乗ってイラついてる俺の目の前でこんな不愉快な光景見せやがって! ……もう!)
「おっさん、やめろよ。いい年して……みっともないったらありゃしない」
「……チッ」
「チッじゃね~よ! 次の駅で駅員に突き出すぞ! コラ!」
「…………」(そそくさと奥の方へ移動するおっさん)
「──! あ、ありがとうございます! あ、あれ? もしかしてさっきの……?」
「ん? あれ? さっきの人?」
「ぅわ~、こんな偶然ってあるんですね。ホントありがとうございました! 今回の件も含めて後日お礼したいので、連絡先を──」
「あ、別にこれくらい、いいよ。今度偶然あったら、飯でも奢ってよ。あ、俺もう降りるから」
「は、はい! また──」
わずか1時間の間に2度も巡り会って偶然助けるハメになった見ず知らずの野暮ったい子。この時ですら、こういう偶然ってあるんだ~、へぇ~、帰ったら九重に教えてあげよ、程度にしか思っていなかった。
■夕暮れ時、繁華街の大通りをぶらつき中
(ふぅ、講習クソ疲れたよ。結局午前に間に合わなくて1日潰すハメになったし。あんなクオリティの低い映画見せられて軽く話をされただけでウン万って……ボッタクリもいい所じゃないかよ。胸糞悪い……気晴らしにそこらのバーでジンライム数杯飲んでから帰るか……ん?)
「……やめて下さい……」
「いいじゃん! いこ! ね?」
(ぅわ、ナンパの現場を初めて見ちゃったよ……客観的にみるとホント、酷いな……あの子、あんなに嫌がってるのに分からないのかな、あのバカ男……何かムカつくな……もう!)
「ごめん、遅くなって。待った?」
「──え?」
「じゃ、いこっか」(グイ!)
「は、はい!」
「……チッ、彼氏と待ち合わせだったのかよ……」(去っていくナンパ男)
「……良かったね、ナンパ男いなくなって。──じゃ!」
「あ、ありがとうございました! ……あ!」
「──?! あれ? また?」
「ま……まさか同じ日に3回も……こんな事って……」
「さ、流石に俺もビックリだよ……」
「これから何か用事あります? お礼に、もしお時間ありましたら、是非食事でも」
「いや……そういうつもりで助けた訳じゃないし。それじゃナンパ男と同じになっちゃうしね。ま、無事で良かったよ。じゃ、俺行くね」
「え? で、でも……」
「また今度、偶然出会ったら、飲みにでも付き合ってよ」
「は、はい!」
1日に3回も偶然出会って結果的に助けるハメになった見ず知らずの野暮ったい子。普通ならばお茶くらい行っても不思議ではない流れにも関わらず、完全スルーしていた理由は……家で待つ九重の夕食を作るというノルマがあったから、というのは言うまでもない。
(この事、九重に言っても絶対信じて貰えないだろうな……しまったなぁ、せめて連絡先でも聞いておけば話に信ぴょう性を持たせられたのに……)
この時ですら、この様に感じていたのを覚えている。
──……
(まさか、あの時の子と……今こうやって一緒に住んで、これから結婚するなんて……流石に誰も信じないだろうな……)
「……何? そんなニヤニヤしてこっち見て。……ちょっと気が散るんだけど」
「あ、いや……リサ、可愛いな~って思って」
「──! ちょ!/// いきなり何言うのよ! 思わず手、切っちゃったじゃない!」
「wwwwww」
この日までは……平穏で木漏れ日の様な暖かさに包まれた日々がずっと続くものだと……リサが一生隣にいるものだと信じて疑わなかった。が──この日から数えて僅か3週間後、2人は──
補足?
はい、クソあまい話ですね。ま、ここまで読んでいる方はある程度の耐性ができているでしょうから、今更何とも思わないでしょう。
補足になりますが、何度も書いている様に元々リサに関しては営業時代殆ど絡みがなかったので気合で略する予定だったので、色々省いています。えぇ、普通にネタになりそうな出会いネタまで省略していたという。。。今回、気合で強引にぶち込みましたが、ちょっと苦しかったかな?(この話、実は本編にぶち込もうかと考えた事もありましたが、ナンパ話同様の結果になりかねないな、ここだけ書いても意味不明だよな、という理由で略してました。一通り書き終えてから、出会いの話は途中に入れておこうかな)
物語の所々で、「運命が再び動く」やら「運命の出会いはそこまで迫っていた」等意味深な事を書きながら、結局何だったんだよ! と消化不良になっていた理由は、こんな風にリサの話をばっさり略していたからなのでした。
ま・・・出会い方等含め考察すると、恐らく運命の赤い糸というものが存在するのならば、きっとリサと繋がっていたんじゃないですかね、多分。
・・・という話はこれくらいにして、どーでもいい話を少々。
釣りに関してはもっぱらエサ釣りでした。玄人になるとルアーで攻めるのが効果的らしいですが、ボケーっとポイントらしきところに落として、後はひたすら待つ! という感じ。サンドイッチやおにぎり等昼食を持っていって、それこそピクニックにいったついでに釣れたらラッキーみたいな感じでしたかね。そんな「釣りを舐めるな!」と人によっては言いかねないスタイルでも、そこそこ釣れました。イワナ、ヤマメ、ニジマス等。。
風がなく天気が良い日は気合のアウトドアコンロでその場で串焼きにしてましたかね。最初は加減が分からず原型をとどめない無残な姿になったりしましたが、最終的にはエラやハラワタを取って尻尾に塩をふんだんに振って~と、妙に本格的になってましたかね。(カリカリに焼いて頭から食べるのが中々おいしい)
って、何書いてるんだか・・・
コメント