Epilogue Risa #2 裸足の女神
──翌朝
「(ガバッ!)リサ! ぁ……やっぱり……夢か……分かってたけど……キッツイなぁ……────────ッ」
「ふぅ……朝風呂はいいね~。あ、たくみ君、おはよ~……って、何、大泣きしてるのよ……」
「……また、リサが……消えちゃ────ッ」
「もう! まだそんな事言ってるの? ほら、私はココにいるから(ギューッ)」
「──! リサ!(ガバッ)」
「んもう、また? 昨日から何回するのよ。しょうがないな~……────♡」
朦朧な意識の中、起きてはリサと身体を重ね、堕ちる様に寝るという何とも自堕落な日々は続き、これが現実だと気づくのに実に5日を要した。
──5日目の朝
「あ……たくみ君、おはよ~。……私はここにいるからね~(ギューッ)」
「え、えっと……リサ? え? な、なんで? あれ?」
「あ、ようやくシラフに戻った? お・は・よ♡」
「──! リ、リサ……なんで裸……なの? あ、あれ? お、俺まで裸……? ま、まさか……あれは夢での出来事じゃなく……?」
「ホント大変だったんだから~。私の身体の事も考えてよね~。5日間犯されっぱなしだったんだから~」
「ぅわ……マ、マジで……? ホ、ホント……ごめんなさい! 俺はなんて事を……リサの気持ちも考えず一方的に……獣みたいにしまくってたなんて……な、何でもしますので、ゆ、許して下さい!」
「……じゃ、また抱いてよ」
「……は?」
「正常な今の状態で……私を感じてよ」
「で、でも──」
「もう! じゃ、私がするから!」
「え……ど、どういう──」
「こういう事! ──///」
「!!!/// ────」
「♡────」
──ピロートーク
「──3回も……しちゃった……」
「正常な状態でもあまり変わらないじゃない。……たくみ君、性豪だね」
「い、いや/// ご、ごめんなさい……」
「……感想は?」
「め、滅茶苦茶良かった……です///」
「そ♪ 良かった♡」
「え……えっと……最初にごめんって言っておくけど……いまいち何で今、隣にリサがいてこんな事になってるのか……全く理解出来てないんだけ……ど」
「あ、やっぱり? 私をず~っと幻とか夢って言ってたもんね」
「あ……い、いや……お、俺……な、何かとんでもない事……言ってた?」
「私にずっと一緒にいてくれって、これが現実でありますようにって神様に泣きながらお願いしてたよ。いや~、あんな魂の叫び聞いちゃったらね~、応えないわけにはいかないじゃない」
「ぅわ……やっぱりあれ、現実だったんだ……そもそも、な、何であそこにリサ、いたのさ?」
「ん? 前に言ってたじゃない。もし30歳になって2人とも相手いなくて1人だったら、あの公園に集合しようかって。そして、寂しい者同士一緒になろっかって。その話を覚えてたからね~」
「い、いや……その話したのは覚えてるけど……伊織さんと3人でカラオケいった後の酒の席での話だったじゃん……あんな軽い話、何真に受けてるんだよ……そんな話、覚えててもスルーするのが普通だろ……?」
「けど、たくみ君も実際来たじゃん、お互い様じゃん」
「い、いや……俺はたまたまの偶然だから……俺、ぶっちゃけ壊れてるから……自分でも何であそこにいったか全く記憶ないし……」
「www けど、来た事には変わりないじゃん。ま、私にはこうなる未来が見えてたけどね♪」
「……こんな未来、分かる筈ないだろ……リサ……お前、常識知らずのバカだろ……」
「たくみ君だけには言われたくないわよ。わざと人を遠ざける様な事して……あ~んな無茶しちゃって……壊れて1人きりになるに決まってるでしょ。……常識知らずのバカはお互い様でしょ?」
「い、いや……俺がバカなのはいいとして……そもそもリサ、お前が……何で1人なんだよ……斎藤さん……は?」
「ん? こないだ別れちゃった♪ プロポーズもしてくれたけどね」
「な、何で……? あんなに上手くいってた……じゃん。結婚するって……言ってたじゃん」
「だって、しょうがないじゃん。……たくみ君と一緒になりたかったんだから。たくみ君がダメなら斎藤さんに……なんて逆に失礼でしょ?」
「い、意味不明で頭がついていかないんだけど……」
「(ハァ……)ホンっと、たくみ君、鈍感だよね。ここまでして……ここまで言ったら普通分かるわよ。いや……たくみ君の場合はもっとストレートに言わないと分からないか。──私、ずっとたくみ君の事、好きだったの! 一緒になりたかったの! その為に全てのしがらみ切ってきたんだから!」
「──?!」
「あ~すっきりした! ついでに、ず~っと言いたかった事あるんだけど……いいかな?」
「……な、何?」
「私に……あんな嘘が通用する筈ないでしょ! 私を……バカにするのもいい加減にしてよ!」
「──え?」
「私の事を思って、幸せになって貰いたいから、俺じゃダメだからって……そういうつもりだったんでしょ! だからあの時、私と離れようとしたんでしょ!」
「──?!」
「私、前に言ったよね、たくみ君の全てを受け止めてあげる、一番の理解者になってあげるって、ずっと一緒にいてあげるって! それはたくみ君の為じゃなく、私がそうしたいからしてたの!」
「け、けど……俺なんかと一緒にいても……俺よりもっと──」
「いい人見つけて幸せに? 勝手に私の幸せを決めつけないで! 私は……どんな形でもたくみ君と一緒にいるのが幸せだったの!」
「──!」
「実際、斎藤さんはいい人だったわよ。たくみ君の望む様に……たくみ君の事忘れて、幸せになろうとしたわよ。けどね、けどね! 無理だったわよ!」
「…………」
「たくみ君だって……私の事……ちょっとは好きだったんでしょ? けど……伊織さんがいなくなった後……私と……って少しでも想像した自分が……嫌になったんでしょ!」
「…………!」
「それくらい分かるわよ……私も……そうだったから」
「…………!」
「伊織さんに後ろめたい気持ち……裏切った様な気持ち……痛い程分かるわよ。私だって……伊織さんの事は本当に好きだったから」
「…………」
「けど、けど! あの伊織さんが……たくみ君が壊れる事、望んでる筈ないでしょ! 幸せになる事、望んでるに決まってるじゃない!」
「…………」
「私が……伊織さんの代わりに……それ以上の存在になってあげるわよ……一緒になってあげるわよ……幸せにしてあげるわよ! どう? 文句ある?」
「……ありがと。ただ、気持ちは嬉しいけど……俺……冗談じゃなくって……もう壊れてるから。失感情症や失体感症でいつ倒れてもおかしくないし……最近じゃよく記憶飛ぶし……精神も……恐らく身体も──」
「私が治せばいいだけでしょ! 治らなくても一生面倒みる覚悟あるし。それだけの為に看護学校まで行ったんだから!」
「──?!」
「だから前から見えてたって言ったでしょ? 分かってたんだから……これくらい」
「……リ、リサ……お前、凄いな。ホントの霊能者みたいじゃん……これで食べていけるんじゃない?」
「あ、勘違いしないでね? ここまで見えるのはたくみ君だけだから。……特別だから」
「……リサの見込みでは……俺、いつまで生きれる……のかな?」
「ん~、今のままだと半年持たないかな~。今生きてるのが奇跡に近いから♪」
「──?! じゃ、ダメじゃん!」
「けど、私と一緒にいれば多分大丈夫。……色々リハビリが必要だけどね、半年から1年くらいは」
「え、えっと……リハビリって、何する……の?」
「……私と寝食を共にして、一杯色んな所に出かけるの。デートも旅行も一杯して……私で身も心も満たすの。仕事も何もかも全て忘れて、ね」
「え、えっと……それって一緒に住むって事?」
「そうだよ~。……私と一緒に住むの、嫌?」
「い、いや……嫌じゃないけど……お金が……お、俺……訳あって、稼ぎの大半はとある所に仕送りしてたから──」
「当然知ってるわよ。大丈夫! その為に蓄えはしてきたから。私が養ってあげる♡」
「で、でも──」
「たくみ君は治す事だけ考えればいいから。専業主夫に暫くなってラクして、ね♪」
「お、俺……リサと同棲してまさかの専業主夫になるの? な、何か嫌だな~」
「何言ってるの? 専業主夫は憧れの仕事の断トツ一位じゃない。なりたくてもなれない人なんて星の数程いるんだし」
「で、でも──」
「私がいいって言ってるんだから、問題ないでしょ! つべこべ言わず、私に甘えなさいよ!」
「……分かった……ありがと……暫く苦労かけると思うけど……精一杯リサに尽くすから……立派なヒモになるから!」
「……バカ!」
「wwwwww」
「wwwwww」
どれくらいぶりに笑ったであろうか。心が満たされたであろうか。出会って4年という月日を経て……紆余曲折を経て……隣にリサがいてくれた。4年前の酒飲み場での軽い話を覚えていてくれて、全てを捨ててまで面倒を見てくれようとするリサがいてくれた。長きに渡る波乱万丈な物語はハッピーエンドで終わるもの……そう信じて疑わなかった。
補足?
はい、前回も意味不明だったと思いますが、今回も「なんじゃこれ?」ですね。
ま・・・今回のエピソードがリサという人物の全てと言って過言ではないです。
前回にも書きましたが、大袈裟でも何でもなく、リサに助けられなければ、その後の物語は続く事なく、当初の予定通り(?)に壊れて逝っていたでしょう。
この事に関しては、いくら感謝してもしきれません。
が・・・今思い返すと、リサは生粋のトラブルメーカーなんですよね。。。物事に「たら」「れば」を言うのは無粋ではありますが、仮にリサがいなければ、もう少しなだらかな人生になっていた様な・・・
それに関してはおいおいと・・・
ちなみに、この日より半年近くぱったりとHPの更新が止まり、冗談抜きに一部の人の間で「たくみ死亡説」が流れたくらいです。何故そんな事になったか、という理由は次回に。
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